第二十六話
今日の私は世界で一番運が悪いのかもしれない。皇帝クラスとの戦いで致命傷を負いかけた、そして魔王との戦いで大事な人が傷ついた・・・
「最悪すぎる、この虫ケラが」
この魔王は確実に潰す。大事な人を傷つけた虫ケラに慈悲など与えるつもりはない。
両下肢を失い悶えている魔王に全方向からの黒い槍を何度も串刺しにしていく。
あっという間に黒い槍が刺さった球体が出来上がる。
周りから見たら圧倒的な戦いに見えるだろう。だが油断はできない。相手は魔王なのだから。
魔女のバフがかかった状態のためいつもよりはかなり魔法に威力がでている。
「まだ死んでないよね?もっと痛みを感じさせてあげるから」
再度追撃しようとすると、黒い球体に異変が起きる。
黒い槍が刺さり丸くなっている状態の一部が凹んだのだ。
「何?何をしているの?」
魔王は生まれてから何も食べていなかった。目の前に獲物がいるのに食べられない。食べようとすると獲物が抵抗してくる。近づくたびに全身に痛みが走る。
魔王は空腹のあまり自分の体に刺さっている黒い槍を食べたのだ。
空腹の限界が来ていた・・・口に入れれば何でも良かった。ただ食べた黒い槍は純度の高い魔力の塊であった。
その結果・・・
「グギャアアア」
魔王の咆哮とともにある変化が起きる。吸収のスキルが発動したのだ。
金色の体表面に刺さっていた黒い槍が魔王の体が取り込まれていく。
その結果、魔王の体は再構築されてしまう。
不完全だった金色の魔王は、全身黒いトゲを身に纏った姿に変身してしまう。
スノウが全身を魔力で纏っていたように、先ほど全身で受けた黒い槍を体表面で再現するように魔王は学習し成長しているのだ。
「そんなの反則でしょ?私の魔力をいま吸収したってこと?」
闇魔法を吸収し耐性も得ている、全身に黒いトゲを纏っている時点で初級魔法レベルの攻撃方法を得ていると考えられる。
「これはまずい、長引けばどんどん吸収されるかも」
闇魔法が使えるアドバンテージが無くなってきているのだ。
魔法を使えば使うほど吸収されてしまう、魔力が魔王の血肉になってしまうからだ。
やるなら確実に葬る一撃を考えないと・・・
スノウが戻ってくるまでに何とかしないと。
皆さんこんにちは。北海道は桜が少しずつ散りかけています。
桜が散ると、次は芝桜。四季が感じやすい地域です。その後は花粉症のシーズン。
地獄が始まります。今年の花粉症が軽めでありますように。
また2週間後よろしくお願いします。