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妖界へ

 私たちは何とかその場を離れ、落ち着いた時、移動用乗り物の中で「スガワラ」と言う男から四角い物を受け取る。そのまま、そこから文字が浮かび上がる。


「無事に届いたようね」「無事に潜入できたようだな」


「カスミとカラス?」


「「YES」」


 通信から、どういう構造の物かを理解して文字を打ち込む。


「ありがとう」


「「気にしないでいい」」


「どうして、連絡とれる?」


「連絡取れたるのはそこの御仁の連絡先を知っていたから。御仁が『連絡』を寄越した」


 私は彼を見やる。笑みを溢す男に一つ聞く。


「スガワラのミチザネさんが、どうして?」


「あなたの荷物に入ってました。立花霞と言う研究者もご存知です。元の彼女よりは柔らかいお人のようです。本当に別人なんですね」


「モデルになった人?」


「ですね。そして、世界を敵にした人でもあります。そろそろ到着しますね」


 車で移動し、止まった時に窓から海が見えた。そこには「海賊たち」がおり、車から降りた瞬間に歓迎され人だかりが出来た。天使モドキが私に近付き頭を下げる。普通の女性のような姿だが内包している化け物の臭いが天敵を思わせる。


「夢であったわね。ありがとう」


「ええ、こんにちは。御礼を言われるほどじゃないわ」


「いいえ、何度でも何度でも言う。聞いたわよ。あれに乗って来たって。痛かったでしょう?」


「まぁ、ああいうの慣れてるから」


 爆弾はよく至近距離で爆発している。爆発もだがよく斬られている。身体に傷一つないのは私の淫魔であることがよかったのだろう。


「そう、慣れるのね……それも嫌な話ね。慣れるなんて」


 顔に影がある。だけどパッと明るくなり笑顔で空を見て納得もしていた。


「生きなくちゃ。私は。私が覚えてる。覚えてるんだから。悲惨だった戦争の想い出も」


「何かあったかは知りませんが。帝を任せました」


「修羅を任せました」


「任せる?」


「……聞いてないんですか?」


 私は皆から説明を求められる帝を見る。その近くの王配であるトキヤが視線に気付き近づいて顔を伺ってきた。


「怪訝な顔をしているが……」


「『修羅を任せる』ってなんですか?」


「道中寝ていたからなネフィアは」


 そういう事かと私は納得し、トキヤに説明を聞くと。トキヤは地面に魔法陣を書く要領で説明してくれる。


「防戦一方だった帝派が、俺らを得た。結果、戦況が変わったんだよ。俺とネフィアで修羅討伐を目指す。帝は防戦から逃亡生活に移行し、修羅も同じようになる。結果、ヨーイドンッだ」


「なんか、魔王を仕留める勇者のような立ち位置ね」


「立場も変われば英雄になるって事だな」


 トキヤの説明に納得し、私の進むべき道が見える。


「帝に挨拶してくる。『簡単に捕まるなよ』って」


「そうだな。今生の別れにしないよう頑張ろうな」


 港で帝を乗せた船がずっと逃げ回るのだろう。本当にギリギリの戦いなのだろう。


「なんか、ロールプレイングゲームのようなお話になって来たなぁー」


「「「!?」」」「「ザーザー」」


 私は笑顔でトキヤにわかるように答えた瞬間場が静まりかえる。端子もノイズが走り。一部の人が私を覗き込むように睨む。トキヤは苦笑いするが、異様な雰囲気に周りを観察し、険しい顔をして私に肩を叩く。


「やらかしたかもしれないな」


「…………えぇ」


 そんな私たちに帝が静かに近付き。


「ネロリリス様面白い、お話をお聞きしたいので……個室をお借りしました行きましょう」


 私は頷いて顔を崩さずに移動を始める。やらかしたかもしれない。





 用意していただいた個室にトキヤと船長に堕天使。帝にミチナガと端末のカスミカラスが集まって会議のような空気感で私を見る。便宜上ここでは女王陛下と呼称で統一が図られて質問を受ける。ミチナガが進行を務める。


