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3月24日 採用

 受かると思っていなかった。なんとも言えない気持ちになっている自分がいた。ついさっき、俺は郵便屋さんの手から手紙を直接受け取った。そして、急いでリビングで封を開けた。当然、周りには誰もいない。受かっても落ちてもという状況だった。

 "採用"という二文字を目にした瞬間、私の眼前には幸せな未来が広がったかのように感じた。そんな大したことはないのだろうけど、今までとは違った感覚だった。目の前に、踏み締めたいほどの充実感が広がり、私は大きく息を吐き出した。それでも、5分ほど経つと我に返っていた。

 十数回も受ける予定の面接がこんないとも簡単に終わるなんて。想像すらできなかった。これから、この前みたいな一つ一つの会社で不安や緊張があるんだろうなと思っていたところだった。

 俺は、ソートミル株式会社じゃなくてもよかった。とにかく今は、どこかの会社に入って学びたいというら気持ちだった。面接の時には、言えなかったけどそのくらいの温度感。それでも、もしかしたら今の俺を最も成長させてくれる会社があそこだったのかもしれない。俺のこれからを考える上で最高のステップアップのために努力したい。

 そして、それが報われる瞬間がお父さんに求められることだった。これから先、仕事がどれだけ忙しくなるかわからないという心配もあるが、自分のやりたいことをやり遂げるための取り組みができたことは、大きな自信になった。待遇面は、土日休みで月給23万からのスタート。手取りにすると、20万も切ってしまうんじゃないかぐらいの額。それでもよかった。

 初勤務は、4月1日の入社式だ。紙の下の方には、自分で学び、自分で考え、自分で経験を積むことを理念と同時に記されていた。俺自身、自分で試してきたことが、大きな財産となってきたタイプなのでなんでも挑戦ぐらいのつもりでやるしかないと考えていた。

 採用されたことはよかったけど、それ以上にもう少しソートミル株式会社のことを調べることにした。俺が配属予定なのは、営業部だった。営業といっても会社によって違うのだろうけど、俺のイメージは、完全に当たって砕けろだ。昨日の面接の人も言っていたけどコミュニケーションが全てだと思う。そんなところに配属されたのはたまたまなのか、わざとなのかはわからない。それでも何か貢献したいと思った俺は、早速、営業用の本を書店で買うことにしたのだった。

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