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これは君のパラミシア  作者: 御乃咲 司
第六節『これは刹那に見た郷愁の想火』
200/323

197.禁忌の呪いが君の口を塞いでも

 

 一方、神都ウーレアにある地下の牢獄。

 シンカたちの戦闘の影響は、極小さな揺れとなってここにまで届いていた。

 この牢獄は外と内の魔力を遮断するため、ロウやミコトの気配が外に漏れることはないし、外からの気配も中に届くことはない。

 誰と誰が戦い、どういった戦況なのか。ロウたちには知る由もないのだ。

 しかしその極小さな揺れは、外で戦いが始まったことの確たる証だった。

  

「誰かが……戦っておるのか?」

「シンカたちだな」

「――ッ……ど、どういうことじゃ? 其方は余に会いに来たと言ったが、レベリオはやはり其方を解放する気はないようじゃ。その時のために、シンカたちを外に待機させておったということか?」


 約束の時間が過ぎても牢獄から解放されることはなく、ロウはレベリオが考えを改めてくれることを僅かに期待していたが、その願いも虚しく遂に戦いは始まってしまった。

 ロウは自分たちの目的をまだミコトに話してはいないが、こうなってしまった以上、いつまでもこのまま牢獄ここにいるわけにはいかない。

 

「……ミコト」


 名を呼び、ロウは拘束された手でミコトを抱え自分の膝の上に座らせると、輪になった腕をミコトの頭上から潜らせた。


「なっ、何をするのじゃ!」

「懐かしいだろ?」

「ッ、そ、それはそうじゃが、今はそのようなことをしておる場合ではない! 早く其方が此処を出なければ、シンカたちが――」


 悲痛な声を上げたミコトの口に指を当て、ロウはその声を遮った。

 

「シンカたちが戦っているのは俺のためじゃない。ミコトのためだ」

「余の? な、なぜじゃ……余のことで戦う必要など……ど、どこにも……」

「ある」

「ッ、ないっ!」


 再び悲鳴にも似た声を漏らし、ミコトはロウの膝の上で身を返すと、ロウの両肩を強く掴んだ。

 そして、睨んでいるのか泣いているのかわからないような表情を浮かべ、その想いをぶちまける。

 

「最初からこのつもりじゃったのか!? 何故余に会いに来た!? 其方がここにいたまま戦いが始まってしまっては、シンカたちに勝ち目はなかろう! 今の地国にはルインがおる! 其方はそれを知ってここへ来たのか!?」

「……そうだ」

「くッ……さ、最初は嬉しいと思うた。いなくなった余を心配し、様子を見に来てくれたことを……嬉しく思ってしもうた。じゃが……ッ、最初からこのつもりじゃったなら、余は其方に会いとうなどなかったっ!」


 強い拒絶の叫びを上げ、ミコトはロウを睨みつけた。

 眉を寄せ、丸い瞳を崩し、微かに潤む瞳。

 睨むにしてはあまりに弱々しく、怒鳴り声にしてはあまりに痛々しい。

 

「どうして……来たのじゃ。……其方がここに捕まっていては、誰が戦いを止めるのじゃ。誰が……こんなにも無意味な戦いを終わらせてくれる? 余は……ッ、余の……余の我儘のせいで……皆が……」


 ミコトは心に感じる苦痛に顔を歪め、両手でロウの服をぎゅっと強く握り締めながら、小さな額を胸元へと押し当てた。

 すると、ロウは小さな小さなミコトの体を優しく抱き締める。

 震えた体がぴくりと揺れ、手に入る力が強まった。


「昨日言っただろ? 俺は、ミコトをよく知ってるって」

「……」

「ミコト……君は臆病で、我儘で、甘えたで、すぐに泣きつく子だった」


 そう、それはまさに昨日ロウが言ったミコトとはまるで逆の姿だ。

 昔のミコトはそうだった。

 幼い頃はよくはしゃぎ、遊べとせがみ、元気でいつも笑顔の絶えない少女。

 しかし、その笑顔は今のミコトとはまるで違う。

 心の底から無邪気に笑うあの頃とはまるで違っていた。

 そうだ……違ってしまっていたのだ。

 それが悲しくて、辛くて、苦しくて……


 あぁ、もう十分だ。十分すぎるくらいに伝わった。

 手の中で震える小さな少女の心の声を、きちんと聞き届けることができた。

 これ以上は必要ない。だからこそ――

 

「誰が、この戦いを終わらせてくれるかと聞いたな」


 ロウの声に呼応するかのようなタイミングで、牢の外から規則正しく小さな足音が近づいて来るのが聞こえた。普通の靴音ではなく、下駄のような独特な音だ。

 その足音が扉の前で止まると、途端鳴り響いた甲高い音と共に扉が破られる。

 

