賑やかな幼馴染。
あまり書くことはありません!
強いて言えば最近の鹿のブームが空の移り変わりを観察することから動物を観察することになったというくらいでしょうか。
『わたくしを怒らせたことを地獄で後悔なさい。』
レイの言葉に始まった小さな大戦争はもう一時間にも及ぶ長期戦となっていた。あまりの派手さに物凄く忙しいはずの商人ギルドの職員も様子を伺いに外に出てくるほど。
ルカ達はそんな大戦争の当人達と知り合いだと思われたくないらしく商人ギルドの前で如何にも気になって出てきました風を装いながら観察をしている。
『ねぇ、月祈。クロノス先生の才能って…』
『世にも珍しい時間操作だよ…それに加えて彼女が初の”Ray”っていう固有才能がある…』
ルカが目の前の小さな大戦争を見ながら月祈に問いかければいつもと同じようにゆったりとした物言いで答えが返ってくる。どうにも月祈は人を観察したり新しいものを作り出したりが好きなようで,どこからどう見ても研究者タイプ。
大抵知り合い程度以上の人に限るものの才能について聞けば故意に隠されていないもの以外は瞬時に答えが返ってくる。
『時間操作…って…あのしゅぱ!ってナイフが現れてるやつ?』
『うん…クロノス先生は、時間操作の天才の中でもずば抜けて優秀なものを持ってるらしいよ…』
レイと空燕の小さな大戦争はレイが強気に攻めて空燕は防戦一方というもの。いや、そうなるしかない状況なのである。
レイの戦闘スタイルは観察するところ時間停止で武具や魔法を相手の近距離に突如発生させたようにしている。連発しているから瞬間移動か時間操作だと見当はつくがその先に踏み入れさせてくれない戦い方だ。
固有才能の”Ray”は何も無いところから術と括られるものを作り出したり,武器に限って作り出せたりする戦闘向きの創造能力。
パッと見ていればレイ自身が軍そのもののような攻撃密度をしている。
『戦いたくないね…』
ルカはついポロリと本音を零す。
『全くだ。レイとコンはいつもこうだ。…はぁ…』
ルカの独り言をミナトが拾い,溜息とともに小さな大戦争の2人のあいだをじっと見つめ始める。
ついにおかしくなったかとルカ達がヒソヒソと話していると
ブツン。と大きな硬いものが切れる音がする。
『やりすぎだ。』
その場にいた全員が大きな音に目を瞬かせているとミナトが低い男性の声で音で収まった空燕とレイの方へ近づいていく。
『それは貴方よ。何も一言言ってくれればやめたものを空間操作でわたくしの武器ごと空間を消さなくても良かったんじゃなくて?』
手に持っていた無数のナイフを霧散させ,レイは不機嫌そうに近づいてきたミナトに言う。
言いながらもレイは興味がなさそうに手櫛で髪を梳いているので怒ってはいないのだろう。
『そうでもしければ止まらないだろお前ら。』
『あら。そう思う?』
レイと空燕から平等程度に距離を取りながらミナトは外套を深く被ったまま言う。
そんなミナトの言葉にレイは髪を梳く手を止め,ミナトを見つめては楽しそうにほくそ笑む。レイは言動も見た目も素晴らしく良く,時たま見せるこの不敵の笑みは人を才能なしにぽんと魅了してしまう。
そら見てみろ周りの野次馬の大半が魅了されている。
『やぁ!助かった!いい加減俺の魅了でも捌ききれなくなるところだったぜ…』
『お前の口は相変わらず災いの元だな。』
そんなことを気にすることなく明るくミナトの背中をバンバンと叩く空燕に呆れながらミナトは周りの様子のことも相まって深いため息を着く。
『まぁなんでもいいが,儂らものすごぉく注目されてるぞ?』
商人ギルドから貰ってきたのか湯のみのお茶をいつの間にか優雅に嗜む飛龍が口を開いて大層穏やかに言う。
それに周りを見渡した空燕はやらかした。という顔をしているしレイは当たり前だという風にミナトをくるりと商人ギルドの方へ向け呆けている空燕を置いて背中を押す。
