その辺境の公爵領に咲く花は、銀と真珠で出来ている

第一幕：銀の巻
婚約者に破談を言い渡されたばかりの伯爵令嬢・ゲルトルートは橋の上で物思いにふけっていた。
そんな時、知り合ったのは、フリードリヒと名乗る青年。
彼の優しく真面目なところに、ゲルトルートはすっかり惹かれてしまう。
しかし、彼女には変わり者と言えば聞こえは良いが、詐欺師ぎりぎりの父親がいて、そもそも婚約とその破棄に至る過程は父の策略があった。
一方、フリードリヒもゲルトルートの優しい愛情を知りつつ、それを素直に受け入れられない事情があった。

第二幕：真珠の巻
辺境の財政が厳しい土地を治める公爵家の娘・アデイラは、領民を救うために王都の大商人の妻になる代わりに援助を受けることを決めた。
反対する公爵である兄の目を盗み、辿り着いた商家では、今、まさに異国の商人・クラウスによって乗っ取りが行われているところであった。
行き場を無くしたアデイラは、大商人の財産を処分すると言うクラウスに、自分もその一部として、他の資産家に売り、お金を作って欲しいと願い出る。
クラウスの元に商品として身を寄せることになったアデイラだったが、いつしか彼に心を許すようになっていく。
一方で、クラウスもまた、アデイラの高潔さに疑いの目を向け、本性を暴こうとするものの、それによって現れた素顔に、彼女を手放せなくなるのだった。

※全二幕十七場、フィナーレ付で全４０エピソード。
※時系列的には第二幕→第一幕なので、第一幕から順番に読んでも、第二幕→第一幕の順で読むこともできます。