「なっ……」


 振り返り、大きく見開いたミコトの瞳に映るのは、背丈ほどの薙刀を携えたハクレンの姿だった。

 

「……主君、お迎えに上がりました」


 ハクレンが静かに頭を下げると、ロウはミコトを抱えたまま立ち上がり、そっと彼女を地面に下ろした。


 ロウはレベリオに謁見する直前、ハクレンを外に待機させていたのだ。

 ルナティアが未だにブフェーラとの戦いから目覚めていないにも関わらずだ。

 つまり、レベリオと謁見した時に魔憑の力は使えず、あの時レベリオが交渉に応じなければ、屋根裏にいた者たちを相手にするには厳しい戦いとなっただろう。

 しかし、ロウは賭けに勝った。

 人の形を成す魔獣を有し、過去の愚行があったからこそ、自ら武器を捨て無抵抗を示すことで、レベリオを出し抜くことができたのだ。


 そして、ハクレンは振るった薙刀でロウの拘束を容易く解いた。


「……鎧はすべて始末済です。……お早く」

「あぁ、ありがとう」

「……主君の為ならば」


 ハクレンはロウに伝達石を手渡すと、すっと自分の頭をロウへと差し出した。

 揺れる尻尾に微笑みながら、ロウが優しくハクレンの頭を撫でると、彼女は恥ずかしそう頬を赤らめ耳を動かしながら、ロウの中へと戻っていった。


 すると、思考が追い付いていないのか、目を見開いたまま固まっているミコトを抱きかかえロウは走り出した。


「よ、余のことはいい! それより――」

「口を閉じないと舌を噛むぞ」


 ミコトにそれ以上言わすまいと、ロウはさらに加速した。

 そうして長い廊下を走り続け、出た広間には鎧人形が無残に転がっている。

 あまりに滑らかなその斬り口からは、一太刀で斬り伏せられたのだと容易に想像することができた。強固なあの牢獄扉を破った時点で、その斬れ味の凄まじさは見て取れるものだったが、さすがハクレンといったところだろう。


 そのまま広間を抜け階段を駆け上がると、眩むような陽の光が二人を照らし出した……地上だ。

 そこで一度立ち止まり、ロウはミコトを地面に降ろすと、すぐさま使えるようになった伝達石に魔力を流した。


「……聞こえるか?」


『あぁ、良好だ』


 相手はミコトに聞き覚えのない声だった。

 聞こえた声にロウは小さく微笑みながらミコトに視線を送ると、伝達石の向こう側の相手と目の前にいるミコト、その二人に聞かせるように言葉を紡いでいく。


「臆病で、我儘で、無邪気に笑う子がいた。だがその子は、いつしか我儘を言わなくなった。なんでも溜め込み、抱え込み、浮かべた笑顔は造り物。助けを求めることもできず、仮面の下で独り泣き叫ぶしかできないその子の、かつての笑顔が見たいと思う俺は……強欲だと思うか?」


『ふっ、今更どうした? お前が強欲なのは今に始まったことじゃない』


「………頼む、俺に力を貸してくれ」


『無論だ。その為に俺たちはここに来た……お前との約束を果たすためにな』


 そう言い残し、伝達石の通信が切れると、ロウはミコトに体ごと向き直った。

 小さな口が小刻みに震え、胸にの前に握り締めた手も、今にも倒れてしまいそうな足も震えている。

 そんな少女をロウはまっすぐに見つめながら……


「……ミコト、気付かなくてごめんな。ずっと、求めていたのに」

「な、にを……余は……」

「嘘を吐く相手は選ぶべきだ。今ならわかる、今なら聞こえる。たとえ禁忌の呪いが君の口を塞いでも……」

「――ッ」


 その言葉に息を飲むミコトの瞳が丸く見開かれる。、


「俺はミコトからその声が聞きたかった。だから、会いにきた」

「――」

「君の悲鳴も、救いを求めるその声も……君の声はちゃんと俺に届いてる。だから、取り戻しに来た。君の笑顔を……俺たちが取り戻す」


 その瞬間、此処まで響く爆ぜる音と共に、遠くで火柱が天高く上がった。

 煌々と燃え上がる火柱が、いったい何を意味しているのか。

 不安と苦痛、自責と心配、様々な感情を色濃く浮かべたミコトへと、ロウは優しく問い掛ける。

 ずっと求めていた彼女の救いの声を、心からの祈りと願いを叶える為に。


「ミコト……俺は、どうすればいい?」

「……ッ、くっ……うっ…………」


 両眼をぎゅっと瞑り、ミコトは震えた足取りで一歩、また一歩とロウへと近づいていく。そして怯えたような小さな手を、戸惑うようにそっと伸ばし、ロウの服の裾を強く強く握り締めた。

