3月17日 プリント
昨日の卒業式から、一夜明け、俺は恵太と話をしていた。恵太は、お菓子を頬張りながら、プリントを渡され、何かをはなしているみたいだった。しかし、全然聞かずに、恵太から渡されたプリントを黙って見つめていた。
俺 「これ、どうするの」
恵太「んー。どっちでも」
恵太からもらったプリントを眺めていた。起業家セミナーのプリントだった。
俺 「どうしようかな?」
恵太「暇やったら来たらいいのに」
恵太は、俺と一緒に行こうとしていた。
俺 「そうなんだけどな」
恵太「何が嫌なの?」
何が嫌って言われてもな、、、、。
俺 「嫌じゃないよ」
恵太「だったら来いよ」
恵太は、どうしても来させたいみたいがあって。ただ、その理由がよくわからなかった。
俺 「いっこ気になるところがあって」
恵太「何?」
恵太は、プリントを俺から取り上げた。
俺 「みんなビジネスマンが来るんだろ?自信ねぇよ」
恵太「なんだよ、それ。ハハハハ」
どうせビジネスマンの中に学生が行っても何もすることがないのがオチだろ?
俺 「行って何するんだよ?」
恵太「そりゃあ、面白い話を聞くんだよ」
面白い話って、なんだよ。恵太の行動は毎回驚かされるけど、面白いより忙しいと思ってしまうのが本音だ。
俺 「そうなんだろうけど。どうせ、ドリンク係だろ?」
恵太「ドリンク係って。面白すぎるだろ」
ドリンク係だろ、そんなもの。
俺 「そうか?だって、行ったらそうなるだろ?」
恵太「でも、仕方ないだろ。まだ、高校生だし」
恵太は、ドリンク係でも行く意味があるといいたいんだろう。
俺 「それだったら、行かない方がいいかな」
恵太「じゃあ、一緒に聞きに行こうぜ」
恵太は、俺の話は全然聞こうとしていない。
俺 「えっ?聞きに行くの?」
恵太「お前の考えか俺の考えがいいか」
恵太の言うことは一理ある。
俺 「そんなんしてくれるの?」
恵太「さぁ?わかんないけど」
相変わらず、言うことがテキトウだ。
俺 「まぁ、会ってみて考えろってこと?」
恵太「そうそう」
考えるって言われてもな。
俺 「会ってくれるのなら会うけどな」
恵太「じゃあ、また電話しとくわ」
俺 「わかった」
おそらく、これは恵太のペースになっていた。