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私の思うこと、感じること

工業系の物を出されると色々考えてしまうおっさんの話。

作者:黒井 陽斗
はいどうも、いつもの黒井のおっさんです、今回は自身の反省も兼ねた文章を書きたいと思います、今回思う事はこちら。

『科学知識を書くなら、出来るだけ基礎理論も知って欲しい』

私は知識というものは語る時に前提が必要だと思っています、ですのでR15と言うのは中学卒業程度の知識や倫理がある人が読むものと定義して考えています、作者と読者には少なくともその程度の知性や理性が備わっていると定義しています、そしてここからお話する事は前提として『知識チート』と謳っているお話についてだと理解し聞いて下さい。

こんな事をなろう作品を見て考えるおっさんはなろう力が足り無いと思います、フィクションに何言ってるんだと自分でも思います、ですが敢えて言います。

深く解らない知ろうとしない知識は偉そうに簡単だと語らず、素直にただ道具としてスペックデータを見て完成品を使って下さい、なろうチートとはご都合主義で夢の力だからこそ、そういった未来へ向けての技術や最先端の技術はチートで都合良く手に入れたと言って欲しいのです。

そうではなくてはその作品のせいで簡単に出来ると誤解が広がります、基礎の苦労を無視したり下に見たにも関わらず、ふわふわな知識で異世界で適当に出来ると思い込むのは現代の理論先行の弊害といえるかも知れません、これを避けるために敢えてチートやご都合主義を使うのは正しい手だと思います。

例えばある所でご自身で理解出来ない難しい事を知識チートして書いている方が居ました、様々な誤解や誤用、そもそも設計不備があり、それではマトモに使うことすら出来ない、そのような物を書かれている作者さんを数人お見受けしたのです、その中で頑張って理解しようとしている方が居ましたが、良く読むと間違い多すぎ説明文で分かりやすくお伝えしようとすると数万文字になりそうなものになります。

読者の方は誰も指摘しないので『もしかしてちゃんと理解していない方は多いのか?』と思い、他にもあった色々な箇所と纏めて間違いを指摘するべきかと思ったのですが、作品のファンですら無い私が考証をしてダメ出しを大量に送る事って、普段私が言っている正論だけをガンガン言う駄目なアンチになるのではないか?

そう思い反省し、知識を知らない方々にエッセイで簡単に説明出来そうな一部と鍛冶についての少し知っておくとオトクであろう知識を書いて纏めてみました。

例えば工業でよく聞く空圧や油圧式のロッドシリンダー(某サンドボックスゲームで言われるピストンの仲間)を作るとしても様々な基礎研究が必要です、特に重要なのは気密性で筒内やシリンダーヘッドの精度を左右する旋盤精度、気密を保持するパッキン素材の選定、ロッドやシリンダーの素材選定、用途にあった流体の選定など考えることは一杯です。

酷い話では石油も無く化学ゴム系パッキンが必要な気密性の高い物を出します、シリンダー内の流体の流出やシール材の消耗、シール不足の流体漏れから来る圧損を無視するのなら革や天然ゴムでも可能で、大目に見る事も出来ますが、そこに描写はありません一体どんなシール材を使って作っているのでしょう?

エンジン等の高熱な物については、上記より高度な金属シールが必要だというシーンは一切書かれません、描写不足というより作者の理解不足かと思います。

使用する流体、気体や液体の硬さは重要で出せる出力や反応速度変わり、送り込む方式にも拘らないと望むような出力やレスポンスを得る事が出来ません。

シリンダーと言うのは出力自体は入力する力で決まり、例え途中で径を変化させても変わるのはピストン速度や動き代の距離が変わり出力は全く変わりません、これはホースから出る水を想像し口を絞っても勢いが変わるだけで出てくる水の量が変わらない事を想像されると分かりやすいかもしれません。

ピストンヘッドの面積2と面積1の物をそれぞれ1の力で押した場合、双方のピストンの仕事量は一緒です、仮に前者が距離1進むならを後者が距離2を進みます、面積を小さくすれば1の力で距離が2や3にはなるが、入力されるエネルギーは1のまま仕事量は変わらず出力は変わりません、要するに小さくすれば同じ力で動く距離が大きくなり結果レスポンスが早くなる、逆の事をすれば遅くなるという訳ですね。

この理論を応用しているモノで身近にあるのが手動の油圧ジャッキで(車持っている人ならご自身で持っていたり、お店での車の整備等で見たりすると思います)あれは小さい力を何回も入力し、結果として出力面で重い物を小分けに持ちあげるといった装置です、これは中学で習うパスカルの法則が関わっています、もっと詳しく知りたい方はご自身で一度パスカルの法則を確認してみてください。

先程話した焼き入れのお話をしてみましょう、みなさんも鍛冶の話で焼入れと言う言葉を聞いたりしませんか、ナイフや剣などに表面を焼入れすると切れ味が良くなるというヤツです、なろうでも主人公がやっていたり鍛冶職人がやっているのを散見します。

ですが、あれは凄い難しくて経験や知識が必要な工程なんです、雰囲気や温度、火を入れた後の冷却に至るまで奥が深く、焼入れした後に油や水、場合によっては熱風などで用途によって冷却し締めなくてはいけません。