 これが精一杯。これがミコトの精一杯の叫びだった。


 ――助けて、と。


 ロウは優しい笑みを浮かべ、そっとミコトの頭を撫でると……


「あぁ、任せろ」

 

 彼女のこえを聞き逃すことなく、力強い声で答えた。






 門前の平原での戦況は何一つとして変わってはいなかった。

 シンカ、シエル、クベレがなんとか倒したのは最初の三体の虚人形クークラ

 そして今、苦痛に顔を歪めながら相対する虚人形の傷口からは、紅い魔力の粒子が流れ出ている。このまま流れ続ければ、いつか動かなくなるだろう。

 どうせ動かなくなるのなら早急に止めを刺し、次々に数を減らしていくべきだ。

 余裕のある相手であっても、シンカたちの体力も魔力も無限ではない。この後に控えるアリスモスとの戦いを考慮すれば、このような消耗戦など愚の骨頂。

 頭ではわかっている。そうしなければならないということは。

 しかし、それでも踏み出せない最後の一歩。


 そんな彼女たちを見下ろしながら、エクスィは門上にある通路の塀に立った。


「くだらねぇ。エナ、もう十分だろ。警戒する必要は何もねぇ。文句はねぇな?」

「任せます。やりたいようにやって構いません」


 もう満足だ、というように両眼を瞑り、エナは後ろへと下がった。


 少女たちに覚悟がなかったとは言わない。その秘めた力も認めよう。

 だが、それまでだ。

 その道は行き止まり。それが彼女たちの終着点げんかいだった。

 ただそれだけのことでしかない。

 壁の向こうに続く道があるというのに、シンカたちにその壁は壊せない。

 よくあることだ……優しさが強さの限界を定めてしまうということは。

 

「お前らが弱いとは言わねぇよ。だが、そこに立つには少し早すぎたな」


 エクスィは三人を見下ろしながら、右手に炎を纏った。

 赤い魔力が渦を巻き、右手に集約しながら炎へと化していく。

 右手に宿る炎は更に更にとその密度を増していき、飛び散る火の粉がはらはらと風に乗って舞い上がった。


 それに気付いたシンカたちが目の前の虚人形クークラを弾き飛ばし、後方へ跳躍したと同時に――


炎蛇セルペンス


 放たれたのは、大蛇を模した炎の一撃。

 巨大な咢を大きく開き、一直線にシンカたちへと襲いかかる。

 それはかつてミソロギアでシンカが敗れた技よりも、より一層大きく密度を増していた。

 シンカの脳裏に敗北の記憶が蘇る。

 眉を寄せ、右手を前に突き出し、黒い渦を出そうとした……その刹那――


崩壊への業火(メルトブレイク)ッ!」


 どこからともなく聞こえた声。

 その瞬間、地面を燃やしながら迫る紅蓮の炎が視界の片隅に映り込んだ。

 太い閃光のような炎はまるで魔砲のようだが、その威力は比べるまでもない。

 数多の虚人形クークラを巻き込みながら、炎の閃光は炎大蛇と激突した。

 さらに周囲の虚人形クークラが消滅し、鳴り響く爆音と共に昇る火柱。

 離れたシンカたちや、門の上にいるルインにまで、ちりちりと刺すような熱気が届いてくる。炎の閃光が通過した焼け焦げた地面からは尚も炎の残滓が立ち上り、めらめらと揺れていた。


「なんですか今のは……」

「あの男が言っていた援軍ですの?」

「……い、今の声」


 シンカが小さく声を漏らし、地面を燃やす炎の壁の向こう側に視線を送ると、そこに見える人影は二つだった。

 途端、残るたった六体の虚人形クークラがすかさずその二人を敵と認識し、作った魔力の武器を手に動き出した……が、同時に吹き荒れる暴風。

 炎の壁を巻き込みながら螺旋を描き、残った六体の虚人形クークラを天高く舞い上げた。


 そうして見えた懐かしいその姿に、シンカは思わずその名を叫ぶ。


「ッ、リアン! セリス!」


 そこにいたのは紛れもなくリアンとセリスの二人であり、ロウの言っていた援軍とはまさに彼らのことだったのだ。

 ロウに頼まれたムメイがアンスと接触し、アンスがムメイに渡した二つの入国許可証は無事、彼らの手に届けられていた。


 外界へ来てからというもの、ずっと彼らには会えないでいたのだ。

 二人とは数ヶ月振りの再会であり、懐かしい思いが込み上げる。だが――

 

