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「殺す、ね……本気で言ってる?」最強格闘JK、転生先では拳を開放する  作者: Gai


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第26話 まだ、理解の範疇

(っ、やけくそや思いつきではない……知っている動きだ)


ロングソードを弾き飛ばした段階で模擬戦は終了……そう思っていたリゼスだが、妹であるスランの表情を見て、その考えは消えた。


彼女は手元から得物がなくなったという状況に一切の狼狽えがなく、当然のように地を蹴って自分と距離を取り、更に右腕の痺れがなくなるまで闘気の弾丸を放って時間稼ぎ。


そして……右腕の痺れが消えた瞬間、スランは再びリゼスとの距離を詰めた。


(魅せて、もらおうか!!!)


模擬戦が始まってから無表情だったリゼスの表情に、初めて笑みが零れる。


振り下ろす斬撃は先程までと比べて少し早い。


刃に闘気を纏っていないとはいえ、受け方を間違えればそこで模擬戦終了のダメージを受ける。


「っ、ふッ!!」


「っ……………」


だが、スランはその斬撃をあっさりと躱しながら、右拳からアッパー気味に闘気の弾丸を放った。


勿論、リゼスはそれをあっさりと躱してしまう。

ただ……妹の刃物に対して素手で挑む躊躇の無さに、良い意味で恐ろしさを感じた。


(一切の躊躇が感じられなかった……壊れているのか、それとも慣れと言えるほど鍛錬を積んできたのか…………どちらにしろ喜ばしいことだな)


デリルガーナ家は、世間一般的には剣の名家である。

だからこそ、死んでも手を離さずに戦うといった精神性も大事ではあるが……それはそれとして、万が一手から剣が離れてしまっても最後まで戦い続けるという精神性も大事だとリゼスは考えていた。


(とはいえ、だ……この、技量…………もしや、徒手格闘に、関しては……私たちの中で、一番か?)


普通に考えれば、あり得ない。

スランはまだ七歳であり、長女であるリゼスは十五歳。


スランほど他の兄姉たちが真面目に徒手格闘を習ってなかったとしても、生まれる差……結果ではない。


しかし、リゼスは自身の剣を掻い潜り、拳から闘気の弾丸を放ち……時にはそのまま拳を振るい、蹴りを放つ打撃の質が……どう考えても自分より上だった。


(……これは、私も負けてられないな)


嬉しそうに小さな笑みを零しながら……サクッとスランの首筋に刃を添え、一度目の模擬戦が終了した。







「はぁ、はぁ、はぁ……ありがとう、ございました」


「ふっ。まだまだ繰り返すのだから、礼の言葉は後で構わない。それはそうとスラン……お前はやけに徒手格闘の練度が高いな」


悪く思っている、というわけではない。


ただそれはそれとして気になるため、休息時に少し探りを入れた。


「そうですか? そう、言ってもらえると……ぷは~~~。嬉しい、です」


「あぁ……本当に練度が高い。まだパルガやルカナとは模擬戦をしたことはないが、他の弟妹たちとは模擬戦や試合を行ったことはあるが、あいつらと比べて徒手格闘の腕はスラン……お前が一番だ」


「ありがとうございます……ずっと、一日中訓練してるようなものなので、その間にも徒手格闘の鍛錬をしてます」


スランなりにリゼスの言葉の意図を汲み取り、答えられる範囲で答える。


「そうか…………まぁ、そうだろうな」


それしか、方法はない。

あえて理由を探すのであれば、スランの場合ロングソードなどの武器よりも徒手格闘の才がある……もしくは飲み込みが以上に早い。


しかし、デリルガーナ家以外の者たち……外の世界を知っている彼女からすると、スランの徒手格闘の腕前……技術的な部分は一級品……に少し及ばずとも、それに近い領域に到達していると断言出来る。


(スランの母、アンナさんは徒手格闘の達人ではない……父はそれなりに素手だけでも戦えるだろうが、それを主軸としているわけではない………………いったいどこから流れてきたのだろうか?)


才能とは、必ずしも遺伝……流れる血だけで決まるものではない。

それはリゼスも理解しており、突然変異的に生まれながら持つ才というのも存在する。


だが……リゼスの本能が、スランのそれはそういったもので片づけられるものではないと告げていた。


「そういえば、リゼス姉様はメインで扱うのはロングソードだけなんですか?」


「いいや、違うぞ。私は主にロングソードと大剣、それと刀という武器を使っている。刀という武器はだな「刀があるんですか!!!???」……刀という剣を知っているのか?」


ロングソードや大剣は知らないわけがない。

だが、刀という珍しい武器は知らないだろうと思い、どういった武器なのかと説明しようとしたリゼスだが……どうやらスランは既に刀という武器のことを知っていた。


「はい! 本で読んだことがあります!!!」


「……そうだったか」


本で読んだことがある……それならば、異常に突出した徒手格闘の才や腕前よりかは納得出来る。


勤勉、というのは少々予想外ではあるが、デリルガーナ家に多くの書物があることを考えれば、十分理解の範疇であった。


「そこまで気になるなら見せてやろう」


そう言うと、お付きのメイドがリゼスの元までアイテムバッグを持ってきて……その中から刀を取り出した。


「これが、実物の刀だ」


「おぉ~~~~~~…………」


(……父や私が用意した霊薬を見る時よりも、よっぽど目を輝かせているな…………そういえば、二つ目の褒美が決まらないと手紙に記されていたな…………ねだる交渉材料になるか)


リゼスとしては、自分は既に父に甘えるような年齢ではないと思っている。


ただ……それとは別に、まだこれからも自分が強くなるために貰える物や得られる機会というのは是非とも手に入れておきたい。


その交渉として、スランが武器の中でも刀というものに大きな興味を有しているというのは、非常に強い交渉材料と言えた。


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