そして刃物にとって焼き入れだけしても硬いだけでは脆くなるので焼戻しを行います、これは金属が硬くなって欲しくない、つまりブレード以外の部分に粘りを持たせたり、刃物自体の持ちを良くするために行う工程です、通常刃物ではセットで行うのが通例ですがなろうで触れる作品は殆ど見ません。

加工する金属の特性を理解せずに行うと硬くしようと焼入れしたつもりが到達温度が低い焼きなまし、金属を柔らかくする逆の行動になる事態も起こります、焼入れ時の雰囲気、到達温度、冷却の方法などによっても出来栄えが変わって来ます。

設備難易度が低そうなのを思い浮かべるとすれば、直接そのまま炎で炙るとか、鍛冶場らしく火床(ほど)に入れる、高度な物になると制御された高温炉、ソルト浸炭焼入れで辺りでしょう、選んだ方法で色々表面の仕上がりが変わり仮に素人が知識だけで特に、バーナーのような炎で真似したら雑な温度管理で均一はないムラの多い焼き入れになり即金属ゴミ箱行き、これは適切な機材がない場合は金属と適切な温度を語り合える職人さんでないと上手く行きません。

焼入れ時間や到達温度次第で、焼きが入りすぎ固過ぎ直ぐに欠けたり折れてしまう刃物になり、逆に焼きが入らなかった場合切れずに曲がるなまくらの出来上がりです、大抵主人公は焼入れで全体の温度分布も見ない、適温など知らない、その上多くの作品で急速冷却の出来ない空気冷却を行い、必要箇所以外の焼き戻し工程もありません。

これでも焼入れに関連する工程の触りで、この程度も知識も無いと焼入れの再現は絶望的です、時々素人さんが動画サイトなどで動画を上げて居るのを散見しますが、自己満足で温度の管理、方法が間違っており実用性のない方が殆どです、多少のお金と時間は掛かるかもしれないですがプロに出した方が安心して使える良い結果が出ると言えます。

仮にやる場合、金属毎(鋼にも種類があるのでその種類ごと)の焼入れ焼き戻しについて正しい方法と適温など最低限の知識を持ち、何度も失敗と経験を重ねればいずれは出来ると言われるかもしれませんが、これまで私が出会った文系学生さんはほぼ知らない、工業系学生さんでも専攻か近しい方じゃない限り、このエッセイに書かれている程度でも理解している方は稀です。

ここまで語った事を全く知らずに当てずっぽうで適当でやっても、運が良ければ実用が何とか出来る程度にはなると思うかもしれません、ですが無からやるなら国なら国庫が傾く様な投資と10年単位の時間、個人でやるなら一生遊べるような大金と人生何回分は時間が必要でしょう。

実際この技術は先人が長い年月をかけて編み出したものを基礎に、多くの企業が長い年月と資金を投入して作り上げたものですからね、なにもないなら当然その程度はかかります。

工業的にはメジャーですが一般にマイナーな世界、普通に生きてたら焼入れが必要な加工品なんて作る人居ませんから当然です、仕事関係や学校で勉強した方以外ですと、知ってるのはブッシュクラフトや狩りやっている人か、刀剣などに関わる趣味で刃物に深く関わる方の一部でしょう。

こんな知識を持っている方が少ない技術、ただの高校生が簡単に出来ると言われると正直『作者なに言ってるの?』って気分です、当然このエッセイ程度も理解していないから出鱈目やってますし、いくら主人公を上げたいからと盛るにも限度があります。

今まで知らずに読んでたとしても、ここに書かれている事を見た後だとふわふわ知識で適当に書かれると、違和感しか残らない予感がしませんか?

ここでで語った様に技術というのは膨大な基礎の塊です、決して完品のスペックシートの性能や理論だけでは再現出来ない部分、経験に裏付けさた知識というものが隠れています、技術屋や職人はそういった知識と経験を元にして、なにかを作ったり設計しています。

例えば最新の化学系素材を作るのって凄く長い基礎研究を重ねます、僅か数人の小さなチームから始めた研究を概念実証ラインを組み試作試験を行い、出来た試料を評価し、出た問題を更にブラッシュアップし、環境や安全性を中心に育て上げ次に生産性を拡充すると言った形でやっていくのです。

製造ラインを作るのにも数年の期間を掛けて設計し、出来た後も何度もエラーが起っても乗り越え、時に何度も発狂しそうなデスマーチを仲間と共に駆け抜け、時に非常に危険な問題が起こり文字通り命懸けで設備内を確認し、災害などで起こった深夜の非常警報で叩き起こされて現場に駆けつける、予期せぬ負荷や故障で環境設備の異常で生産に影響を与えるなど普通です、裏の苦労は理論の表層を撫でた所で殆ど出てこない物です。

ここの部分がノウハウで表に中々出てこない企業に取っての飯の種でもありますが、最近では注文を取るためにある程度見せています、私が語る程度は出てきますので納得できる文章を書く助けになるでしょう、もし知識を語るならひと通り目を通して、ご自分が文章で知識チートとして上手く語れるかを考えて下さい。