「久し振りに会ったというのに、そんなにも情けない面を見せられるとは思っていなかったぞ」

「――っ」


 リアンがシンカに掛けた第一声はあまりにも辛辣なものだった。


「いきなりそれはねぇだろ、リアン」

「いきなりも何もない。戦うつもりがないなら下がっていろ」

「気にすんなよ、シンカちゃん。こいつ、本当は会う楽しみに――ぐほっ!」


 途端、セリスの声を遮るように、その顔へとめり込んだ裏拳。

 ごろごろと地面を転がり、止まった先でセリスは顔を両手で覆いながら悶えている。

 そんなセリスを微塵も気にすることなく、リアンは真っすぐにシンカたちを見据えていた。


「一人は知らん女だが、天使てんしのことは聞いている。何もできない駄目な天使だそうだな。何もできない者同士、お似合いコンビといったところか」

「リ、リアン……そんな言い方……」

「事実だ。何もする気がないなら、大人しく月国へ帰れ。お前たちがここにいてもロウの邪魔になるだけだ」


 その言葉に、二人は息を飲んで唇を噛み締めた。

 情けない面だと言われても、何もできない役立たずだと言われても、さっきまでの姿を思えば確かに仕方のないことなのかもしれない。

 しかし、ロウの邪魔になるというその言葉だけは、二人の胸を鋭く貫いた。


 特にシンカは、リアンが発した言葉の重さが痛いほどによくわかっている。

 ロウの力になると言って旅に同行し、外界に着くなり戦線離脱。

 今までの戦いを見聞きしつつ、リアンもセリスもずっと耐え続けたのだ。

 悔しかっただろう。苦しかっただろう。見ているだけしか、話を聞くだけしかできなかったこの四ヶ月というあまりにも長い歳月は。

 だが、力を使いこなせていない自分たちが傍にいても、ロウの邪魔になるだけだと彼らはわかっていたのだ。

 だから耐え続けた。だから強くなろうと努力し続けた。

 そうして今、彼らは此処に立っている。

 

「ちょっと、貴方。シンカの仲間なら、もっと他に言いようがあるのではなくて?」

「他に、だと? なら、この状況でどう声をかければいい。……よくやった。よく耐えてくれた。お前たちは立派だ。そう言えば満足か? そう言葉にすればこいつらが報われるのか? ……ふざけるなよ」


 鋭い眼光を放ち、何かを堪えるような低い声音を発するリアンを前に、クベレは思わず身を竦めた。

 これが本当に仲間なのか。これが本当に仲間へ向ける瞳なのか。

 リアンという男を、今のクベレが到底理解できるはずもなかった。


「いくら勝利へ導く棋譜があったとしても、たった一つの駒が間違った行動をすればその棋譜は意味を失くす。仲間のすべてが自分の役割を真っ当できてこそ、作戦は意味を成す。己が役割を果たせない者は、仲間を死へと誘う木馬だ」


 あぁ、そうだ……リアンの言っていることは正しい。

 今までもそうだった。

 彼の意志は強く、彼の意志は気高く、決して揺らぐことなく胸の中に熱い炎を滾らせている。

 自分の立場をわきまえ、自分の実力を過信せず、自分の成せることを成す。

 ただ傍にいたいという我儘で、ロウの傍に居続けた自分とは違うのだ。

 故に、彼の言葉のすべてがシンカにとっては言の刃だった。


「お前たちに足りないのは覚悟じゃない。ここに立つ意味への理解だ。そこにあるのは、ロウがお前たちにこの場を任せたというただ一つの事実。その期待に応えたいのか、そうでないのか。…………俺は、応える」


 強き意志を示し、リアンは門の上に佇むアリスモスへと視線を向けた。


「いつまでそうしてりるつもりだ?」


 そう言ったリアンの声はエクスィの耳に届き、彼は口元を大きく弛ませながら不敵に微笑んだ。





 エクスィの攻撃が掻き消され、巻き添えをくらった虚人形クークラはあっさり消滅。

 残った僅かな虚人形クークラも、意図も簡単に敗北を期した。

 その光景を前に、驚いたかどうかと問われれば、当然驚きは大きなものだった。

 その魔力に、その能力に、その強さに、というわけでは決してない。

 いや、内界のたかが人間がここまで力をつけたのは予想外だ。称賛に値する。

 しかしそれよりも驚いたのは、その攻撃に何一つ躊躇いがなかったという事だ。

 同じ人という形をした虚人形クークラを相手に、一切の迷いがなかった。

 本当の戦場ひげきを知らず、平和な世界に浸っていたはずだ。

 普通なら、そのような者が躊躇なく相手を殺すことなどできるものではない。


「あれは確か……ミソロギアの軍人か」


 こちらに目を向けず、シンカたちに歩み寄るリアンとセリスを見下ろし、ズィオは興味深そうに呟いた。

 

「力を完全に封じていた状態のエクスィとテッセラにすら、足元にも及ばなかったはずですわよね? この数ヶ月の間で、いったい何があったというのかしら。……あっ、痛そう」


