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今昔悪童ポーカー狂騒曲  作者: DA☆
第六章・空前絶後のォォォ! 全員集合!
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第六章・空前絶後のォォォ! 全員集合!/5

 再びジョーがテツの耳を引いてささやいた。「こいつらの言う〝対話〟は、自分らの主張を受け入れるまで永遠にわめきちらす、他の言葉は何ひとつ聞かないって意味だぞ。この際、バクチに乗ってくれるっていうなら、当面は不毛な会話の手間が省けて助かるし、負かしてしまえば〝オマエあのとき負けたじゃないか〟でごたくを全部無視して突っぱねられる」


 「後ろに誰か、糸引いてるヤツがいるんじゃないのか?」テツが尋ねると、


 「うーーん、普段はそういうのはいなくて、純度百パーの傍迷惑な正義感だけで行動してるみたいなんだが、今回はたぶん入れ知恵して焚きつけたヤツが……」


 ジョーが顎をなぞって答えるそばから、焚きつけた当人が茶の間に登場した。


 「やぁやぁ、これはみなさんお揃いで」


 見覚えのある、ずんぐりむっくりした高級スーツ姿。ふたりは、藤倉興業の営業車の中からこの男を見た。小金山義司である。八滝和子と一緒に訪ねてきて、突進する彼女の後をゆっくり追ってきたとみえる。


 小金山は言った。「この町にギャンブルの施設なんてとんでもない話です。それを穏便になくす方法があるのなら、是非協力させていただきたい」


 「小金山ァ」みゆきが立ち上がり、心底見下した口調で小金山をねめ回した。彼の悪行の噂は、宮司たる彼女は当然知っている。「ホンネはカジノが欲しくて欲しくてたまらねぇくせに、おべんちゃら言ってんじゃネェよ。お見通しってヤツだ、日本の神様ナメんなよ」


 竹森も立ち上がって迫った。小物ではあれど地域振興課長という立場上、小金山の動向は多少なりとも理解している。「そうですよ、ウソはよくない! 小金山さん、あんた以前、ウチに場外馬券売場の企画書持ってきましたよね!」


 「そうなのですか」八滝がメガネをくいっと上げながら尋ねた。


 「とんでもない。私は衷心から、カジノ反対の旗を掲げる八滝さんの思いに賛同すればこそ、ここにいるのです。我らは一心同体なのです。何しろ、企業経営に詳しくない八滝さんのために、もし彼女が勝ったら勝者の権利は我々が譲り受けて事業に始末をつけると、もう内々に話はついているんですから」


 唇の端をニヤリと曲げて、いけしゃあしゃあと言う小金山。その言葉には、八滝が勝ったらばカジノを自分の物にして、始末をつけるなんて約束は即座に反故にする、以外の意味はあるまい。つまり小金山は、代表ひとりで卓につく勝負に、ふたり参加する算段を取り付けたのだ。そ、そうきたかぁ~、と、カジノ賛成組の四人の顔が烈海王になったことはさておき。


 狭い茶の間に、和装の老人洋装の老人、すっぴんの女と厚化粧の女、やせっぽちのスーツ姿に太っちょのスーツ姿、狭苦しかった茶の間をさらに狭くして、エアコンも効かぬほどに熱気をはらませて、誰も彼もてめぇの欲得ずくで喧々囂々の大騒ぎ。


 ───すぅっと、腹の底に落ちるものがあって、テツは思わず、失笑してしまった。


 「何がおかしい?」訝るジョーに、


 「いや、さァ……これで天井にタライが仕掛けてあったら昭和のコントが始まるんだろうな、と思ったら、つい、な。まったく、どいつもこいつも言いたい放題言いやがる」テツは答えた。


 「俺たちのバクチだぞ。こんなに引っかき回されていいのか」


 「いや、違う。そうじゃないって話を、宮司がしたばっかりでな。俺はそれに納得したんだ。───こいつぁ大檜全体の問題なんだよ、ジョー。だからこの大騒ぎが、本来あるべき姿なんだ。残念だが、俺たちの郷愁はこれで終わりだ。大檜戦争ってのは、はじめから、俺らの家族も町も全部ひっくるめた、何万という人が暮らす社会全体の問題だったんだよ。───そんでどうだい、見てみろよこりゃあ!」


 普段は家族が囲む藤倉家のちゃぶ台を、ぐるりと取り囲むのは、藤倉興業。タチバナシステム。大檜神社。市役所。八滝学園。そして小金山商事。今はコントまがいのハチャメチャっぷりだが、それでも、大檜を代表する六大勢力が、カジノの主導権を欲してここに集結したのである。


 「俺ぁアリエスに言ったんだ。人間なんて欲かいてナンボだってな。───この町には、こんなに欲張りが残ってたのか。まだまだ捨てたモンじゃあねぇな、おい!」


 テツは、そんな欲張りどもを前に、大音声で宣言した。


 「かかってこいや! 全員まとめて相手にしてやらぁ!」


 かくして、テツとジョーのふたりのバクチは、大檜の有力陣営をすべて巻き込んだ、一大決戦と相成った。




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(ここまでお読みいただきありがとうございます。


 さてここからいよいよ最終決戦! ……というところで非常に心苦しいのですが、まだ書き上がっておりません。申し訳ありません、しばらくエタります。

 「第2シーズン終了」くらいに思っていただければ幸いです。


 この後、第6章がもう少し続き、決戦に2章エピローグに1章の全9章構成の予定です。最後まで書き上げてから公開する心づもりです。


 いいねとか評価とか入れていただけると、気分がよくなって完成が早まるかもしれません。なにとぞよろしくお願いいたします。)



(なお、更新再開したらこの追記は削除するつもりですが、もし消し忘れていたらご連絡いただけると助かります)


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