第77話 スノウ争奪戦
現在。
冒険者ギルドの広場はお祭り騒ぎのような活気になっている。
クイーンアント三体、ストーンアントの残骸の山が広場を埋め尽くしている。
救出クエストに集められた冒険者たち以外も、次々と見物に集まって来ているため収拾がつきそうにない。
ローレライは焦っていた。
早急にこの場を収めて、彼を守らなければならない。
「チーフはいますか?」
喧騒の中、冒険者ギルドの役職持ちを探す。
「副ギルド長、こっちです」
チーフは、副ギルド長に手を振る。
「黒紫色のクイーンアントは素材にしてギルドで保管、それ以外はギルドで査定して買い取りしてください」
ローレライは魔女の代表の顔を見る。
「魔女の要人の生存確認は出来ました。救出クエストはこの場をもって解散。集まった参加者に対してのキャンセル料については、明日以降冒険者ギルドで仲介して魔女の代表と取り決めします。それで宜しいですね?」
魔女の代表は頷く。
「隣の酒場を貸し切り、救出クエスト参加者の慰労会を実施します。費用は私と魔女の代表で折半します」
ローレライの言葉で広場に集まった冒険者たちの歓声が上がる。
ただで飲み食いができれば、集まった冒険者たちからの苦情は少ないだろう。
冒険者は単純な生き物だ。
「クイーンアントのここ三年間の討伐依頼について、監査対象として調査を実施します。チーフが中心になって調査を早急に行ってください。分かり次第すぐに、私に報告するように」
「あと私はいまから1週間、有給休暇を使います。何かあればバード(魔法伝書鳩)を飛ばすように」
ローレライの言葉に、チーフは間髪入れず返答する。
「明日以降で副ギルド長は雑誌取材が二件、あとギルド支部会の会合予定もあります」
急に1週間休むと言われ、チーフの顔に焦りが見られる。
「全てキャンセルで!」
副ギルド長の有無を言わせない圧に負け、チーフは頷きしかできない。
「ちょっと待ちな。その坊主はどうするつもりだい?娘の命を救ってくれた恩人だ。うちで預からせて貰いたいんだが」
魔女の代表の横にいた戦士が口を出してくる。
「スノウ様は、私が保護します」
普段あまり感情を出さない副ギルド長の感情的な声に、周りの冒険者たちの注目が集まる。
「保護するなら魔女の国が安全だろう。悪い話じゃ無いと思うが?」
魔女の戦士が何を考えているか分からないが、引く気はないようだ。
「スノウ様は私に直接守れと言われました。お引き取りを」
副ギルド長VS魔女の戦士……静かに火花を散らしている。
「仕方ないねえ。力ずくでその“お宝”を渡して貰おうか」
どこかの山賊?盗賊?が言いそうな言葉を出している。
その笑顔には、冗談とは思えない迫力があった。
理知的な魔女の国の中でも、この戦士はかなり異質な存在なのだろう。
「人さらいは犯罪奴隷に落とされますが?」
「大丈夫だ。恋愛のもつれならノーカンだ」
いやいやノーカンじゃない。
周りの冒険者たちからも突っ込みが来そうだ。
「お母さん、それ誘拐、犯罪だから」
アイシャ嬢はまともだった。
「ふう……もう付き合いきれません」
スノウ本人をお姫様抱っこのように持ち上げる。
副ギルド長であるローレライがやると絵になってしまう。
聖母のような眼差しでスノウ本人を見ているため、一部の冒険者から尊いと声が上がる。
「ローレライ・エルフィンは、スノウ様の直接依頼により彼を保護します。異論は認めぬ!」
そう宣言し、転移魔法でその場から消えてしまった。
この出来事は雑誌月刊冒険者ギルド臨時版のタイトル=ご乱心?純愛?の副ギルド長が増刷されることになる。
77話です。
皆さんこんばんは。月曜日の仕事はきついです(泣)。
小説を書ける体力は残っておりません。早くお風呂に入ってだらけたいです。
次回は水曜日予定となります。よろしくお願いします。