 セリスがリアンに裏拳をくらい、転がりながら悶える様を眺めつつ、トゥリアは思わず自分の鼻を擦っている。

 

「一陣はあっさり全滅。あの二人に虚人形クークラは意味をなさない、か」

 

 ズィオの言った通り、リアンとセリスは虚人形クークラが相手だからといって戸惑うことなど決してない。

 確かに見るのは初めてだが、ここに来る前、すでにムメイから虚人形クークラの情報は聞かされていた。そして、それと戦わなければならないかもしれない、という事も。

 それでも二人に迷いはなかったが、主にその理由は二つ。


 一つ、単純に虚人形クークラという存在が許せなかった。

 その存在自体ではなく、それを生み出したミゼンの行いそのものがだ。

 ただ利用されるだけの存在。意思も感情も言葉も何もなく、ただ命令を遂行するためだけに、それだけの為に生み出された虚ろな魂とその身体。

 その魂が誰かの武器に宿っていたものならば、何かの道具に宿っていたものならば、物に宿るだけの確かな想いがそこにはあったはずなのだ。

 ならば、その想いを自由にさせてやるのが優しさだ。

 人ではない物の魂であったとしても、意思だけは自由であるべきなのだから。


 そして二つ、ロウが自分たちに助けを求めたという事実だ。

 救いたい人がいると言っていた。手を貸して欲しいと言ってきた。

 ならば、大切な仲間の一人としてその期待には応えてみせる。

 リアンとセリスは迷わない。戸惑わない。動じない。

 その相手が、たとえ人の形を成した人形であったとしても。


「魔憑の強さは意志の強さ……少々、手強そうですわね」

「とはいえ、他の三人は使いものにならんだろう」


 ズィオとトゥリアの会話を耳に入れながら、エナは静かに塀の上に立ったままのエクスィの背中へ視線を向けた。彼の固く握られた拳が小さく震えている。

 これから先に起こり得る彼の行動を想像しながら瞑目し、エナが小さな溜息を零すと同時に、下の方から挑発染みた声が響き渡った。


「いつまでそうしてりるつもりだ?」

 

 真っすぐなリアンの瞳を前に、エクスィは口角を大きく釣り上げる。

 そして、自身の感情を押し殺すような声で答えた。


「いや、なに……驚いてたのさ。余程鍛錬を積んだらしいな」

「そうでもない。だが、この程度で驚いていていいのか?」

「……どういう意味だ?」

「今からお前を倒すというのに、あの程度で驚いていては身が持たんという意味だ」

「――――」


 エクスィは言葉を詰まらせると、大きく開いた手で自分の顔を覆い隠した。

 すぐ後ろから三つ、吐き出された深い溜息が聞こえたが最早関係ない。


「くっ……くくくッ…………あははははははッ!」


 もう無理だ。限界だ。我慢できないし、する必要もありはしない。

 かつてのリアンはエクスィにとって、ただの猫と変わりない存在だった。

 だが、今こうして力をつけ、獅子となって目の前に立っている。

 心が躍る。感情が高ぶる。気分が高揚し、胸の奥から熱いものがこみ上げる。


 エクスィは額に当てている開いた左手の隙間からギロリとリアンを見下ろすと、右手で腰に携えた大剣の柄をそっと掴んだ。


「テメェらは手ェ出すなよ。アイツは……………オレ様の獲物だッ!」


 塀を強く蹴って飛び降りながら、エクスィは炎を纏わせた大剣を中空で大きく振るった。放たれた炎に対し、リアンもすかさず長剣を振るい、同じ炎を放つ。

 二人の中央で炎と炎がぶつかり合い爆ぜる中、その炎を掻き消すようにリアンとエクスィの得物が金属音を鳴り響かせて交差した。


「神殺しとの再戦は叶わなかったが、いるじゃねェかよ! ここにッ! ナァ!?」

「代役とは舐められたものだな」

 

 何度か打ち合う剣戟に混じって聞こえた声に、強く反応したのはクベレだった。

 どこか思い詰めたような表情を浮かべ、必死に大きな声を張り上げる。


「あ、貴方は神殺しのことを知っていますの!? 神殺しはここに来るはずだったのですか!?」

「アァ!? 水差してんじゃねェよ、女ァ!」

「――ッ」


 びりびりと痺れるような怒声と殺気に、悔しそうな表情を浮かべながら一歩後ずさったクベレの横顔を、シンカは悲しそうに見つめていた。


 クベレがこんなにも必死に大声を出したのは初めてだった。

 それに、リアンやエクスィに何も言い返せず、怯えたように萎縮した姿から察するに、男に対してやはり強い心的外傷トラウマがあるのは間違いなさそうだ。

 それでも神殺しに強い反応を示したということは、それだけ大きな執着を抱いているということなのだろう。

 

