4月11日 乾杯
髙橋が選んだ店は、個室の居酒屋だった。四人ほど入れるけど、二人で優雅に座っていた。今日もパソコン作業をしながら雑務をこなしていた。早ければ、もうすぐ営業同行ができるそうだ。俺は、一歩ずつ進んでいければと思っていたが、髙橋は違うように感じていた。
髙橋「かんぱーい!」
俺 「乾杯!」
店員が持ってきたハイボールとジンジャーエールで俺は乾杯したのだった。
髙橋「今日も疲れたな」
俺 「ああ。疲れたよ」
入社式があって研修。研修が終わり、新たにそれぞれの課で働く。これからは、それが毎日なると考えるとなんとも言えない気分だった。別に嫌なわけではないけど、これから同じことが始まっていくんだと思っていた。
髙橋「どう、仕事は?」
俺 「まぁ、なんとも言えないな」
髙橋の顔色を見ながら答えた。
髙橋「そうなの?」
俺 「髙橋は?」
髙橋は、どう思っているのだろうか?
髙橋「つまんないけど、やるしかないよな」
俺 「つまんないんだ」
意外だった。あんなにやる気あるように見えた髙橋がつまんないと思っていることに。
髙橋「ああ。遠山は、楽しいか?」
俺 「楽しいかどうかは微妙だな」
この会社に来てから、まだ楽しいと思ったことは一度もなかった。
髙橋「俺は、早くスキルつけてこの会社をやめるよ」
俺 「えー!そうなの?」
まさか、会社を辞めるなんてな。やっぱり髙橋は、凄いな。いったいどんなスキルをつけたいのだろうか?
髙橋「そんな驚くことか?」
俺 「ああ。そんなの知らなかったし」
店員がポテトフライと唐揚げを持ってきた。"ありがとうございます"と言い、話を続けた。
髙橋「ハハハハ。まぁ、言わないよな。普通」
俺 「そうだよ」
俺も笑顔を見せながら髙橋の話に同意した。
髙橋「まぁ、会社に縛られて働くのは嫌だしな」
俺 「どんなスキル身につけたいの?」
髙橋が考えていることは、俺より数手先だった。
髙橋「やっぱり営業のスキルかな」
俺 「なんで?」
なんでそう思うのか?俺にはわからなかった。
髙橋「もし、一人でやっていく時に、なにもできなかったら困るだろ?」
俺 「それはそうだけど。お前は独立したいの?」
髙橋「うん。一から会社を作りたい」
俺 「すごい目標だな」
俺は、ただただ頷くしかなかった。