『おい。レイ。』
『まぁまぁ,いいでしょう?空燕さえ外に放り出しておけば彼奴顔だけはいいから何とかなるわ。』
空燕の扱いについてレイとミナトが少し言い争っていたようだがルカ達3人はきっと”空燕って人こういう扱いが普通なんだろうなぁ…”と揃って思っていたことであろう。
『鹿…ありがとう…もういいよ。』
『レイだったか?あいつ、強いな。』
レイとミナトが商人ギルド内に入っていくのに飛龍が後ろからついて行き,それにルカとミナミが空燕に同情の眼差しを送った後について行き入る。
其の5人を横目に踵を翻そうとしたところで月祈は鹿の方を向き,少しばかり不器用な微笑みでお礼を言う。
当たり前のことのようで鹿は頷きながらもレイの方をじっと見つめて呟く。
──── 商人ギルド内 ────
『お騒がせ致しました。』
先程まで空燕を、外に放り出しておけば何とかなると言っていたとは思えない程の丁寧な所作でレイはギルドの職員に謝罪をしていた。周りの建物へ被害は全く出ていないとはいえ,店前で喧嘩をした事実は打ち消せないので仕方ないが
『ねぇ…ミナミ、あれどう思う。』
ギルド内の大きなテーブルを空燕は外に放り出しているのでそれ以外で囲っている頬杖をついたルカが怒り混じりの声で机をコツコツと指で叩きながら隣のミナミへ問う。
『あれって?』
『あれよ。クロノス先生達が悪いとはいえ永遠と文句言ってるわよあのジジババ。』
ミナミが首を傾げながらルカに聞きけば机を叩いていた指でレイの方を指さしながら答える。
その指の先には謝罪をしているレイとそれに永遠と同じ文句をつらつらと並べ立てるいい加減仕事を辞める年齢になりそうな男女であった。周りの職員の目も申し訳なさそうに伏せられていることから恐らく普段からこういった言動が目立つのだろう。
『気にするな。レイと空燕はいつもああだから怒られたくらいがちょうどいい。』
『そうだなぁ…』
そういう呑気なふたりは老人会にでも来たのかと錯覚する程優雅にお茶を揃って嗜んでいる。
『それにしても,これって東洋のお茶よね。こっちの方ではあまり見ないわ』
唐突に聞こえてくるはずのない人物、レイの声が介入してくる。時止めで近づいていたのか飛龍の手元にあったお茶が瞬きの間に消えている。
『また抜け出してきたのか。変わらんな。』
これみよがしにため息を着く飛龍は当たり前のように席を立ちレイからお茶を少々乱雑に奪い返して呆れているような言葉だが大層楽しそうに言う。
『当たり前じゃない。長い説教は嫌いだわ。途中から同じことしか言わないのよ。ま。空燕が役立つ機会を得られたのだからわたくしは大目に見てあげるわ。』
そう。どうしてレイがいることにいるはずがない。という思い込みで疑念を抱いたかと言うと微かに聞こえてきている男女の声が続いていたから。
そして今レイの一言でその場にいる誰もが何となく全貌を理解しああ。と哀れみをその場に居ない空燕に向ける。
『そーいえばさー、せんせーも飛龍さんも空燕さんもミナトもお友達?なかよしな感じする!』
哀れみを向けた中でも頭を抜いて感情の切り替えが素早いミナミはお茶を嗜み比較的空燕に向ける哀れみが薄いミナトに問い掛ける。
『………幼き頃の腐れ縁だ。』
ミナミの言葉にチラッと見てからずず。とお茶を優雅に啜ってからどうでもいいことのようにため息のように呟く。
『まぁそうね。ある意味馬鹿げた腐れ縁よ。』
ミナトの言葉にレイがツンツンとした様子で打ち返す。
『特にお前はな。』
『あら。どういうことかしら?ミナト。わたくしがなんですって?』
レイの言葉に不意に出た言葉に噛みつかれてはおっと。とレイから目を逸らす。
次はミナト,レイ,空燕,飛龍の昔話です。
さて。どんな昔話が出るでしょうか。