「あぁ……まじていてぇ。強くなった分、突っ込みの威力がやばいのなんの……。よっ、久しぶりだな、シンカちゃん」


 目の前で熾烈な戦いが繰り広げられているにも関わらず、セリスは軽く手を上げながらいつもの笑顔を見せていた。


「……セリス」

「ずっと見てたぜ? 死神の時も、闘技祭典ユースティアの時も」

「わ、私は……何もしてないわよ」

「そんなことねぇよ。見てみろよ、リアンの奴」


 そう言って視線を横に向けたセリスにつられるようにシンカも前を見ると、エクスィと互角に渡り合うリアンの姿がそこにはあった。

 打ち合う炎がここにまで熱を運び、剣戟の甲高い音が絶え間なく響いてくる。

 その姿に、かつてのリアンの面影は最早微塵もありはしない。

 出会った頃はシンカに守られていたというのに、今は遥か高みにいるのだと思わされる。遠いロウの背中に、リアンは必死に追いつこうとしているのだろう。


 ぽつりと立つ自分の前を必死に走るリアンの姿と、その先にいるロウの背中。

 シンカの瞳に、そんな幻が映ったような気がした。


 そんな中、セリスは相変わらずの軽い口調で言葉を重ねていく。


「俺たちは必死だった。置いて行かれなように。一緒に戦えるように。……シンカちゃんの姿を見て、俺たちは最後の壁を乗り越えることができたんだぜ」

「私、の?」

「あぁ、そうさ。闘技祭典ユースティアの時のシンカちゃんはほんと凄かったからな」

「あ、あの時の力は……今は使えなくて……」

「はははっ、違うって。確かにあの力も凄かったけどよ、そうじゃねぇさ。……走ってる姿がだよ」

「…………え?」

「降魔だらけのあの戦場を、一人で必死に走ってたろ? ロウの背中を追い掛けてさ。本当に凄かった。思わず見惚れちまった。負けてられないと思った。覚悟と想い、意志の強さが俺たちにまで伝わってきたんだ。だから俺たちも頑張れたんだ。でもなんつぅか……今のシンカちゃんは違うっつうか……」


 困ったような表情を浮かべ、セリスは頬をぽりぽりと掻きながら、何をどう口にしていいのかわからないといった様子で、それでも言葉を口にする。


「せっかく必死に追いかけて、傍にいようと思ってて、やっとロウが頼ってくれたことが嬉しくねぇのかなって。なんでシンカちゃんはロウを追い掛けるんだ?」

「……降魔が相手なら私も迷わない。戦える。でも……」


 相手は人と変わらない姿形をした人形だ……という言葉をシンカは呑み込んだ。

 

「武器には魂が宿る。ロウはそう言ってたろ? 無理矢理魂抜かれてさ、戦わされてたあいつらの意思はそこにあるのか?」

「……」

「意思だけは自由であるべきだ。そう言ってたロウはきっと、それがたとえ物に宿っていた魂でも自由になって欲しいんだと思う。だからさ、俺らは迷わねぇよ。やっと頼られたんだ。やっとロウの力になれる。俺らはロウの期待に応えるぜ」

 

 そう言って笑うセリスの表情が、シンカにはとても輝いて見えた。

 本当に嬉しそうに浮かべる笑顔に、一切の躊躇も迷いもない。

 強がりではなく、無理をしているわけでもない。本当に心の底からそう思っているからこそ、そんな表情を浮かべることができるのだろう。

 

