アルノルト 9
事件も着いたある日の夜。
ヴィオラからこんな提案があった。
「明日、昼間デートをしませんか?」
その瞬間、アルノルトは動きを止めた。
彼女が。
ヴィオラが。
初めて、自分から誘ってきた。
政略結婚。
そのはずだったのに。
彼女は、自分から、デートを誘ってきたのだ。
(ああ)
アルノルトの理性は、一瞬で崩壊した。
ワインを吹きこぼしながら、彼は何度も頷いた。
「何時にしよう?朝は鍛錬があって日の出と
共に起きているが?」
その時、ヴィオラが立ち上がった。
彼女が、アルノルトの顔に手を伸ばす。
ワインを拭う。
その手が、いつもより柔らかい。
そして耳元に身を寄せてきた。
ヴィオラの髪が、彼の頬をくすぐる。
「昼前がいいですわ。
だって今夜は、わたくしが貴方を食べてしまう
番なのですから」
アルノルトの息が止まった。
(何を、言っている)
彼女の言葉は、予想を遥かに超えた。
求め以上の言葉だった。
「子供をつくりましょう。
貴方とわたくしの、可愛い子を」
完全に理性を失った。
ワインのように全身を真っ赤にし、
ただコクコクと頷くしかできなかった。
(この女性は、俺のものだ。これからも、永遠に)
その日の夜。
ヴィオラが、二度目の主導権を握った夜。
アルノルトは、彼女の愛に完全に溺れていた。
彼女が自分から全てを与えてくれる。
その一事だけで、彼の理性は壊れていた。
そして、
アルノルトの愛は、満たされていた。
重く、執着的で、時に独占的な愛。
だが、確実に。そして永遠に。
完結
この度はお読みいただきありがとうございます。
これにて完結です。
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