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滅魔会

 目が覚めたとき僕はよく分からない祭壇にいた。

 悪魔の形をした黒い影が炎に燃やされている絵がデカデカと飾られていた。

 教会のような形をしていて煌々と炎が焚かれている。


 (滅魔会だろうか…)


 僕は教会の雰囲気からここがどこか分かった。

 僕は檻に入れられていて周りには誰もいない。


 辺りを見渡しているとギィと扉が開いた。

 真っ白な衣装を着た人が4人入ってきた。

 顔が布で隠されていて表情が分からない。


 「魔族が…」


 「なぜ髪の色を変えた?」


 忌々しげな口調だった。

 自分が魔族に間違えられている事に気がつく。


 「僕は魔族じゃない。」


 僕がそう言っても相手は聞く耳を持たなかった。


 「嘘をつくな!」


 「伯爵家が魔族を囲うなど…」


 「我々を不幸にしているのだ!」


 完全に僕を魔族と思い込んでいるようだ。

 黒髪に染めていた自分の責任とはいえゾッとした。


 「僕は髪を黒に染めていただけだ。」


 出来るだけ聞いてもらおうと冷静に話しかける。


 「魔族は嘘つきだ。」


 「お前は今から燃やされる。」


 「黒に染める人間などいない。」


 「事情があったんだ!」


 必死に訴えるが聞いてもらえない。

 泣きそうだった。


 このままでは燃やされてしまう。

 檻をガタガタと揺らすが開きそうにない。 

 足を使ってみるがビクともしない。

 僕はこのまま死ぬのだろうか。


 「黒髪にしたいことだってあるだろ!」


 真っ白な衣装の4人を見ながら叫んだ。

 魔族め、魔族め…と呟いている。


 4人で喋っていると思っていたがよく見ると口を開いていない者がいる事に気がついた。

 小柄で女性のようだった。


 「魔族め!」


 「早く燃やそう!」


 「儀式は今晩…」


 そう3人が話している間に小柄な女性が白い服を脱いだ。

 そのまま目にも止まらぬ速さで3人を殴った。

 激しい音とうめき声が聞こえる。


 よく見ると手に黒い傘を持っていて全員気絶させていた。

 黄色の瞳が僕を見た。鋭くてかっこいい。

 見惚れてしまう。


 「に、ニーナ…?」


 ニーナは僕に駆け寄った。

 余りのかっこよさに僕の胸はぎゅうと掴まれたようだった。

 僕に向かってくるニーナが輝いて見えた。

 見惚れていたがニーナは頭にガーゼをしていて怪我をしていることに気づく。


 「ニーナ、大丈夫?」


 「私は大丈夫!」


 そういってニーナは慌てた様子で鍵を取り出した。

 そして檻を開ける。僕を檻から出す姿がかっこよ過ぎた。


 「ニーナ…美少女戦士みたい…」


 僕は子どもの頃を思い出した。


 「えっ…」


 ニーナが驚いている。

 後ろの3人がうぅと呻き出した。


 「い、今は逃げよう!」


 僕はニーナに手を取られてふたりで走り出した。

 教会を出てとにかく走った。


 教会は滅魔会の敷地の一番端にあるようだった。

 僕らは門まで全速力で走った。


 ニーナの足が僕より速くて困った。

 そんなところまでニーナはカッコいいのか。

 苦しかったが止まるわけにはいかない。


 「なっ…」


 門にいる見張りが僕らを見たがニーナが傘で倒した。

 バシっという音がして見張りが倒れる。

 僕らは門を開いてそのまま飛び出した。


 「はぁはぁはぁ」


 僕は死にそうになりながら走っている。

 どうやらここは先ほどまでいた公園の近くのようだった。


 ニーナが道の端に寄せられた馬車に飛び乗る。

 これは個人馬車で値は張るが好きなところまで連れて行ってくれるものだ。

 飛び乗った僕らに運転手は驚いていた。


 僕は息が止まりそうだった。

 喋れない。止まった事で汗も吹き出していた。


 「伯爵家までお願いします!」


 ニーナがそういうと運転手は頷いて走り出した。

 何か状況を察したのか急いでくれた。


 白装束の信者が追いかけてくるかと思ったが姿は見えなかった。

 だいぶ遠くなってから白い影が見えた気がした。

 僕の呼吸はまだ乱れている。


 「ノア、大丈夫?」


 「う、うん。」


 ニーナは呼吸がもう乱れていなかった。

 そうだ、ニーナは運動が得意なのだと思い出した。


 ニーナは後ろを振り返る。

 僕を助けるためにニーナはボロボロだった。

 汗で髪が首にはりつき乱れていた。

 その横顔がかっこよかった。


 僕はそのまま伯爵家までじっとニーナを見つめていた。

 ニーナは辺りを伺いながら慰めるように僕の手をぎゅっと握っている。


 伯爵家の前に着き運転手に請求書を伯爵宛に送ってくれと頼んだ。

 僕らは伯爵家に飛び込んだ。


 「お前たち!」


 もう外が暗いのに僕らが帰らない事で探しに行く相談をしていたらしい。

 使用人や警備隊、伯爵が集まっていた。


 僕らはホッとした。

 滅魔会も警備が厳重な伯爵家に入ることはできないだろう。


 伯爵はボロボロな僕らを呆然と見つめていた。

 特に若干血のついたニーナの手の中の傘を見つめていた。


 「何があったんだ…?」


 僕らは伯爵にことのあらましを話した。

 滅魔会に襲われ逃げてきたと話すと伯爵は警備を厳重にするように命じた。

 ある程度話したあと詳しいことは明日だという話になった。


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