「女王陛下は『あの言葉』をご存知だった。王配も同じようにご存知でした。それは『フェザー』の活動で知り得たにしては『流暢』で『存在』を知っていたような気がします」


 尋問。なぜ尋問されるのだろう。


「王配と女王陛下は『知識』が、お在りだと思ってましたが。まるで……『見てきた』ように喋っておいででした。その違和感を全員が察したのです。お二人ともにお伺いします『どこまで知っておいでですか?』」


 これは確認だ。確認しなければいけない事だ。それは何故かはわからない。しかし、確認がいる行為なので何かあるのだろうと察する。私はトキヤを見やってトキヤは私の代わりにお話をしてくれた。『桜咲く本の世界』を。そこで見た世界は『私が滅ぼした過去の記憶の断片』だったのは最近知ったのである。


「疫病蒸しの機械も私は知ってるし、過去にあった『文明』を知っています。それは肌で覚えてます」


「その文明レベルは?」


「文明レベル? あー、蒸気街よりも。発展してなかったと思います。それよりもカスミの場所に私が行ったゲームあるよね?」


「女王陛下、あるけど。『触れた事』ないでしょ」


 帝が唸る。唸りながらもまとめに入る。


「要は『3層』の知識があるって良いのかな」


「3層?」


「そう。今いる1層現世。2層妖界。3層黄泉。この黄泉は想像出来る地獄ではないのです。そう、3層は多重構造であり。『過去の時代』『宇宙』を再現された世界なのです。それは女王が想像をする世界がそのまま再現されているのですよ」


「具体的に?」


「ビルが並び、異形の人は居らず。過去の人を模した魂がそこで黄泉と思わず生活してます。それはまるで『残滓』のように。この世を受け入れられなかった者たちのための世界があるんです」


「……」


 カスミの声が唐突に響き端末から映像が映る。


「データ探ったからあるから映像で映すね。全員に送る」


 そこには見たことのある建物に最近行ったことのある。蒸気街の地下を思い出させたが、違って見えた。そして画面の切り替わりがあり。そして「荒野」がある。そして、カスミが驚いた声を発した。


「端末でPASS『フェザー』で開示された情報よりも『ネフィア・ネロリリス』で開示された情報の方が多い。荒野は『発展』しすぎた仮想星の変わり果てた姿ね。3層は『データ化した疑似宇宙』がある。こんなの『神様』の所業じゃない!!」


 驚く声に帝が頷き。そして、私に対して目線を合わす。


「女王が多くを知っていた良かった。説明が省けるし、過去の知識が大いにあるのは潜入に役に立ちます。しかし、その知識はタブーです。あまり、喋らないようのお願いします。この世界は『そう作った天才たちの神様』が趣味とあえて鍵穴として用意した物ですから」


「そうなのね。だからここでは『能力』が初期化に近くなるのね」


 納得した。納得したからこそ。端末に書かれている意味もわかるようになった。


「だから、ステータス開示なんてあるのね」


「データ化しやすいよう弱体化と強制的に世界のルールとして押し付ける神の所業です」


 恐ろしい国だ。恐ろしいところだ。そんなの人がするべきことではない。そんなのヤバい。


「ゲームはゲームであって現世ではない。製作者の頭を覗きたいわね」


「製作者は居ません。何故なら完全なるコピーだからです。劣化せず。コピーなんです」


「…………そんな歪みがここでもあるのね」


 恐ろしいお話である。背筋が冷える。


「なので、ゆっくりと説明し、3層の攻略を後にしようと思いましたが。話が早いですので先に3層をお願いします。2層の妖怪は雷公が務めます。いいですねスガワラノ」


「帝に命じられれば。我が半神。努力は惜しまないでしょう」


「知識があるって事で聞きたいのだけど。何故、『勉学』の神様がここに居るんですか?」


 いまだこそ聞ける。どう見ても死んだ人である。こっちではモロモロシルと言う別名もあった気がする。


「やはり、ご存知でしたか。私を」


「ええ、知っております。雷公とか、勉学の神様とかですね」


「では、今のうちの。私は3層で別人として生きております。1層は忠臣である菅原の人。2層では雷を操る妖怪、雷公。3層では勉学の神として奉られて存在しております。3人意識はあります」


