第五十二話
「遠距離のゆがみをバリスタで潰すなんて考えましたね」
アイシャは褒めてくれるのだが、実は勝手に出てきてゆがみを潰す手伝いをしてくれていますと説明してもきっと信じてくれないだろう。
小さい頃の昔話で夜中に家の中を掃除してくれる妖精の話があった気もするが・・・何を言っても冗談と思われてしまうかもしれない。
「何か凄い光景だな」
槍使いの魔女、バリスタを的確に撃ち続ける全身鎧の集団、美女をお姫様抱っこしている自分。どんなパーティなのよと突っ込みたくなる。
ゆがみは減らせたが、遠距離の3箇所から中級クラス以上の精霊が出現する。
この感じはたぶん上級精霊も混じっている。
「ソノセイレイヲ・・・カエセ」
この3体の精霊の中でリーダー格の精霊が話しかけてくる。上級クラスの精霊かもしれないが、お姫様抱っこしているうちの子よりもかなりの下の方の精霊に見えてしまう。
「理由は?」
渡すつもりは全くないが、奪いに来た理由はきちんと知りたいものだ。
「ツミブカイ・・・」
罪深い?何の罪よ?
「この子が何の罪を犯した?」
「オキテヲマモラナイ・・・ツレテカエル」
何の掟がある?初級精霊の時に精霊界から一緒に帰った時点で、この子は精霊界の関係をすでに切っている。今更掟を理由に出されて連れて帰りますみたいな話はありえない。
「確認するが、精霊王が命令したんだな?」
「・・・オナジカンガエノハズ。」
はっきりしない。単独行動で連れ去りにきている?
「渡す気はない。とっとこ精霊界に帰れ」
冷静に話しているが、この精霊の上から目線と話し方が気に入らないので煽り気味の口調にする。
「ヒトノブンザイデ」
怒りの沸点が低すぎるのか?人が嫌いなのか知らないが、この程度の会話で怒り出すなら知能が低すぎでしょ。2体の精霊に何か指示を出して向かってくる。
「一人貰いますね」
横にいた魔女のアイシャの拘束魔法なのか?誘導魔法なのか?向かってきた精霊の一人を球状の魔力空間から引き離す。
「そっちの精霊を出来れば弱体化させて拘束して欲しい。頼めるか?」
リーダー格の精霊と交渉が出来ないのであれば、精霊王にメッセンジャーが必要になる。
「無傷は無理かもしれませんがやってみます」
出来ませんとは言わないので、きっと拘束するだろう。あと二人はどうするか。
横にいる全身鎧(執事?)から肩を触られる。ジェスチャーで精霊の一人を相手にすると言っている感じがする。
「任せても大丈夫か?」
全身鎧(執事?)は頷き、バリスタと5体いた全身鎧の3体を空間収納に戻す。
全身鎧(執事?)+2体で装備を替えて相手にするようだ。
魔装使って装備を替えてるし、空間収納を普通に使えるあなたは何者ですか?と突っ込みたい。
「さて残りもので、人気のないお前の相手をしてやるよ」
沸点の低いリーダー格の精霊が突っ込んで来る。
皆さんこんにちは。GWはどうお過ごしですか?
昨日は子どものバレーボールの大会と重なってしまい小説投稿がやはり1日ずれました。
本当にすいませんでした。GWの体調管理気をつけてください。北海道は寒いのでストーブつけてます。
また2週間後に投稿予定です。