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第89話 冒険者ギルド・チーフの苦悩

冒険者ギルドのチーフを任されているグラスは、ここ数日胃痛に悩まされている。

魔女の要人の救出クエスト解除後、副ギルド長ローレライはある男性とギルドの広場から消えてしまった。

その後の対応を任された自分は、毎日が地獄にいる。

副ギルド長の穴を埋めるために残ったギルド職員総出で対応しているが、冒険者たちがひっきりなしで詰めかけてくる。

正直、副ギルド長の穴を埋めることはできていない。

傾国の美女と言われた副ギルド長が、男性を保護して消えた……駆け落ち状態。

雑誌月刊冒険者ギルドの臨時版にすっぱ抜かれたことで、雷龍国内だけで収まると思っていた話が、大陸全土に知れ渡ることになった。

駆け落ちの話は、大陸全土にビッグウエーブを起こしてしまった。

この波は止まらない、止められなかった。

この記事を書いた記者を呪い殺してやろうかと思うくらい冒険者ギルドは、連日連夜が大混乱。

冒険者たち(ローレライ教の信者)の号泣、怒号、恨み辛み……そしてエルフ族の関係者がローレライと面会させろ、捜索しろと連日クレーマーとして押し寄せてくる。

雷龍王の側近であるハイエルフのセリオン・ヴァルディア、彼も動き出していると噂を聞く。

魔女の国は副ギルド長の居場所の情報に懸賞金を賭けており、大陸全土に魔女の情報網を張り巡らしている。

苦情係に割り振ったギルド職員たちも精神的に追い詰められており、労災認定されそうだ。

副ギルド長ローレライが数日居なくなっただけで、冒険者ギルドは収拾がつかなくなっている。

苦渋の選択として、現在ギルド内の入場制限をしている。


冒険者たちやエルフ族からの苦情対応の心労もあるが、独自で調査したクイーンアントの討伐記録を見て頭を抱えてしまう。

クイーンアントはギルドで定期的に討伐(間引き)しており、討伐の報奨金も支払い済みになっている。

問題なのは、討伐完了の素材が全く同じ物。ギルドで保管している素材を何度も提出していることだ。

毎回、討伐クエストを受けたパーティ及び受付嬢も同じ。

これを見つけたときに、途方に暮れてしまう。

最悪なことはギルド長の判子が押されていることだ。

ギルド幹部にしか知らされていないが、雷龍国の冒険者ギルドにはギルド長は実在しない。

副ギルド長ローレライがトップなのだから。

ギルド職員、受付嬢の中に不正を働いた者がいる。

この調査結果を副ギルド長にバード(魔法伝書鳩)を飛ばしているが、いまだに連絡が来ない。

冒険者ギルド内部と外部の問題に、頭も胃も限界に近づいていた。


副ギルド長が居なくなって6日目の夜、南側の方角に光の柱が出現した。

雷龍国ノクティスからでもはっきり見える大きな光の柱は神々しく、何かが降り立ったと感じさせるものであった。

目の下にクマを作った限界状態で神さまに願う。


「早く副ギルド長が帰って来ますように。神さま助けてください」


冒険者ギルド職員の総意を光の柱に願うのであった。


89話です。

今日からシルバーウィークが始まっています。ただ予定がありません。

髪を切るくらいでしょうか。普段の土日と変わりませんね。

家事が一通り終わったので投稿しました。明日も投稿予定となります。

よろしくお願いします。

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