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第51話 帰還の一撃

『パーフェクトワールド(完璧な世界)』


蟻の魔王に対して神の力を発動する。

自分を中心にだいたい5m程度の範囲で、時を止めてしまった。


「これは反則だ。短時間でもこの力は規格外過ぎる」


魔王の身体を地面に固定し、首をねじ切るために何重も魔力念糸を巻き付ける。

崩れ落ちたソエルを自分の元に引き寄せる。

お姫様抱っこをするとソエルの時は解除された。

びっくりした表情のソエルは可愛らしい。


「知らないうちにソエルちゃんは絶世の美人になってしまったわけね」


つい軽口を叩いてしまうのは照れ隠しだ。


「そういう貴方も、いつの間にイメチェンかしら?髪の毛が白くても素敵な貴方は変わらないわ」


そう言うと唇を奪われてしまう。

時間的には数秒……

大胆なソエルの行動に、今度はこっちがびっくりしてしまう。


『スノウ……時間がない』


やや怒った神さまの声が聞こえる。


「誰?誰の声?」


ソエルが戸惑うのは仕方ない。

時が止まっている二人だけの空間で、自分の体内から知らない声が聞こえるのだから。


「説明は後、魔女っ子を引き寄せるから」


ソエルを降ろした後に、すぐに魔女を引き寄せる。


「えっ……、何で抱っこされてるんですか?」


喋った直後、顔は真っ赤。


「グフッ」


吐血&気絶。

この魔女はお姫様抱っこ耐性が皆無だった模様。

魔王の毒が原因と考えたい。


『スノウ!!残り10秒』


「わかってる」


魔力念糸で魔王の首を動かす。

この空間では直接触れなければ、魔王の時は止まったまま。

ただ首をいくら回してもねじ切れない。


「うん?何故ねじ切れない?」


予定では魔王の首はもうねじ切れているはず。


『確認だけど、虫の魔王、蟻の魔王であっている?』


『何故脊柱が存在する?虫の外骨格に脊柱が存在することは想定外』


声の状態で神が焦っているのがわかる。

神は虫の魔王と思っていた。

間違いなく目の前にいるのは蟻の魔王。

ただし卵から産まれた時は“人型”だった。

“人型”であった以上は脊柱=背骨が存在する。

背骨が存在する蟻の魔王と、誰もが思っていなかった。

このままでは首がねじ切れない。


「他に方法は?」


まさに神頼み。


『首の付け根に、直接傷を入れるしかない』


最悪だ。

ドールマスターである自分には切断系のスキルがない。

だからこそ魔力念糸で、首をねじ切る選択をした。


(やるしかない)


白銀のダガーで首の根元に一撃。

金色の外殻の時よりも傷が入る。


「レイブレード」


ソエルの光魔法で作った剣が、首の付け根に深く入る。


「硬すぎる、切り落とせない」


ソエルの光魔法でも首を切断できない。

魔女は、気絶しているので戦闘に復帰することは無理だ。

ここまできて倒しきれないのか。

あと数秒でこの空間は解除され、再び時を刻むだろう。

神頼みだが、神も完全沈黙。

この首を獲れる武器が欲しい。

何でもいい……

“力が欲しい”と願った。


(※※※※※※)


体の奥底で、何かが応えた。

右腕に、熱とも痛みとも違う感覚が走る。


「何だ?」


魔力の鎖が5本。

白銀の小手から右腕、指先へ這うように巻き付いていく。


「また暴走した!?」


魔力の鎖は右腕を覆い、まるで一つの腕になった。

魔力を宿した右手は、自分の意志とは関係なく動く。

魔王の身体に、外殻が裂ける一撃。

続けざまに首の根を掴み、締め上げた。

一瞬だった。

あれだけ硬かった首が、空中に飛んだ。


51話です。

皆さんこんにちは。北海道は急に寒くなりまして、急な温度差にやられています。

来週月曜日の投稿ですが、もしかしたお休みするかもしれません。

身内の不幸がありまして、月曜日に自宅に帰ってくる予定です。

小説の内容は濃いのですが、楽しめる内容だと思っています。

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