第九十話
マーサの動きは早かった。
雷龍王の許可を取る前にある程度お茶会の手配をしていた。
必ず雷龍王は息子との時間を最優先する。確信はあった。
城には庭園が2つある。
来客用と雷龍王の関係者専用のプライベートな庭園。
迷わず関係者専用の庭園をお茶会の場としてセッティングする。
そのプライベートな庭園に予想しない人物が現われる。
雷龍王の側近の1人、ハイエルフのセリオン・ヴァルディア。
宰相に次ぐ地位、内外務の顧問・宮廷魔導長。
雷龍国ノクティスの実質ナンバー3が庭園に現われたのだ。
「ここは雷龍王様のプライベートな庭園ですが?」
マーサはこのハイエルフが嫌いだ。ローレライ様とは全く違う。
ハイエルフ至上主義で、自分の認めた者以外は見下す傾向が強い。
人族でメイド長のマーサは舐められていた。
「この後ここでお茶会が開かれると聞いたが、誰が来るんですかね?」
雷龍王の前では絶対にしない、明らかに見下した態度で接してくる。
「雷龍王様の親しい関係者とお聞きしています」
メイドとして礼を忘れず、淡々とお茶会の最終確認をしながら話す。
「だから誰が来ると聞いている!」
癇に障ったのか、口調が荒い。
ハイエルフとして優秀な人物であるが、性格はプライドの塊。
「守秘義務がありますので」
冷静に話すが、マーサの腹の中は怒りゲージが徐々に上昇してきている。
「頑固なメイドは本当にダメだな」
雷龍王が座る席に勝手に座り、王の如く振る舞う態度にマーサは切れた。
セリオンの真後ろに立ち、首元にナイフを突き立てる。
「三流エルフが調子に乗るな。殺しますよ」
ナイフの先は微かに出血している。
「えっ」
目の前にいたメイドに、いつの間にか後ろを取られナイフを首に突き立てられている。
宮廷魔導長であるハイエルフはこの現実が受け入れられない。
「耳が遠いのですか?早く席を立たないと殺しますよ」
いつものメイド長の口調ではない。
このメイドは一体何者なのか?
死の恐怖を感じ取り全身が緊張して動けない。
「あらっ。早く解毒しないと本当に死ぬかもしれませんね」
マーサはナイフを収める。
「お前何をしたっ」
ハイエルフは席から立てず、首を押さえながら地面に崩れ落ちる。
ナイフには即効性の毒が塗られていた。
「このまま死にますか?」
マーサの殺気でハイエルフはそのまま失禁、失神してしまった。
「お茶会の準備で忙しいのに。余計な仕事を増やされましたね」
溜息をつきながら、他のメイドたちを呼ぶ。
大嫌いなハイエルフだが、雷龍王の許可無く殺すのは良くないだろう。
「この失禁した馬鹿エルフにこの解毒剤を飲ませて。身ぐるみを剥がして、政務室に運びなさい。あと洗浄の魔法をこの場に急いでかけるように」
メイド長と何があったのか分からないが、口から泡を吹いている高慢なハイエルフの姿についメイド達も吹き出して笑ってしまう。
「何か言われたら雷龍王様のプライベート庭園に勝手に入って泥酔されたようですと伝えなさい。あとメイド長から運ぶように指示されたと言いなさい」
メイド達にテキパキと指示を出していく。
身ぐるみを剥がした物は清掃代としてこのまま頂きましょうか。
呪紋が消えたマーサには雷龍王の制約が完全に無くなっている。
生命を刈り取れるようになっている。
「さて、そろそろスノウ様を迎えに行きますか」
簡単な仕事を終えた程度の足取りで、新しい主の元に向かう。
皆さんこんにちは。徐々に暖かくなってきました。不安なことが・・・今年の花粉が去年よりも3倍以上と。
外を見ると今日はみぞれ混じりの雪が降っていますが、いつ花粉が来るのか恐怖です。
小説はメイド長マーサの実力が少しだけ垣間見えています。過去に雷龍王に何をしたんでしょうか?
書くのが楽しみですが、お蔵入りになる可能性もあります。マーサは主人公ではないので(笑)。
またタイミング見て投稿します。よろしくお願いします。




