仮装の理由
昨日ノアは謎の団体に襲われてしまった。
私は憧れのタキシード仮面のようにこっそりノアを助けに向かった。
その辺の信者を殴って衣装を奪い潜入した。
それなりに大変だったが騒いでいるのは一部だったのですぐに誰が誘拐したか分かった。
そいつらについて教会に行くとノアが檻に入れられていた。
鍵を奪い取りノアを助けた。
私を見てホッとするノアがお姫様みたいだった。
子どもの頃何度も助けたノアに重なった。
かわいかった。
私が守ってあげたいと思った。
そのあとはお姫様を守る騎士という気持ちで最高だった。
ひと段落して今はノアの部屋でノアと向かい合っている。
私はこれからノアを守ると心に決めていた。
滅魔会が何人来ようと私が全員なぎ倒すという気持ちだった。
「私に一生守らせて。」
ノアはパチパチと瞬きをしていた。
あまりにもかわいい。
この目が最近まで隠れていたなんて勿体無いと思った。
「…僕、男だけど…」
「そんなの関係ない。」
「…そう、なのかな?」
ノアは困った顔をしていた。
「私が守りたいから守るの。」
私はノアの手を握った。
ノアはそんな私をとろけた顔で見つめていた。
「ニーナ…美少女戦士みたい…」
ノアに昨日もそう言われたことを思い出した。
「…美少女戦士ってどうして知ってるの?」
私が前世で好きだったアニメだ。
この世界では放送されていない。
「……ニーナが子どもの頃ずっと言ってたけど…」
「うそ、全然覚えてない…。」
私のその言葉にノアは驚愕の表情を浮かべていた。
「え、じゃあ、彼のことは?」
「…彼?」
「あの僕が最近ずっとしてた格好の…」
私はピンと来た。タキシード仮面だ。
「…まさかあの格好本当にタキシード仮面様だったの…?」
「あ、そうだ! そういう名前だった!」
「…」
まさかノアは私がタキシード仮面が好きだからあの格好をしていたということなのだろうか。
「あの…ニーナが好きだったから真似してて…」
ノアが恥ずかしそうに俯いた。
まさにそのまさかだった。
確かにバラを投げていたと私は思った。
顔が熱くなる。
「ノア…」
私はなんと言えばいいか分からなかった。
私のためにキャラ変していたのに私はそのキャラを中二病だと思っていたのだ。
「でも僕には向いてなかったよね。
ニーナに守られてるし。」
ノアは恥ずかしそうに俯いた。
かわいい…。
「あの、ノア…私タキシード仮面様に憧れてたけど…
ああいう人が好きなんじゃなくて私がなりたかったんだよ。」
そう私は戦う美少女戦士にも憧れていたが、本当はいつでも好きな子を助けに来るタキシード仮面みたいになりたかったのだ。
特にこの世界に来てからはノアを助けるたびにそう思っていた。
でも自分は女なのにと思って美少女戦士の名前をいつも出していた。
そのことを唐突に思い出す。
確かに私は美少女戦士のこともタキシード仮面のこともノアに話していた。
私は恥ずかしくて暴れ出したい衝動にかられる。
「…ニーナがタキシード仮面になりたかったの?」
ノアが驚いている。
「う、うん。」
「…じゃあ、僕のやったことって…。」
ノアは大衝撃という顔をしていた。
私はノアの行動を思い出した。
「…ふっ、だって、そもそもあんまり似てなかったし…」
まずい、笑えてきた。
「えっ」
「一体何を真似してたの?」
「見た目とあとクールなところとか計算ができるところか…。」
私はノアがデートのお金を計算しはじめたことを思い出した。
「まさか、あのお金の計算って…」
「暗算を披露してたんだけど…」
「ふっ、む、無理。」
私は笑いが耐えられなくなった。
息が止まりそうだった。
それを見てノアは恥ずかしそうな顔をしている。
「…伯爵も似てるって言ってたのに…」
それを聞いて私はさらに笑いがこみ上げる。
「無理無理無理、もう笑わせないで。」
私はお腹が痛くて抑えていた。
ノアは困ったような顔をしていた。
「あのバラも持ち歩いてて…」
「あはっはははは」
「ふっ…」
爆笑する私を見てノアも笑い出した。
笑い過ぎて涙で霞んでいたがその笑顔がかわいくて私はきゅんとした。
そのままノアにキスをした。




