5月21日 ピンチヒッター
明日の研修でいいものを必ずもちかえる。いつしか、俺はそんなことを考えていた。休みの日にもかかわらず、連絡を送ってくるあたり気合いが入っているなと感じてしまう。おそらく、この資料を作ったのは、営業三課の伊東さんだろうな。とても、綺麗にまとめてあり、読みやすい。ここに書いてあるものに関しては、先輩から聞いたことがあるものだった。あとは、それをどう実践するか。それが一番の課題だ。
同期の石木から、明日の集合場所が社外であるという連絡が回ってきたのだ。正直、社外でも社内でもどちらでもよかったが、わざわざ社外でやるということは何かあるのだろうか?俺はそこに疑問を持ってしまったのだ。しかも研修の場所は、かなり会社から離れた場所で通常であれば絶対に行われなさそうな場所なのだ。なんで、そこで行われるのか?俺はそこを突き止める必要があるのではないかと考えていた。ただ、そんな考えられる理由があるのか自分ではわからない。こんな時に髙橋がいてくれたらな?俺は、そんなちっぽけなことを考えてしまう。
これは村上さんから言われたことだが、今のままではロープレに合格しても一人で営業するには時間がかかるだろう。ましてや、売れるまでにはもっと時間がかかると。これが俺の中ではどういう意味なのかまったく理解ができなかった。村上さんは、深くは話してくれなかったが今のままではダメだと。何かを変えて欲しい。そんな想いがあるのかと考えていた。でも、何を変えればいいのかわからない。そんな俺に対して、巡ってきたのが今回の研修だった。これが意図的なのか偶然なのか?
まぁ、どっににしろ自分は明日の研修で何かを学んで持ち帰る以外の方法はないんだし頑張るしかない。あとは、先輩とどれだけ喋れるかも大事だ。特に、三課の伊東さんと話せるのは俺にとってかなりありがたかった。今市さんが一目置いてることに加えて、仲がいいとなると、俺にも必ずチャンスはあると踏んでいた。村上さんからは、伊東さんの話し方を特に注意して見ておくように言われている。どんな感じで営業してるのか、それが少しでもわかればな。営業同行さえ行ければ、そんなものすぐに盗めるんだけどな。俺たちの会社では同行するにはピンチヒッターができる前提というのがある。そのため、先輩の代わりができなければいけないのだ。髙橋は、先輩の代わりを見事つとめ、契約までとってきたツワモノだ。俺も早くしないとな。




