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Dimensional Vibrator -Transcendencer-   作者: 小礒岳人
―Savage Land―
9/9

赤守猛也は吹き飛んだビルから少し離れた廃墟に足を踏み入れた…

朝方 虎ノ門五丁目 廃屋内



猛也が薄暗い廃墟の中に入ると、朝だというのに日の光は全く差さず、中は真っ暗だった。


猛也「来たぜ…! あの話…確かに本当だった…」


そう虚空に述べると、一間置いて、暗闇の中から"黒い影の男"が出て来た。


??「…そうだって言ったろ」


軽そうな言葉だが、その言い方には憂いが混じっていた。


猛也「そうだった… アンタの言った通りだった…お陰でアンタの事も少し解った "黒い男"サンよ…」


そう言って少し煽り気味に言う。


黒い男「止めろ…! 好きで名乗ってる訳じゃない…」


その言われ方をされ、露骨に嫌な顔で答える。


猛也「あ、そ…でも、アンタの事はよく見えなかった…というか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()…どういう事だ?」


黒い男「ああ… ()()()()()()()()だ だけど、お前とは違ってオレは()()()()()()()()()()()()()…」


それを聞いて、猛也が少し哀しげに下を向く。


猛也「そうか…オレは、()()()()()()()()()な…この世界から…」


黒い男「…」


その問いには何も答えず、気不味い間が出来る。


猛也「…ま、良いよ 自分で選んだ事だしな…仕方ない オレがバカだっただけだ… スタンバイ、ディスアーム、スタンバイ、フォースドリリース」


AI『レディ』


猛也「マーク」


そう言うと、猛也のDVギアのアーマー部分各部が開放され、内部に籠もっていた熱が強制的に放出、解放されると共に頭部に固定されていたヘッドギアのロックが外れる。


猛也「はァー…っ…」


ヘッドギアを両手で取り外すと、一息吐いた。


猛也「…コレを外しても…変わらないんだよな…」


その猛也の問いに、黒い男は一間置いてから答える。


黒い男「…そうだ」


猛也「…案外あっけないんだな…"超越"って…取り立てて何も無ぇや…」


今、猛也の心は空虚だった。


呆気なく突如として訪れた、得てしまった、叶えてしまった望み…我武者羅(ガムシヤラ)に求めていたそれ(望み)を意図せず得てしまった彼の心の中は、もう空虚だった。


猛也「…そうだ 答え、聞かせるよ ()()()()()()()()()()…手伝うよ」


黒い男「そうか…助かる」


猛也「正しい事はしたいしな…じゃ、オレは行く」


猛也は言いながら出口に向かう。


黒い男「待て コレをやる」


そう言って、黒くて四角い小さなキューブを投げてきた。


猛也「おっ…! と! ぉ…? なんだコレ?」


そう言って人差し指と親指でそのキューブをつまんで眼をこらしてみる。


黒い男「その"フィラクテリ"を肌身離さず持っておけ


猛也「ふぃ…? ふぃらく…?」


聞いた事の無い言葉に首を傾げ、思わず口にする。


黒い男「"フィラクテリ"だ 屋外でもギアが着脱出来る様になる」


猛也「そんなモンが…!」


驚きながらも、そのキューブを観察する。


黒い男「在るんだよ 既にな」


猛也「じゃ、やっぱ()()()()なんだな…」


憂いのある言葉で俯きながら猛也が述べる。


黒い男「お前が視ていた部分以上にな…」


猛也「そうか…わかった オレはもう行くよ」


そう言って猛也は、最初に入って来た"出口"へと向かおうとした。


黒い男「ああ…連絡は"OrACle"を通してする …気を付けろ お前はもう()()()()()()()()"プレディクトル"に追われる事になるからな」


そう言って、猛也に折り畳まれた紙のメモを投げた。


受け取ってメモを開く。


猛也「ここ…? 新宿の骨董屋?」


其処には住所とURLが載っていた。


黒い男「困ったら来い」


猛也「わかったよ… じゃ、行くわ」


そう言って、猛也は踵を返し、廃屋を後にした。


黒い男「…なんとか、なりましたけどね…どうですか?」


そう独り言の様に呟いた。


??『ようやくだ…ステップ3だよ…しかし、君は不本意じゃないか? 彼が"トランセンデンス"に辿り着いてしまったのは…?』


外部スピーカーから聴こえるその音声は、その黒い男の呟きに答えた。


そこには気遣いも籠もっている様に聞こえる。


黒い男「当たり前じゃないですか…オレとは状況が違えど、アイツは自分で人間を"超越"してしまった…止められなかった…しかも危険なのは、自分が危うい状態にあるって理解してない事だ…」


??『それはどういう事だ? "超越"した事か?それとも精神状態?』


黒い男「精神状態の方ですよ…意図せず得てしまった目標のために、今アイツには目的が無い…生きる目的が しかも次元の狭間にいながらもこの世界に存在するなんていう曖昧な存在になって、普通の人間とは()()()()()()()()状態で…」


??『減った…? 増えたのではなく?』


その問い掛けは、冷静だった。


黒い男「減ったんですよ…時間の概念も無いから歳も食わない、存在が曖昧だからこそ他人と時間が共有出来ない、人では無い存在になった事が大きいんですよ…それを含む他人と共有しなければならない経験を、アイツは知識で補ってしまった…それは揺らぎやすく、惑いやすい…いつアイツの正義感がブレるか解りませんから…」


??『成る程な…それは経験かね?』


黒い男「それも在りますけど、自分が"特異点"だって言われてみて下さいよ 意味が解らないでしょ」


??『それは確かにそうだな 彼の場合は"疑似特異点"と言った所か …大丈夫なのかい? 君の懸念は』


黒い男「解りません…アイツ次第ですから… 只、もしそうなったら、オレが自分でやります…! この装備も含めて、全てこの技術の応用ですから…なんとかなります」


そう言って、左手に生きた刀"閻魔"を顕現させる。


??『それのお陰で"リムーヴィアット"含めた兵装を実現出来た…それでもその刀の解析は10%にも満たない…末恐ろしいね』


黒い男「貴方が教えてくれなければ、この技術(閻魔)の転用には気付かなかった…それに、それはオレがやらなければならない事でもあります…」


其処には確実な決意が見える。


??『本当に申し訳ない…』


その黒い男を気遣う中年男の声は、とても重みがあった。


黒い男「良いんですよ…貴方は悪い人じゃない 感謝してますから」


??『そうか…』


黒い男「これから、キツくなるでしょうね」


??『そうだね 奴等は必死になるよ…だが、絶対に阻止する…!』


黒い男「了解… 必ずプレディクトルを壊滅します…!」


そう言って、持っている刀を一層強く握り締めた。


それが、赤守猛也が"超越"した一日の出来事だった―



―Savage Land― 完

…2020年 5月―

新たな部隊を編成したプレディクトル=OUTWAIN…

部隊長、志良川正美は新人に鋭い言葉と目線を向けた―



という続編は考えていますが、反応次第で打つか打たないか決めます。

最近本職が忙しいので…

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― 新着の感想 ―
[良い点] Twitter企画から失礼します  アクションの台本をはじめて読みましたが、とても読みやすかったです。  [一言] 個人的には『戦って自分の価値を認めさせる』という言葉がカッコイイな…
2022/12/14 13:06 退会済み
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