「さてと……それじゃあ俺は……ん~………お前に決めたっ!」


 門の上に佇むアリスモスを真っすぐ見据え、セリスは伸ばした指先を突きつけた。





 単身で飛び出して行ってたエクスィだが、残りの三人はその戦いに割って入る気などまったくなかった。

 闘技祭典ユースティアでの戦いもエクスィは乗り気ではなかったし、いつも気怠そうにしていた彼のあんな姿を見たのが久し振りだったからだ。


 エクスィの本質は、戦闘狂と言っても過言ではない戦好きにこそある。

 殺し合うのが好きなわけでも、誰かを殺めることが好きなわけでもない。

 ただ全力で、ただ想いの全てを乗せて、ただただ無心に戦えるような、そんな相手を彼はずっと求めていたのだ。

 そんな中、エクスィが他人に関心を抱いたのはミロソギアでの一件が初めてであり、諦めない瞳に苛立ちながらも、同時に生まれたのは強い執着だった。


 エクスィが望んでいたのはロウとの再戦。

 ロウを前にすれば血沸き肉踊り、戦いへの欲求が胸を満たす。

 何故なのかはわからない。しかし、そんなことはどうでもよかった。

 そうして我慢し続けた先に、かつて自分を苛立たせた男がその身に熱い炎を宿して立ちはだかったというわけだ。

 ロウとの再戦が叶わぬというのなら、エクスィの欲求を受け止めてくれる者は彼をおいて他にない。

 一度欲を解放したエクスィの戦闘に割って入れば、後で間違いなく面倒なことになるということを、この三人はよく理解していた。


「はぁ……あの戦闘狂が。完全にぶっとんでるな」

「とても嬉しそうですし、よろしいんではなくて? ねぇ、エナ」

「そうですね」


 嬉々として大剣を振るい、楽しそうに戦うエクスィを見下ろしながら、エナは彼と同様に自分の中にもあるくすぶる想いを口にしていく。


「私たちは皆、この行き場のない想いを受け止めてくれる相手を望んでいます。ですが、この得体の知れない感情の吐き出し方がわかりません。エクスィの場合、それが戦いだということでしょう。ズィオがエプタを愛でるように……トゥリアが紅茶で心癒すように。貴女の占い好きも、いつかはという儚い希望の現れなのでしょう?」

「……そう、ですわね」

「俺がエプタを愛でるのは単なる愛情だ」

「このシスコン」

「煩い。お前を愛でたことはないだろうが。一括りにするな」

「言ってくれますわね。貴方がエプタに向ける表情をわたくしにまで向けたら、紅茶をぶっかけてやりますわ」

「そんなことはないから安心しろ。しかし、それを言うならエナのそれはいつもの恋愛小せ――ッ」


 一瞬向けられた凄まじい殺気に、ズィオは調子に乗り過ぎたと口を塞いだ。

 

「はぁ……お馬鹿ですわね」


 そんな彼を前に、トゥリアは呆れたように溜息を漏らした。

 そう、エナがいつも読んでいる覆布カバー付の本の中身は恋愛小説だ。

 しかし、エナが料理だけが何故か不得手であるというのと同様、それが禁句であることは周知の事実だった。

 

「ま、まぁしかしだ。俺たちの役目は門の死守であり、外の奴らを誰も中へと入れなければいい。エクスィが一人でやれると言うのなら、俺たちは楽ができるな」


 誤魔化すようにズィオが言った途端、


「――お前に決めたっ!」


 下の方から響き渡る声。


「そうでもなさそうですわよ?」

 

 トゥリアが肩を竦める中、セリスの突きつけた指の先にいるのは今まさに楽だと言っていたズィオだった。

 それを認識した途端、ズィオの表情が心底面倒臭そうなものへと変わる。


「どうして俺なんだ? 俺とお前の間に特に因縁はない。中に入らないのなら見逃してやる。それよりも、目の前で戦っている仲間に加勢しなくていいのか?」

「馬鹿っ! 加勢したら二対一になるだろうが!」


 その答えに、何を当然のことを言っているのかと呆れた表情を浮かべ、ズィオは嘆息しながら声を返すも……


「加勢するならそんなの当たりま――」

「そして一は俺だっ!」

「……」


 その答えは流石に予想外だった。


「それはさすがにキツイ! 心がなっ!」

「そ、そうだろうな」

「そして女を殴るものキツイ! 心がなっ!」

「……」

「つまり、だ……」


 間を置き、セリスは伸ばした手を下ろして腕を組みながら、そっと瞑目。


「俺の相手はお前しかいない、というわけだ」


 すぐさま真剣な瞳を見開き、真っすぐにズィオを見据えながら、いつになく渋い声でズィオに勝負を申し込んだ。


「何がつまりかわからない上に、今更格好をつけても無駄だが……いいだろう」


 ズィオは指先で眼鏡を持ち上げると、軽い身のこなしで門から地に飛び降りた。

 

「考えてもみれば、お前らを全滅させた方が早くエプタに会えるからな。来いよ」


 そう言いいながら灰色の手首輪(ブレスレット)に手を当てると、淡い光を放ちながら形状が変化し、両手に構えたのは旋棍トンファーだった。

 くるくると回しながらズィオがセリスを睨むと、対するセリスは過去に一度折れたことのある補強された槍を取り出し、両手でそれを構える。


「早く帰りたいとこ悪いけどよ、そう簡単にくたばるつもりはないぜ!」


 凄まじい風をその身に纏い、地を穿つほどの速度でセリスは一気に間合いを詰めた。対するズィオは突き出される槍の側面を左手の旋棍トンファーで弾き、間髪入れずに鋭い右を繰り出す。

 セリスは弾かれた槍を引き戻し、その柄で振るわれた旋棍トンファーを弾くと、そのまま槍を横に一閃。身を逸らして回避するズィオだが、槍の穂先にできた不可視の風の刃が服を掠めとった。

 

