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第14話 Aランク冒険者の薬草採取

「スノウ、聞いてもいい?」


「ソエルちゃん、どうしたの?」


相棒の質問にのんびりと答える。


「さっき鍛冶屋に装備を取りに行ったわよね」


「うん、行ったね」


「なんで薬草採取のクエスト受けているの?」


新しい装備になったのに、討伐クエストではなく採取クエストを受けている。

相棒の精霊が不満に思うのも確かだ。


「この鎧と鎖にまだ慣れてないから」


“無言の鎧”と言われているAランク冒険者が、鎧姿のまま黙々と薬草を摘んでいる。

かなりシュールだ。


「スノウは新しい装備を試したくないの?」


「……いま試しているよ」


最近討伐クエストをしていないため、ストレス発散したいのかな。


「実践をするなら、討伐クエストじゃないの?」


その意見は正論。


「もう少し慣れないと……まだ討伐は難しいかな」


ドールマスターとして魔力の操作には自信がある。

Aランクまで駆け上がって行けたのは、魔力念糸の熟練度に時間をかけていたからだ。


新しい鎧、白銀の小手、二つの鎖は、Aランク冒険者になった自分でも手を余している。


鎧は、前と魔力の通りが違う。

操作の感度も、伝達速度も別物だ。


前の鎧は操るときに一歩遅れた感じがしていた。

新しい鎧は全く違う。自分が考えた通りに即座に動く。


差は歴然だった。

見た目と違って、反射的に俊敏な動きができる。


「前の鎧と違って、何かヌルヌル動いているよね」


「そうなんだよね。これ、気持ち悪いくらい動くのよ」


鎧を着ているとは思えない動きができる。ただヌルヌルって。


「それに、普通は鎖で薬草を積みってしないわよ」


「自分も初めての経験だよ」


鎖を使った薬草の採取なんて聞いたこともない。

鎧の小手には隙間があって、上手く鎖が出入りできる空間を作ってくれている。

この細かな操作がいまの自分には必要だ。


物理の鎖は思い通りに動いてくれる。動かすには魔力量も多く、反応がやや重い。

大食いのおっとりした鎖。


見えない魔力の鎖は、魔力の流し方によって予想外の動きをする。

暴れん坊なお嬢様のような鎖。


“静”と“動”。

真逆の性格をした二つの鎖。


白銀の小手も、底が見えない。


こんな感じで薬草の採取をして新しい装備を試しているわけだが……ソエルは完全に飽きていた。

肩の上で、退屈そうに足を揺らしている。


「なんか、面白いことないかしら」


「たまにはのんびりと薬草取りもいいよ」


薬草を鎖で摘み取りながら返す。


風が草原を揺らす。


静かだ。


こういうゆっくりした時間は嫌いじゃない。平和だ。


「おじいちゃんみたい」


「おじじかもしれない」


「そこは否定してよ」


呆れた相棒の声が返ってくる。


小さく笑いながら、次の薬草に鎖を動かした瞬間。


ソエルの表情が変わる。


「……スノウ」


さっきまでの気の抜けた声じゃない。


「どうした?」


ソエルが、遠くへ視線を向ける。


「何かいる」


空気が、少し変わる。


「複数。かなり慌ててる」


ソエルの視線の先へ、魔力を伸ばす。


確かに、複数が戦っている感じがする。


ソエルが眉をひそめる。


「囲まれそうだね」


草原の向こうだけ、風の流れが乱れていた。


第14話です

皆さんこんばんは。北海道は大荒れの天気・温度差に悩まされています。

現在:外の温度が4℃……偏頭痛が凄いです。

あと二話くらいで、やっと本編に戻れそうです。

世界観の説明をどうにか入れたいのですが、難しい。

次は16日の投稿予定です。よろしくお願いします。

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