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第83話 神の試練を越える者

神の試練はずっと続いている。

黒い自分との戦い。

これで何回目の負けなのか?

負けた回数を数える気力すら無い。

立ち上がる力も無く転がっている。


『知識をダウンロードするわ』


神の声かけに反応する気力すら無い。

黒い自分と戦う。

休憩時間に神の知識を頭に入れられる。

これの繰り返しだ。

終わりが全く見えない。

休眠期間は長くて一週間くらいだと言っていた。

この世界の時間の流れは現実世界の時間と違う。

神の力で時間の流れを変えられている。

現実世界の一日が、この世界の一ヶ月。

もう五ヶ月は過ぎている気がする。

食事や睡眠が必要ない世界で、休憩時間は一時間のみ。

戦闘奴隷の様な生活をしている。


『乗り越えなさい、守る力が欲しいのでしょ!』


自分の大事な人を守る。

その気持ちだけで試練を耐えている。


『私の持つ神の知識は次で最後。全ての知識を使って、黒い貴方を倒しなさい』


神の知識を使う……

どうすればあの黒い自分に勝てるのか?

身体、魔力、戦闘センス……全てにおいて勝てるところがない。

白銀のミノタウロス?蟻の魔王?

黒い自分と比べるもない。

次元が違う。

立っている世界が違うのだ。

蟻の魔王が、今ならスライムに見えるくらいだ。


『何を怖れているの?自分の枷をいい加減に外しなさい!』


自分の枷とは何だ?


『もう一度言うわ。貴方なら出来る!無限の可能性を宿す者!』


無限の可能性……

この世界でずっと黒い自分と戦った。

ずっと間近で見てきた。

黒い自分はもう一人の自分。


「わかった、何となくわかった」


ゆっくりと立ち上がる。


「休憩はもういい」


自分の言葉に、神は黒い自分を解放する。

黒い自分は殺す気で攻撃してくる。


(これでいいんだよな)


黒いスノウの一撃は白いスノウの体を捉えた。


『また休憩ね』


神の落胆した声が聞こえる。


「必要ない」


今回は違った。

一撃を繰り出した黒いスノウが苦しんでいる。

スノウの手が黒いスノウに触れた。

黒いスノウの体が抉られる。


「魔力は自由」


白いスノウは魔力を纏う。

魔力の鎧を纏って、攻撃を繰り出す。

今までの戦い方とは違う。

黒いスノウの攻撃は全く効かない。

この世界では、魔力そのものが周囲に満ちている。


(これならどうだ)


白いスノウから放たれた魔力は黒いスノウを包みこむ。

魔力の空間が創られる。

魔力の海の中で、黒いスノウは溺れるようにもがき苦しむ。

黒いスノウは徐々に動かなくなる。

動きは完全に止まり、やがて魔力の海の中から消えた。


「逃げられたか」


初めて黒いスノウに勝った瞬間だった。


83話です。

皆さんこんばんは。体力の限界が近づいております。

生きるために仕事をしなければならない。好きなことを仕事に出来ている方、本当に羨ましいです。

小説で生活できるようになるには、いまの何倍も努力が必要なんだと感じてます。

次回は金曜日予定です。よろしくお願いします。

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