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デュマリエ家のお屋敷

 ウマイーノ街で、ルナンおすすめのレストランに入り、ステーキを堪能したシトラス一行。

 ちょうどフライ・ドッチキンを倒して中に入った時は人もまばらで、ゆっくり食べる事ができて良かった。

 250㌘で、ジェニファーやティナ、ルナンには少し量が多いかなと思ったけど、運動した後で三人ともお腹が空いていたらしく、ペロリと平らげた。


「あ〜、美味しかった」


 満足して店を出る。

 一通り街を見学した後、ルナンが言った。


「ご主人様。少し寄りたい場所がございます。寄り道をしてもよろしいでしょうか?」

「うん、いいよ。ルナンの好きな場所に寄っても」

「ありがとうございます」


 ルナンの寄りたい場所って何処だろう。

 ウマイーノ街を出て西の方に進む。

 大陸が出っ張って高くなっていた。

 岬みたいだ。

 その岬の崖の縁に、大きなお屋敷があった。


「わたくしが、お仕えさせて頂いたお屋敷です」


 白い壁が、雨風で汚れていた。

 庭も草が生えている。

 しかしぼうぼうという感じでは無い。

 お屋敷に近づく。

 人の気配がした。


「おやおや、どなたかいらしたのですかな?」


 庭の草の中から、紳士的なお爺さんが姿を現した。


「あなたは……」

「おや、ルナンさんではありませんかな? お久し振りですな」

「セバスさん……」


 ルナンとお爺さんは、にこやかに挨拶を交わすと、話を始めた。

 彼の名はセバス。

 このお屋敷で執事長をしていたそうだ。

 メイドだったルナンとは、仕事仲間という事になる。

 セバスはあの頃と変わらない服装をしていた。

 蝶ネクタイをして、ピシッときめている。

 姿勢もいい。


「それにしても、懐かしいですわ。まさかあなたに出会えるなんて」

「わたしもです。ルナンさん、あなたの森が焼けたと聞いて、みな心配していたのですよ。元気で何よりです」

「このお屋敷も、変わっていませんね」

「ええ。旦那様と奥様が亡くなられた後も、わたしが時々、お手入れをさせて頂いてます。年を取ったせいか、至らぬ部分もありますが。ところで、この方々は?」


 セバスはシトラス一行の事を尋ねた。

 ルナンが説明する。


「失礼しました。こちらは勇者シトラス様です。こちらが魔法使いジェニファー様。弓使いロック様。召喚術士ティナ様です。わたくしも、今は勇者様の仲間として、一緒に旅をさせて頂いています」

「そうですか。あなたがあの勇者様でございましたか」


 セバスはいたく感激した様子だった。

 ティナがルナンに聞いてみる。


「ねぇルナン、ちょっと聞いていいかい? このお屋敷の持ち主って……」

「はい。こちらはデュマリエ家のお屋敷でございます」

「デュマリエ……! ああ、やっぱりそうなんだね。ねぇ、このお屋敷にリカさんってお嬢様、いなかった?」

「はい。リカお嬢様はこのお屋敷のご息女でございました。ティナ様、リカお嬢様をご存じなのですか?」


 感動して言葉が喋れないティナに代わって、シトラス達が説明する。

 ルナンとセバスはそれを聞いて涙を流した。


「まあ、ティナ様がリカお嬢様の行かれた街のご出身でしたなんて、何と言う縁でございましょう」

「旦那様も奥様も、人の為に尽くされる優しい心をお持ちでした。リカお嬢様も、その志を継がれたのでしょうな。立派な偉業を為し遂げられ、セバスは嬉しゅうございます」

「ルナン、セバスさん……」

「勇者様。あなた方になら、旦那様のお心を託す事ができるでしょう。旦那様は、亡くなる直前、わたしに遺言を残されました。このお屋敷の宝を、世界の為に役立ててくれと。魔王を倒す為、世界を旅しているあなた方なら、宝を差し上げるに相応しいでしょう。どうか世界の為に、役立てて下さいませ」

「セバスさん。本当ですか?」

「ええ。ご自由に、お屋敷を見てやって下さい。旦那様も、お喜びになるでしょう」

「では、わたくしがご案内致しましょう」


 ルナンはセバスに礼をすると、シトラス達と一緒にお屋敷へと入った。

 広いお屋敷だ。

 一体何部屋あるんだろう。


「それにしても、お宝が貰えるなんて、ラッキーだったな。シトラス」

「ああ、大ラッキーだぜ。けど、いいのかな?」

「ご主人様。遠慮なさらないで下さい。セバスさんの言った通り、旦那様はとてもお心が広い方でした。困っている方がいたら、私財を投げ売ってまで、その方を助けようとなさいました。ですから今回、ご主人様が貰って下されば、旦那様は喜んで、笑っていられると思います」

「ルナン。分かった。世界の為に受け取らせてもらう」

「はい!」


 シトラス達はお屋敷で、高価な宝石や服、アクセサリーなどを手に入れた。ジェニファーとティナは、聖女の杖を見つける。今までの杖より攻撃力が高く、更に扱う人が女性なら、たまに相手の魔法攻撃を跳ね返すという優れものだ。

 こうしてシトラス達はデュマリエ家のお屋敷で、さまざまなお宝をゲットし、先に進んだ。

 大陸の果てにいるという、聖霊を目指して。

 次はどんな出会いが、待っているのやら。



お待たせしました。遅くなりましたが、更新します。あと、読者の皆さまにお願いです。この小説を面白いと思ってくれた方、感想やポイント評価などをしてくれると嬉しいです。

お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

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