東の大陸に飛べ
火山の頂上に続く道を歩いて行く。
フレイルの洞窟の所までは道を知っているから、スムーズに歩いて行けた。
一度見た看板が建っている。
草が少し伸びたか。
「聖霊がいるかもしれない洞窟って、お前達、この獣道を行ったのか?」
「そうだよ兄さん。すぐ洞窟があったから良かったけど」
「しかし、長い洞窟でしたよね。聖霊の所に着くのに、時間がかかりました」
「色々暗号があってさ。頭使ったよな、オレ達」
「無い頭を、でしょ。ロック」
「そうそう。って何言ってんだジェニファー。失礼だな」
「わたくしより毒舌でございますね。ジェニファー様」
「ごめ〜ん。冗談のつもりだったの」
「そうか。苦労したんだな」
「兄さんは、オーブを揃える時にいなかったから。聖霊にも会ってないしね」
「シトラス。その言い方はないと思うな。ガルディスだって苦労したのよ。アタシ達を守る為に、魔王城に捕まって」
「そうだね。ゴメン、兄さん」
「いや、いいんだ」
「さて、先に進みましょうか。皆さま」
「ああ!」
看板を過ぎる。
山道はまだまだ先に続いているようだ。
今の所別れ道は無い。
道なりに進んで行ける。
ふと後ろを振り向くと、広い大陸と、遠くに一軒宿屋が見える。
さすがにウマイーノ街とデュマリエ家のお屋敷は見えないか。
だいぶ登って来たんだな。
風もある。
火山だから、温かい風だが。
「はあ」
「いかがなさいましたジェニファー様? ため息などつかれて」
「ん〜。何か疲れたな〜と思って」
「大丈夫かジェニファー。そう言えばお前、暑いの苦手だったな。具合悪いのか?」
「えっ、違うのシトラス。そんなんじゃないから」
ここでガルディスが一言。
「シトラス。ジェニファーが疲れたのなら、おぶって行ってやったらどうだ?」
「ええ!? や、あたし平気だから」
「そりゃいいや。シトラス、そうしてやれば?」
「ジェニファー。たまにはシトラスに甘えなよ」
ロックとティナまで乗って来る。
シトラスとジェニファーは赤くなり、まともに顔を見れないまま。
それでも、
「ジェニファー、ほら」
「う、うん……」
シトラスの背中に、ジェニファーは乗る。
少しスカートに触れたようだ。
「あ〜! シトラススカートめくり上げないで。中身が見えちゃう!」
「何!? 俺は見えないぞ」
「後ろのオレにはバッチリさ。シトラス、残念だったな」
「きゃあ、ロックのエッチ!」
「あのジェニファー様……。何も見えてはおりません。大丈夫でございますよ」
「そ、そうなの? なら、ロックって……?」
「へへ、さっきのお返し。嘘だよ〜っと」
「なら、さっさと行くぞ。掴まってな、ジェニファー」
「う、うん」
何故か怒っているシトラスは、ジェニファーを背中に乗せ、とっとと行ってしまう。
残ったロック達は、キョトンとしながら、
「少し冗談が過ぎたのでは? ロック様」
「そうかな? そうかもしれないな」
「でもロックの気持ちも分かるよ。頑張ってるもん。坊や達」
「さすがティナさん。大人の女性〜」
「フフッ」
「なら急ごう。待たせても悪い」
「そうね。ガルディス」
と話しながらシトラス達の背中を追った。
火山の頂上。
先に到着したシトラスはジェニファーを優しく下ろし、仲間達を待っていた。
結局、別れ道は無かったな。
ゴツゴツした岩が散らばっている。
火口を眺めた。
大きい。
シトラスは覗いてみたかったが、ジェニファーが危ないと止めた為、我慢した。
それでも、近くまで行ったが。
そこに、ロック達の声が聞こえる。
シトラスは手を振って呼んだ。
「待たせたな。おっ、これが火口か。初めて見た〜」
「危ないよロック、近づいちゃ」
「そうなんだ。俺もジェニファーに止められた」
「う〜。じっくり見たかったのに〜。あ、そうだ。んな事より、テレポートゾーンはどこだ?」
「あ、そう言えば」
手分けしてあちこち探して見る。
が、それらしき場所は見当たらない。
光っているから、分かりそうなものなのだが。
「これだけ皆さまで探しても、見つかりませんね。不思議なものです」
「そうだね。一体どこにあるのやら」
「ティナさん、ルナン。休んでる暇無いですよ。早く見つけなきゃ」
「そう言うけどねジェニファー。アタシらだって歩き回ったんだよ」
「とすると、まさか……」
ガルディスが火口を覗く。
ああ、と納得した顔をした。
シトラスとロックも同じ物を確認し、女性達を呼ぶ。
呼ばれたジェニファー達は、恐る恐る近づいた。
火口の深い穴の側面。
一部が飛び出していた。
そこにテレポートゾーンの、星のマークが光っている。
「まあ、あのような所に」
「ああ。まさかと思ったがな」
「シトラス、あたし達、あそこまで降りるの?」
「降りるというより、飛び降りられるかも。足、届きそうじゃん」
「そうだな。それじゃ」
ロックが飛び降りた。
シトラス、ガルディスも飛び、女性達を抱き降ろす。
ルナンは、猫の姿から華麗にジャンプ。
見事に一回転して着地した。
高い所から降りる時は、猫の姿の方がいいらしい。
「さて」
ようやく見つけたテレポートゾーン。
シトラスは仲間達の顔を見た。
彼らは笑って頷く。
全員乗った。
ビュン。
東の大陸へ、シトラス達は移動した。




