サラリーマン、初の異世界食を食べる。
スミナ商会本部から歩くこと5分、どうやら飯屋に着いたようだ。
『ここはカンバー亭、なかなか美味い鳥を出す店なんですよ。』
社長が美味い肉だってんだから、そりゃあ美味いんだろう。
値段がこええよ。
店に入ると、ウェイトレスっぽい女性が声を掛けて来る。
「キスケゲル タァグ!ナタイム?」
意味は「いらっしゃいませ!2名様ですか?」とかなんだろう。
席に着いてもメニューは全然分からんので、ガストンさんに全部お任せだ。
15分ほど待つと500gぐらいありそうなデカい鳥の丸焼きと、こんもり盛られた野菜炒めが2つずつ運ばれてきた。
いや、なんかすっごい色してるけど、野菜だよね?これ。
『ささ、食べましょうか。私はこれが好物で、街に帰って来るとまず食べに来るのですよ。』
これで全部かな?主食とかは無いみたいだ。いや、量は既に十分なんだけども。
さっそく熱い内に頂こう。
手元を見るとフォークと棒がある。
ナイフじゃないんだけど、棒で押さえながらフォークで毟ればええんか?これ。
既に食べ始めたガストンさんを見ると、どうやらそうらしい。
『えっ、ウマっ!?』
塩と香辛料をかけて焼いたであろう鳥肉は脂がのっており、噛むほどに肉の旨みが口に広がる。
いや、美味いけどこれ牛ハラミみたいな味だな。美味いけど。鳥だよな?
『お口に合ったようでなによりです。ハナークの丸焼きを作らせたらここが一番ですからな。』
もっちゃもっちゃと鳥肉を噛みながら、ガストンさんが嬉しそうに語る。
いや、指輪使ってるから言葉は発してないんだけども。
しかし、すっげぇ美味そうに食うなこの人。
周りの席を見ると、皆コレを食ってる。「この店に来たらコレ!」みたいなもんなんだろう。
野菜炒めはシンプルに塩だけみたいだ。
黄色い葉っぱは何故かニンジンみたいな味がしたり、もやしみたいな野菜はコリコリしていたり、異世界感がすごい。
初めて食べるからだろうが不思議な味のものも多かったが、不味くて食えない野菜は無かった。
異世界人とは味覚はそんなにずれてないみたいで良かった。
ガストンさんや周りの人もやっているし、手掴みもこの店のマナー的には問題ないみたいだ。
最後は鳥の手羽やあばら骨を手掴みで貪る様に食べ尽くし、完食。ご馳走様でした。
贅沢を言えばこの鳥肉をおかずに白米を噛みしめたかったが、しょうがない。十分満足だ。
『やはりアスツールに着いたらまずはこの店ですな。腹も膨れましたし、商会に戻りましょうか。』