この時注意が必要なのは、スペックシートに書かれている意味をきちんと理解出来る知識が要求されます、例えば耐荷重には静荷重と動荷重があります、静止状態なら強くても、動くと弱い特性製品を激しく動く物に使用する、こんな間違った使い方を平気でしてしまうような事が起ります。

もし何かを採用するのであれば使用用途にあっているかを理解し、必要な特性を理解している事も選定時に求められる能力です。

現代技術は知識と理論、経験と蓄積が複雑に折り重なって出来ています、どの企業も世間が望む商品になるように手探りで作り上げます、世の中に未だ存在していない物や様々な事情で出来ないと言われている物は時に自分でも『出来ない』と思うよな事でも『出来る』と信じ『出来ない』という理由を一個つづ潰して『出来る』に変えていくのです、それは様々な経験によって育っていきます。

時として自分の思っていた事を否定した上に出来る事もあります、例えば理論上で適温だと数字で出ても実際はそれよりも上だった、材質的に使えると選定したが材料メーカーすら予想しない結果になるなど、時に理論の斜め上を行くこともあったりします、そういった場合は柔軟性を持って考えどうすれば己の求める最適に近づけるかを考え直すのです。

新規に何かを設計する時は何年も掛け何年先を見据えて作ります、物によっては何十年というスパンを考えます、製品が客先に行った後の事も考え、時には最終顧客の一般消費者まで考えます、それが工業であり、そこまでしても時としてリコール等の大きな問題もあったりするのです。

なので、私としてはファンタジーで異世界で現代知識チートをするなら、知ろうともしない難しい知識を誤解して語らず、完成品を魔法やお取り寄せで簡単に手に入れて『出来た』と言って欲しい、もっと言うなら不思議な謎の技術や、異世界の特殊な技術などで一瞬で再現するなどでしたら、あくまで物語の嘘としてすんなり受け入れます。

寧ろ最初から下手に知識を語るより潔いと思います、あくまで物語のフィクションとしてのトンデモ技術なので好意的に見れます、この世界はこういう世界なんだね凄いねって優しい気持ちです、中途半端に難易度を上げるのはご自身の首を絞めます。

そういった世界を人によっては都合良すぎと馬鹿にするかもしれませんが、それなら何を出しても作者の自由です、ABC兵器でもグラスファイバーでもカーボンナノチューブでもプラズマ核融合炉やレーザー兵器、オニオン装甲巨大陸上兵器でも出せます。

ですが下手に知識が足らない方が現代技術を知識チートで作る主人公を書かれると、途端にツッコミの方に意識を持って行かれ物語を読むのではなく、次はどんな過ちを作者が犯すのかと気が気でなくなります。

貴方の手にある電子デバイスだって中身も外見も非常に危険な工程がいっぱいあります、危険な設備や危険な薬品を沢山使い、人間が絡まれると即死するような危険も沢山ありますが安全や環境に配慮して日々作られているのです、そこには製造現場の方々や技術者の努力があるのです。

中学生で習う計算や、中学の教科書を開けば分かる知識程度の基礎も理解していないのに、それ以上の知識を持っていると言われ、主人公の知識で再現、この主人公は天才です、現代の知識は全て調べられる設定等を書かれると、この作者何ってるんだろうご都合主義でも埋められる気がしないという気持ちになります。

そこまで乱雑な知識の扱いをされると、理論の影で必死で物作りを支える人達があまりにも報われないと思いませんか?

もし知っている知識で現代技術を再現するのなら、まずはしっかり工業について興味を持って下さいもの作りは簡単に出来るようなものではありません、基礎あってこそでそういった事を無視する姿を見ると私はこう思います。

『技術の無い国が技術者たちの努力の結晶である優れた製品を安易にリバースエンジニアリングをして、基礎もないのに適当で粗悪な劣化コピーを作って安価にばら撒いて、その果てに世界中で大きな事故を起こしている現状となんら変わらない、そんな作品をどうして喜んで読めるだろう』

私はそこがどうしても気持ち悪く納得出来ず、皆さんに知って欲しくて、こんな文章を書いたのです。

どうしても我慢ができないおっさんの慟哭をエッセイとして吐き出します、このエッセイを見て自分が責められたと怒る方もいるかもしれません、ですが技術屋や職人の人生を他ならぬ貴方自身が予期せぬ形でバカにしているのかもしれないのです、だから書くのであれば基礎にも目を向けて下さい。

そういう表層知識を薀蓄として出す作品を好んで読む方も同様です、沢山の技術屋が様々な苦労をして設計し製造した電子デバイスで作品を読み、その恩恵にあずかりながら彼らを蔑ろにしているのかもしれないのです、だから出来れば作品に書かれている知識に興味を持って技術を調べて下さい。

この思いがどうか多くの皆さんに届く事を私は願っています。
今作はあくまで『知識チート』『現代知識で異世界内政無双』等、『知識を主題にしている作品に対しての文章』でフィクションを上手に使っている作品は対象外であり、敢えてその知識を語るような『知識を主題に置いた作品に対しての意見である』とお読み下さい。

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