第115話 絡み酒のメイド
人生は冒険だ。
だが、冒険には色んな失敗があると思う。
お金、恋愛、結婚……人生には様々なエピソードがある。
その中で、お酒で失敗したことはあるだろうか。
マーサと街中で合流して、一緒に外食に行くことになった。
雷龍国は冒険者が集まるため、居酒屋が多い。
お気に入りの梟の止まり木にマーサを連れて行く。
昼は食堂、夜は居酒屋になるお店だ。
安く飲めて、お腹いっぱい食べられる。
そして、締めのパフェも美味しい。
今日はマーサのことが知りたくて、お酒を勧めてしまった。
これが大失敗だった。
梟の止まり木は、スタッフ全員が魔女のコスプレをしており、それを目当てに来ている独身男性の冒険者も多い。
昼のスイーツ店と同じく、魔女関係のお店なのだろうと思っている。
邪魔が入らないように、念のため個室に通して貰った。
マーサのメイド姿は目立ってしまう。
魔女の店に何でメイドがいる?新手の営業妨害と思われても嫌だ。
実際、魔女とメイドの戦いも面白いと思うが、今日はマーサのことを深掘りしたい。
二人でお酒を飲み始めた。
自分はマーサ自身についてほとんど知らない。
義母である雷龍王の命を狙った暗殺者、メイド長、そして自分の教育係。
胸の呪紋で雷龍王に囚われていたが、自分が剥がして壺に封印した。
そして、今は自分に終身雇用されている。
「マーサはお酒とか飲める口なのかな?」
マーサはエールを持ったまま動かない。
「実は飲んだことがありません、これは美味しいのでしょうか?」
「飲んだらわかるよ」
マーサはちびちび飲み始める。
「これは微量に毒が入ってますね」
「毒?酔う成分のことかな?」
「あと、少し苦みが強いです」
エールは確かに苦みが強い。
自分もエールより、蜂蜜酒の方が好みだ。
「次は蜂蜜酒かワインにしようか」
エールの苦みで複雑そうな顔をしているマーサを見るが楽しい。
オーク肉の唐揚げもスパイシーで美味い。お酒が進む。
「スノウ様は……魔女が好きなんですか?」
思わずお酒を吹き出してしまう。
「何でそう思ったの?」
「ローレライ様から、クイーンアントの討伐や魔女の要人を救出したと伺っています。マーサも魔女の姿が良いのでしょうか?」
この発想がマーサだ。
仕事は無駄なく確実に行う。
この不思議なところも、マーサの魅力の一つだと思う。
「マーサのメイド姿は可愛いし、魔女の格好をする必要はないよ。魔女の格好をしても可愛いと思うけど」
お酒が進んでいることもあって、マーサの頬も徐々に赤みが増してきている。
「これが女性をはべらせる、女慣れした男の言葉なんですね」
再びお酒を吹き出してしまう。
「まっ、マーサさん、もう酔ってる?」
「酔ってないですよ。酔うって何ですか?」
エールの半分も飲んでいないのに、絡み酒のメイドが目の前にいた。
115話です。
徐々に寒くなってきました。10月の後半ですが、北海道はすでにストーブをつけてます。
来週から小説の投稿が週二回の予定となります。本当にすいません。
仕事と小説を書く時間の調整が上手くいきません。苦渋の判断をしました。
これからもよろしくお願いします。




