俺、悪役と出会う
イケメン声は悪役の定番、自己紹介を始めた!何故始めたのかは俺に聞かないでくれ、彼等は彼等の美学がある、その美学は俺達一般人には分からない。
「あはははははは、僕はねぇ君達が言う新大陸のとある農村で生まれた、ドイロだ!僕の農村はね、君達ラストニアのお陰で!・・・族長の娘セシルアは!・・・」
彼は、此処で言葉を止めた!
感じる彼から俺達ラストニア人に対する憎しみが!何があった!新大陸に行った高位の冒険者が何かしたのか!神殿騎士団のガルダリンが酒飲んで暴れて、村一つを破壊したのか!
目の見えない俺に、メリーに、マリーに緊張が走った!
奴は叫ぶ!
「豊かになった!!!!!!!」
豊かになったんかい!!!!!!
「貿易で金持になったセシルアは、稼ぎの小さい僕の事を小さいと言って嫌ったんだ!!!!」
ドイロ!違うぞ稼ぎは少ないだ!小さいって言うのは!俺はあまりにも彼が気の毒でそれ以上は言葉が出なかった!
「失意の僕は此の『魔青島』に来て、此処の海辺で二人の女性と知り合った!」
メリーさんはため息を付きながら、「姉さん達イケメンに弱いから、」
「彼女達も僕と親密に成ればなる程、稼ぎが小さいって言うんだ!!!」
ドイロ!違うぞ稼ぎは少ないだ!小さいって言うのは!以下略、
「だから僕は、彼女達をペットのミーちゃん、ケイちゃんにあげたんだ!!」
「姉さん達は生きているのか!」メリーがイケメンに聞いている。
「彼等は、布や繊維が大好物だからね、」
素晴らしいぞ、ミーちゃんケイちゃん!
「人間は溶けないけど後ろから出て来るのは1週間後だ、其まで生きているかな」
いかん、出ちゃう前にしっかり見なければ!
俺は腰のボーチから『癒しの薬』を1本出した、流石に此の位の傷で薬のガブ飲みは出来ない、俺は瓶の蓋を開けて飲んだ。
イケメンは続ける、「僕には、ミーちゃんケイちゃん以外にも仲間は入るんだ、紹介しようゴブくんとリンちゃんだ!」
彼がそう言った瞬間、
巨大なツチノコが左右に移動し、彼等の後ろの洞窟がうっすらと見え始めた!
俺の目はゆっくりと視界が戻り、ツチノコが左右に移動して現れた巨大な洞窟の中が見えた!
其処に入るのは、
二匹のゴブリン、
では無く、
二千匹の病気持ちのゴブリンだった!
ええええええええええええ!!!!
二匹じゃないの!!!!
「ゴブくんとリンちゃんはお互い愛しあっているから増えちゃって、増えちゃって、」と言い訳するイケメン!
飼い主だろ!責任取れよ!ちゃんと矯正しろよ!衛生に気を使えよ!俺は怒鳴った!
イケメンは、「すまん、つい手術代をケチッタじゃなくて!この数だよ!!数!!此だけいたら僕はラストニアを征服出来る!」
出たよ出た出た、征服の二文字、征服って言葉を簡単に使う奴程、小物なんだよねぇ。
「うっ、うっ、うっ、うっ、煩い!僕はちゃんとやってるんだ、今だって!ラストニアに向けて此の洞窟の吹き抜けの縦穴から大空に向けてゴブくんとリンちゃんが病気の粉を蒔いているんだからな!」
俺は、あのカビ臭い風、咳をしているアースボルト!まさか!・・・偶然だよね。
「だまらっしゃい!!!このタンショウホウケイ野郎!!!!」
遂に、余りにも長い自己紹介に切れたマリーさんは男に決して言ってはならない言葉を発した!!!
その言葉を聞いた奴は、
「?タンショウホウケイって何?」
余りにも無知だった!!!
言ったマリーさんが照れて、「兎に角、私の御主人様に誘惑の魔法を掛けたうえに、私にも出してくれない貴重な鼻血を、貴重な鼻血を!!!更に、御主人様の目迄潰して!!!」
マリーさんはどさくさに紛れて、目潰し迄奴に擦り付けた!
「ちょっと待て、一体何の事を言っている!」
奴は慌てた、
マリーさんは叫ぶ!「例え、天が許しても!!あの白百合に掛けて!私は許しません!!!」
メリーさんは感動して、「マリーさん、それは『冒恋』最新刊!第12章『白百合の天誅』ですね!!!」
おい!流石にタイトル荒れてないか!そりゃ時代劇だぞ『冒恋』!
マリーさんは渾身の『剛力射ち』を一匹のツチノコに放ち!
ドバアッツツシュ!!!
「殺れ!!!!」、奴がゴブリンにツチノコに命令し!!!
ギャワワワワワワワワワワワ!!!
二千匹の病気持ちゴブリンが!
ズリズリズリズリズリズリ!!
巨大な二匹のツチノコが!
俺達に襲い掛かる!!!
ズバアアアンンンンンン!!!
マリーさんが放った『剛力射ち』の矢が一匹のツチノコの頭を打ち砕き!!
一体どっちのツチノコを殺った!
奴は叫ぶ!「ケイちゃあああああん!!」
あっちがケイちゃんか分からん!
一千匹の病気持ちゴブリンがマリーさんを取囲み、其を防ごうとメリーさんが前に出て!
残りの一千匹の病気持ちゴブリンは俺のもとに、
洞窟は大混戦と為った!!!
メリーは叫ぶ!「御主人様!姉様を!!」
メリーさん!俺が君の姉さん達を助ける!
大魔法は皆迄巻き込む恐れがあるから、俺はファイターにジョブチェンジした!
そして前に出ようとした瞬間!自分の体の異変に気がついた!
俺達の体にキノコが生え始めていた!
「あはははははは、発症したね!薬飲んでいても発症したら御仕舞いさ!此で君達も終わりだ!」
ドイロは笑う!
キノコが生えて苦しむマリーさんとメリーさん!
俺は叫ぶ!
「まだ俺は!!!ハッキリと見て無いんだあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺は只の40代後半のエロおやじでしかなかった!
どうする!俺!!