お見合い30回の連敗記録
都内ニューオータカホテルのレストランの席で──。
「真山さんとお話させて頂いて、改めて笑顔が素敵な素晴らしい女性だと感じました。ぼ、僕と、結婚を前提にお付き合いしていただけないでしょうかっ?」
俺・一ノ瀬一(30)は目の前のクラシカルなワンピース姿の女性を前に、心臓バクバクになりながら必死に言葉を捻り出した。
彼女はお見合い相手の真山藍里さん(24)
会うのは今日が初めてだが、ショートボブに愛らしい笑顔で、人の話を親身になって聞いてくれる彼女がお嫁さんになってくれたらどんなにいいかと思い、思い切って交際を申し込んでみたのだが……。
「あ、えっとぉー、その……。い、一ノ瀬さん、ごめんなさい……」
困った様な顔であちこち視線を彷徨わせた末、最終的に申し訳なさそうに丁寧なお辞儀をする彼女に、俺はガクッと項垂れた。
やっぱり駄目だったか〜!
これでお見合いを断られるのは30回目。
連敗記録を順調に増やして、年齢と同じ30の大台に乗ってしまった……。
✽
ゴトッ……ガタンゴトン……。
帰りの電車で、申し訳なさそうな顔の彼女の言葉を思い出していた。
『あのっ、一ノ瀬さんがなしな訳じゃ全然ないんです!
サッパリしたスポーツマンタイプな外見も素敵ですし、お話してとても真面目で誠実そうなだなぁ。この人と将来を共に出来たら幸せになれるかもしれないとも思いました。けれど……』
ぐっと唇を噛み締める。
『結婚後は、G県の高齢者率75%の過疎地域で農業で生計を立てて暮らしていくんですよね?
ちょっと結婚後の人生が想像出来ないです。
本当にごめんなさい……。今回はご縁がなかったという事で……』
「そうだよなぁ。都会の会社でバリバリ働いているおしゃれな女性が、田舎のしかも、全国で一ニを争うような高齢者率の高い町にで住むなんて考えられないよな……。はぁっ……」
住んでいる地域では出会いもなく、都内のお見合い相談所に通ってみる事にしたが、厳しい現実を突き付けられ、俺は深いため息をついた時……。
ブーッ。ブーッ。
「!」
バイブで着信を告げる携帯電話の画面を見ると、妹のメールが入っていた。
『やっほー、お兄! 実家着いたよ〜ん! 隣の佐川婆ちゃんから、煮物のお裾分け貰っちゃった。すっごい美味しそうだから、早く帰っといで? あんまり遅いと全部食べちゃうよ〜?』
「そうか、今日は三琴が来る日だった……。佐川婆ちゃん有難い。あそこの煮物美味しいんだよな」
俺は最低に落ち込んだ気分でいながらも、三琴と佐川婆ちゃんのやり取りが目に浮かび、僅かに口元に笑みが浮かんだのだった……。
✽あとがき✽
読んで下さりありがとうございます!
異世界スローライフ(?)の新作「なかなか結婚出来ない農家の俺(30)、婚活の為、パパッと魔王倒してエルフの嫁さん田舎に連れて帰ります!
」の1話目になります。
異世界ファンタジー要素はまだ慣れていないので、何かおかしなところがあったらご指摘頂ければ大変有難いですm(_ _;)m
ヒロインをイメージした手描きイラスト、AIイラストを近況ノートおよびみてみんに添付していますのでよければご覧くださいね。
しばらく月〜金週五投稿させて頂く予定です。
今後とも宜しくお願い致します。m(_ _)m