「面白い、不可視の刃か。間合いを取り辛くさせるという点においては優秀だ。使いこなせているのならな!」


 両手から連続で繰り出される旋棍トンファーを、セリスは横にした槍の側面や先端で器用に受け流しつつ、


「面白いぜ、その旋棍トンファーは……あれだ、凄い感じだな。使いこなせてたらなっ!」

 

 そう言って、風を身に纏わせ無理矢理距離を開かせると、すかさず反撃に転じた。





 両眼を瞑りながら手にした紅茶杯カップを傾け、トゥリアはそれをそっと塀の置くと、塀に手をかけながら面白そうに微笑んだ。


「阿呆っぽいですけど、見た目以上にやりますわね。エクスィの相手よりも粗は見えますけど……」

 

 そしてトゥリアは地面に顔を伏せたままのクベレの姿をその瞳に映すと、右手の人差し指を伸ばし、銃のような形を作りながら魔力を集めた。


「ばんっ」


 可愛い声とは裏腹に、放たれたのは圧縮された水弾だ。

 すぐさまその魔力に気付いたクベレが魔障壁を展開すると、衝突した水弾が水音を発しながら弾け飛ぶ。

 いきなり何をするのだと言わんばかりにクベレがトゥリアを睨みつけると、トゥリアは嬉しそうに笑みを浮かべた。


「お先に失礼しますわよ、エナ」

「……えぇ」


 身を投げ出し、ふわりとしたスカートを抑えながら華麗に着地。

 左右で爆ぜる炎や荒れ狂う風を気にも留めず、ひらひらと長いスカートを揺らしながら、トゥリアはクベレたちの方へと歩み寄った。


「わたくしの相手は貴女にお願いしますわ」

「……どうしてですの?」


 怪訝な眼差しを向け疑問を投げかけるクベレを前に、トゥリアは軽く腕を組みながら、わざとらしく考える込む様に視線を斜め上へ向けながら答える。


「そうでわねぇ……キャラが被っているから、かしら?」

「……ふざけてますの?」

「ふふっ、本当は興味がありますの。いえ、興味を持ってしまいましたの」


 そして、一定の距離で立ち止まったトゥリアは敢えてシンカを一瞥し、すぐにクベレへと視線を戻しながら問い掛ける。


「貴女がどうして、神殺しに反応を示したのか……教えてくださらない?」

「どうしてあたくしが貴女に……」

「その代わり、わたくしに勝ったら教えて差し上げますわ。神殺しの正体を、ふふっ」


 妖艶に微笑むトゥリアの言葉で、クベレの表情が険しいものへと変わる。

 そんなクベレを横目に、シンカとシエルの心中は穏やかではなかった。

 ここでロウが神殺しであることを知られるのは避けるべきだ。

 しかし、過剰な反応はシンカたちが神殺しを知っていると暴露するようなものであり迂闊な言動はできない。


「わかりましたわ」


 そんなシンカたちの心中など知らないクベレは一言でそう頷くものの、耳の奥に届いた声はあまりにも不安げなもので……


「……クベレ」


 その声に視線を送ると、シンカの僅かに光を陰らせた瞳と交わった。


 元よりクベレはこの戦いに参加する理由がない。

 ただ、ロウの行いが貰らす結果を最後まで見届けたいという思いだけだ。

 それをここまで巻き込み、危険に晒し、その上でロウの正体を隠し続けている。

 そんなことは今更だ……最初から戦いに危険がつきものなのはわかっていたし、ロウの正体を隠しているのもクベレを想うが故のこと。

 すべてを打ち明けるのは、ロウがクベレに発症した悲恋の病を治した後でいい。

 だが、この戦場に立ったのがクベレ本人の意思であったとしても、シンカの中に募るのは罪悪感と不安だった。昨晩の儚げに見えたクベレの姿が脳裏を過る。


 そんな思いを宿したシンカとシエルにクベレは小さく微笑んだ。

 

「心配せずとも負けるつもりはありませんわ。あたくしも見つけたいですもの。シンカたちのように、自分が信じたいと思える人を。だからここはあたくしに任せてくださいまし」


 昨晩のシンカとの会話から、そういったクベレの想いは確かにあった。

 だからここまでシンカたちと同行し、今こうして此の戦場に立っている。

 そして今まさに、すぐそこで戦っているシンカの仲間というリアンとセリス。

 彼らを見て、その声を聞いて、クベレの中のそんな想いはより一層大きなものとなっていた。ロウという男がどうしてそこまで皆に信頼されているのか。

 それをただ、知りたいと思ったのだ。


「決まりですわね。でしたら、少し離れましょう。ここは暑苦しいですもの」


 そう言って身を翻すトゥリアの背を見つめながら、

  

「シンカ、シエル、あたくしに見せてください。あの男が何を想い、何を成し、その先にいったい何をもたらすのか……この戦いの結末を」


 言い残し、クベレはトゥリアを追い掛けた。


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