めでたし・・・?
レオは学校から、ぐったりと疲れながら、帰途に就いた。やたら、そうやたら、光が学校で、べったりと甘えてきた。
(まあ、向こうじゃ、王様やってなくちゃいけないからなあ、甘えたいんだろう)
そう考え、深くは考えないようにした。
帰ったら、あの、常識はずれなツインズ達を相手にしないといけないのか。そう、うんざりと嘆息しながら。
「ただいまー」
そう、レオがドアを開け、リビングに入って行くと、
「なんか、また幻覚が見えるんですけど・・・」
「あ~レオさ~んおじゃましてま~す。ひど~いで~す。幻覚じゃないですよ~本物ですよ~生身で~す~」
ひらひらと長い袖を振る。
「てか、何でいるんだよ!光もそうだけどいいのかよ!国空けていいのかよ!お前、そんなんでも自然神なんだろ!なあ!!」
なんだか泣きたくなる衝動を一生懸命レオは抑えた。
「なんか~ひどい言われようで~す。向こうの対策はばっちりで~す。ちゃんと給料もらってますんで~それに僕は~、ただ~パン屋巡ってただけで~す~」
「てか、どんだけパン好きなんだよ!」
「パンって不思議ですよね~」
(ねえ、何が?何が不思議なのか教えてほしいよ!)
「ああ、そうです~。レオさんの~ママさんのパンも、とおーっても~おいしいで~す」
そう言ったら、また両手いっぱいに新たなパンを、レオの母親の美奈が持ってきた。
「いや~ん。アンちゃんうれしーいわー!まだまだあるから、どんどん食べてね!なんだったら、お土産も包むから!」
嬉しそうに、どんどん持ってくる美奈に、レオはうんざりしながら見ていた。
「ありがとうございま~す。ママさ~ん~」
はむはむと頬張りながら食べる姿が、なんだかハムスターに見えて思わず笑ってしまった。
「で、本当のところアン、どうかしたのか?」
レオが机に頬杖を就きながら、尋ねる。
その問いに、一瞬考えるようにして
「あ~あ!そうで~す。レオさんに~言わなければならいけないことが~ありました~」
アンの髪で隠れた瞳が真剣味をおびたような気がした。
今は人間でもまがいなりにも自然神。
レオは、心臓がドクリッと鳴るのが分かった。
「レオさん~あなた~呪いにかかってま~す」
「え?」
まあ、今までの経験上もしかして?そう思わなかったでもない。この体質。けど、こう前置きなく言われると、さすがレオでも驚く。
「実は~女の子で~す~」
「は―――?!」
いきなりの事で、すっとんきょんな声を上げてしまった。
どこかで聞いた話だ、そう思った。いつもいつも妄想まがいに聞かされる話。
「あら、あら、あら!やっぱりそうなのね!さっきの私の話、やっぱり真実なのね!!」
きらきらと乙女のように輝いている母親の瞳。
(やっぱりあんたか――-!)
「母さん!変な妄想話、人の知り合いにしないでくれ――――!」
思わず叫んでしまった。
「レオちゃん、現実はちゃんと受け止めなきゃだめなのよ?アンちゃんもそうだって言ってるのよ!」
美奈が不満そうにレオに文句を言う。
「いや、母さんがむしろ現実受け止めようか!」
額に青筋を立てながら、レオは冷静を装って、美奈に叱責する。
そんな様子にアンは
「え~。レオさ~ん真実なんですよ~」
「アン!お前も母さんの影響受けるな――――――!」
一般住宅地をレオの甲高い声が木霊した。
「本当なんですが~・・・」
ぼそりとアンが、憤慨するレオを片目になんとも言えない表情で呟いたことには気づかずに。
毎度の事ながら尽きることなく人生は続く。生きているかぎり日々続いてゆく。
たとえ、巻き込まれても人生は進んでゆく。
これからも、尽きることなく、とんでもない巻き込まれ人生が待ち受けてそうで、なんとなく、人生いやになりそうになりながら、けれど、泣いても笑っても自分の人生。
自分で考えて、行動して、後悔しないように。それが、自分が進んだ道なのだから。
テーブルの上に大量にのっているパンを頬張っているアンを見つめながら、レオは窓から入ってくる柔らかい風と、暖かな日差しに、睡魔に襲われ、安らかなほんの一時の安息を楽しむ。
あと、三十分もすれば、またあのツインズ達の帰宅に、とんでもない奇襲と巻き込まれ体質が待っている。今の間だけはとレオは瞳を閉じた。
神崎玲於奈十六歳。
あいも変わらずまきこまれ人生。
良くも悪くもまきこまれ人生。
まきこまれても、それが俺の人生!
これで、まきこまれても人生!まきもまれて異世界編は完結です!
めちゃくちゃな話ですみませんでしたけど、読んでくださってありがとうございました!




