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プロローグ

 生き物は様々な欲望を持っている。意志あるものは、その欲望が多様な訳で今の自分の環境もその欲望の中にいる。

 自分は感覚の中でも嗅覚に優れていると思う。様々な匂いが好きだ。匂いフェチと言ってもいいかもしれない。その中でもお茶や珈琲の匂いが好きだ。お茶や珈琲は精神を安らかにさせ、心を豊かにしてくれる。原産地によっては色んな表情を見せてくれる。焼きたてのパンやクッキー等と合わせると、心が幸せで満たされていく。

 自分が紅茶なら、恋人や結婚相手は焼きたてのパンや焼き菓子であって欲しい。そんな妄想でにまにましていると、後ろから頭を小突かれてしまう。


「冷やかしならとっとと店から出て行きな」

そうここはパン屋の中・・・魔女の麦畑というパン屋の中にいるのだ。


 朝早くから出来たてのパンの香りに全身が包まれているはずだが、当の本人はたぶん汗臭い。パンの香ばしい匂いでは相殺できない体臭がでているのかもしれない。

 朝のバイトである鍛冶屋の研ぎ仕事が終わって、日課のようにパン屋に通っている。たぶんパン屋の従業員と言われてもおかしくない。

 常連過ぎるからこそ頭を小突かれてしまうのだが、魔女産の何か怪しい薬が練り込んであるんじゃないかと思うくらいパンが美味しいのだ。お店の名前から魔女っぽいパン職人が作っていると思いきや、アマゾネスのようなバーサーカーのような恰幅の良いおかみさんが作っている。

レジの上に飾られているバトルアクスもいまだに謎なのだが・・・


「アンタ、いま失礼なこと考えてなかったかい?」

女性の勘は恐ろしい。


「そっ・・そんなことないですよ、新作パンがないかなと」

とっさに目をそらす。

「パンばかり食べないで、きちんと肉を食べなさい」

そこはパン屋が言うことじゃない。


「年中パンを買いに来て、いい加減飽きないのかい?」

そこもパン屋が言うことじゃない。呆れ顔で言われるが、好きなものは仕方がない。恋人や結婚相手はパンか焼き菓子の匂いがする子を希望していますので。


「仕事がなくなったら、うちで雇ってやるから」

おかみさんに軽口を言われるくらいの関係になっている。


「冒険者で稼げなくなったら、お願いしようかな」

どの世界でも世の中はお金で回っているし、愛が大事と言われてもお腹を満たすわけではない。愛だけでは生きていけない。悲しいけど現実はそんなもんだ。


「そろそろ帰るので、いつものパンを」

できたてのちーちくパンを買っていく。ちくわという練り物の中にチーズが入っている絶品のパンだ。袋の中には、昨日の残りのパンや時々新作のパンが入っていることもある。


「今度店のパンを全部買い占めさせて貰うから」

毎回このやりとりで店をでていく。絶品のちーちくパンを口にくわえながら、朝の太陽を浴びて冒険者養成所の寮に帰って行く。


皆さん初めまして。初投稿になります。本日6月29日は実は誕生日です(笑)。

この作品は学生時代に未完成だったものをリメイクしています。

仕事もしているため毎週の投稿は難しいかもしれませんが、次回は遅くとも2週間以内には投稿したいと考えています。

温かく見守って頂けると幸いです。




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