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サラリーマン、異世界で働く。  作者: 雨崎 王助
世界のハマダ編
92/123

サラリーマン、やけくそである。

鉱石祭2日目の朝、俺はハンナさんとブースで今日の準備をしつつ話をしていた。


「ヤマダくん、ありがとね。実演のこと、色々考えて来てもらって。」

「昨日帰ってすぐ寝ちゃったせいで、早く目が覚めて暇だったんでいいですよ。それに、ああいう風にやるならやるで、きっちりとやりたいので。」

「昨日は職人さんだけじゃなくてイナリア商会から審査員の人も来てたんだけど、素晴らしい盛り上がりですねって好評だったよ。あ、もちろん魔道具自体も褒めてくれてたけどね。」

そういえばブースの端でハンナさんが技術者相手に魔道具の詳しい解説をしてくれていたはずだが、そっちを気にする余裕なんて全く無かった。主催者があれで良いと言うなら構わないが、魔道具の展示会としてはどうなんだあれは…。


ちなみに昨日は集計レースが終わったらどんどん次の回を初めていたが、今日からは時間をきっちり決めて開催することにした。予選10試合と決勝戦の計11レースだ。

ずらっと並ぶ参加希望者をずっと待たせるのも悪いので、参加者はくじによる抽選にした。これなら開始前に集まってもらうだけなので、希望者の整列に人を回す必要も無い。

それと、参加者の内4名がレジを使って6名がジテンを使うというのも公平性が無いので、10台全部ジテンにした。あくまでも今回の選定品はレジなので、集計レースの合間に行う通常の実演にはレジを使うが。



まもなく広場が来場者に開放されるので集計レースのスケジュールやくじを確認していると、ガストンさんにバシンと背中を叩かれた。

「おう、ヤマダ。色々考えてきたらしいじゃないか。今日も頼むぞ!」

「ええ。昨日は突然だったせいで、色々と段取りが悪かったですからね。ところで今日起きてから思ったんですが、鉱石祭での売上げが良かったら、その…。と、特別手当てとか、あったりします?」

朝起きてちょっと計算してしまったのだ。

ジテンが全部売れると売上げは約7000万コル。今回の人件費と旅費、ハンナさんに払った原価を差し引いても3000万から4000万近い利益が出るはずなのだ。


「子どもが産まれると親としては稼がんとなぁ?任せておけ。その代わり完売させろよ!」

「お任せください商会長殿!」

ぐっへっへ、ボーナスあるらしいっすよ。鷹也、父ちゃんは稼いで来るからな。



そんな話を聞いてしまってはやらんわけにはいかんのである。半ばヤケクソでレースの司会進行をした。


「抽選権25番の方はいらっしゃいますか?そちらの男性ですね、どうぞこちらへ。さあ参加者が揃いました。10分後に集計レースを始めますので、皆様まずはジテンを触って使い方を確かめてみて下さい。」


「さあ皆様お待ちかね。ハマダ魔道具工房主催、本日第3回目となる集計レース予選を始めていきたいと思います!それでは始めっ!」


「おおっと!奥から2番目の女性、クリスさんが早い早い!もう3ページ目に入っております!なお、こちらの10名がお使いのジテンは、隣でスミナ商会より8万2千クロンで販売されております。商会員の方やお店を営む方は是非とも購入をご検討ください!」


「皆様ご声援ありがとうございました!今回の予選優勝者はクリスさんです。本日夕方の決勝戦に出場されますので、是非ともその際にも熱い応援をお願い致します!なお、次回予選に参加をご希望の方は30分後より抽選券をお配りしますので、奮ってご参加下さい!」


できるだけ盛り上げてやろうと、テレビの司会とか実況みたいな感じでやった。

途中からちょっと楽しくなってノリノリだったのは内緒だ。


おかげで3日目が終わる頃には喉がガラガラになった。徹夜カラオケの帰りよりひでぇや。

でも、2日目も3日目もジテンが完売したからいいんだ。仕事はこなせただろう。


なお「ヤマダくん凄かったね。向こうでああいう仕事してたんだ…。」とは、3日目の夕食の席におけるハンナさんの言である。

当然だが、司会と実況はシステムエンジニアの仕事ではない。

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