魔王と湯上がり
湯船から上がると、すでにマオが牛乳瓶を片手に仁王立ちしていた
「ふふん おとなはコーヒー牛乳が定番らしいのじゃ」
「……マオ、コーヒー牛乳飲めるのか?」
「私は魔王じゃぞ? コーヒーとか言う飲み物くらいカスよ」
――ブッッ
「なんじゃこれ毒か?またドライアド達の仕業か?」
「フルーツ牛乳にしとけよ……」
エクセルが呆れていると素っ裸のキンニクが隣に来る
「エクセル様 前から思っていましたが薄い胸板ですね 筋肉が足りませんキンニクが教えて差し上げましょうか?」
「ちょっとみんなのテンションがおかしいけど、温泉のMP回復効果とかなのか?」
――
浴衣からいつもの服に着替え集合する
急に真面目モードのキンニクが向き直る
「ヤスム殿とは我々も話しました 魔王様が知らなかった協定などについても共有してあります」
「前にMPの事を話したら止められたのは、今の魔王軍は知らないからなんだな」
キンニクが頷く
「魔王様も詳しくは知りませんでしたが、話してはいけない事という禁忌だけは引き継いでいたのでしょう」
「キンニクが俺をここに連れてきた覚悟も分かったよ 城に戻ったら王国軍との交渉も始めよう」
「初代魔王様以来の大交渉でございますね」
――
馬車に揺られ、夕焼けから夜へと変わった空の下
確かな覚悟を胸に魔王城へ向かう
車内ではマオがまだ拗ねていた
「毒とはひどいのじゃ……マオはただ、大人だと証明しただけなのに」
魔王城が見えてくる
兵士たちが整列し、エクセルたちの帰還を迎える
人数が多く見知った顔も居る
保育園の子供達も飛び回って危なっかしい
ああ……あいつら、今日は休みの日だったはずなのに
出迎えに来てくれたのか
魔王城が平和になっている実感を持ちながら馬車から身を乗り出す
「ただいま」




