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第28話 見えない糸の狩人

雪山で登山をする場合は、寒さや雪崩の対策、ルートの確認は大切だ。

休憩やベースキャンプなどの場所の確認、現地の情報も大事になる。

ダンジョンもしかりだ。

本来ならばパーティでダンジョン内をマッピングしながら、周囲を警戒して進んで行く。


冒険者の職業には固有のスキルが存在する。

ドールマスターにも魔力念糸というスキルがある。

簡単に言うと魔力の糸を体から放出し、操作するスキルと言った方が説明しやすい。

人形劇の人形が糸で吊り下げられカクカクと動くとこを見たことはあるだろうか?

人形劇の印象が強すぎて、ドールマスターは手指から魔力の糸を出して操っていると思われている。

間違いではないが、正解でもない。

魔力念糸は体から放出できる。

手指以外でも足でも頭でも、体のどの場所からでも出すことができる。


31層を適当に進んでいるわけではない。

きちんとマッピングをしながら進んでいる。

端から見ると軽装のため、ちょっとした散歩をしているように見えるが、実際は体から透明な魔力の糸を放出しダンジョン内で索敵している。

これが便利すぎて、地形の構造や罠の位置、魔物の数やある程度の大きさまでわかってしまう。


索敵している魔力念糸に反応があった。

こちらに向かってくる反応が二匹、30m位先の天井に二匹。

マナキャンディを口に咥えながら、前方から向かってきている二匹の魔物に対して迎撃態勢を整える。

魔力念糸の感覚だと四足系の魔物が二匹。

目視で確認できる距離に来ても焦って歩くペースを崩すことはない。

なぜなら二匹の魔物は直前で蜘蛛の巣に引っかかっているように止まっているのだから。

透明な魔力念糸は、通常はそよ風程度の肌に何か触れたかな?位に微調整をしている。

自分に近づくと透明な魔力念糸を濃くなるように調整しているため、直前で動きが強制的に止まってしまう。

目視で確認できる距離であれば、魔力念糸により確実に拘束することが可能となる。

魔力念糸は拘束魔法バインドと変わらないことができる。

加えて気配察知のスキルも使用しているため、不意打ちに引っかかることはまずあり得ない。


問題は魔力の消費が異常に高いこと……燃費が悪すぎるのだ。

二匹の魔物はロックウルフ。

外皮が岩石に被われているため、切断武器が入りにくく打撃系の武器で攻撃する必要がある。

またはひっくり返して柔らかい内側の皮膚、関節部分を狙うのが定石となる。

ここで自分の戦闘が起きることはない。

例えるなら肉屋で吊された肉を卸す作業。

動けなくなった二匹の無防備なロックウルフに内側からダガーを入れて仕留める。

そして魔石を取り出す作業。

今回は手で直接取り出す必要もない。

白銀の小手に取り付けている鎖で直接引き抜けば良い。

これが自分の通常の戦いなのだ。


ロックウルフ二匹の亡骸を空間収納に入れてそのまま進んで行く。

歩くペースも変わらず、街を散歩するように進んで行く。

進んだ先は少し開けた空間だった。

普通なら休憩スポットとしてベースキャンプをするにはもってこいの場所かもしれない。

魔力念糸に反応があった場所はこの真上の天井だ。

天井から鍾乳石が垂れ下がっている。

この鍾乳石の中に魔物がいる。鍾乳石に擬態している魔物はロックバット。

自分の真下にきた獲物に尖った尻尾の一撃で獲物を仕留める魔物である。

元々はコウモリ系の魔物のため倒す分には難易度はかなり低い。

魔力念糸で擬態している二匹のロックバットを天井から引っこ抜く。

天井から引っこ抜かれると思っていなかった魔物は、魔力念糸により首を絞められる。

尖った尻尾と魔石以外は必要ないので、即座に解体。

戦闘らしいことはやはり起きない。

そんな感じで35層のBossエリア前に到達してしまった。


28話です。

皆さんこんばんは。不定期投稿になります。

やっと小説は徐々に面白くなってくる所になります。

明日も投稿予定ですが、子どもの運動会と重なっていまして、夜に投稿予定です。

いいね、感想頂けると励みになります。よろしくお願いします。

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