「すごい。そういう感じの観測者なんですね」


「ええ、それもありますが……帝の忠臣です我々が。私がいるうちがフジハラと言う忠臣は出す予定ではありませんが、出会ったら、よろしくお願いします」


「わかりました。面白いですね……歴史って続いてるんですね」


 不思議とすごい事のような気がする。


「筆まめな人たちですから。では、我々は逃亡生活。後のことをよろしくお願いします」


「菅原さん、伝え忘れ。3層への道は2層から」


「……申し訳ありません。『3層へ』はそうですね。行き方は『空亡』を訪ねてください。全て彼、彼女が管理しています」


 トキヤと私は顔を見つめた。そして、知識を思い起こさせる。


「2層妖界って言ったけど。もしかして……『大体』いる?」


「亜人の世界。そういう事ですよ」


 私にとってわかりやすい、いい答えを得た。


「何故、亜人の世界が……いえ、答えは私が持ってましたね」


 マナの木。今はユグドラシルの木。世界樹。あれは「疫病やウィルスを散布する成功した破壊兵器」だからこそである。そして、亜人は「先祖帰り、進化、劣化」でもある。


「では、3層の攻略をよろしくお願いします」


 私たちは頷き。妖界への行く方法を学び、寂れた世界へと旅立つ予定になる。事細かなお話を聞いていくうちに質問に映った。


「今回は二人。国を離れての行動に感謝を示します。ただ、『精鋭の祝福されし者達』はご用意していただければどうにかなったのではないでしょうか?」


 それにトキヤがこたえる。私は首をかしげた。


「祝福がある者達。黒騎士たちは『世界を壊す者達』との戦いに躍起になって暇ではないだろう」


 納得。その者達がいれば確かに楽だろう。


「では、『一本槍』『狂斧』『太陽黒花』『黒棺のミミック』は居ないのですね」


 トキヤが首を傾げた。知らない言葉だからだ。その行為に帝は「まだ、居ない筈なんですね。恐ろしいお話ですね」と締めようと慌ててトキヤが聞き出す。


「7本槍は槍の大会があるから予想出来る。『槍の名手』の話だろう。まだその名を持つ者はいない。『太陽』『ミミック』に関してはあれは任務中。『斧』は……なんだろうな? 情報ありますか?」


 トキヤが私を見るが心当たりがない。


「桜髪の狂斧と言いまして。異界の留学生らしいのですが……『修羅』さえ、危険視し、味方にするかなど、動向を探ろうと躍起になっていた女丈夫です。おわかりになりませんか? 斧を持たせた彼女は『最狂』であると言う事ですが」


「女で斧を扱うなら。オーク、トロールかな。それとも亜人か?」


「賢者、賢人の人間らしいです。美しい女性であるそうです。もし、いらっしゃるならと思い相談でした」


 私は特徴と端末から立ち絵を見せてもらえる。端末にあるのだから凄い人なのだろう。だが、心当たりのある姿で私は目を細めた。


「あ、学生の人。王立学園の生徒だ」


 知っていた。そして、知る。英雄になるらしい。


「ありがとうございます。なら、難しいですね。情報が学生ではなかったので。未来のお話でしょう。修羅も気がついたのかも知れませんね。『負ける道筋』がない事を」


「……そんなにヤバいんだ。あの生徒」


「ええ、ありがとうございます。ではそろそろ出航するようなので解散です」


 何か良からぬ物がばら撒かれた気がしたが。私はあまり考える事せず席を立つのだった。





「修羅ばぁ、その壺何や? 俺に心当たりある奴か?」


「曰く付きの壺やなぁ。人喰い壺とか言われてるが事象がそれなだけでコイツ、『ミミック』やで」


「まってくれ!? 母上が処分していってるあの『ミミック』か!?」


「せや、棺桶のミミックがこっち来るかもしれんが、来るよりも時間稼ぎに使うならいい方法や。『知識のミミック』の肉片や」


「そ、そんな危なっかしいもんを……どうするんです? 母上に渡すべきやでばあちゃん」


「ええか、時間稼ぎや。ワシは時間稼ぎにしかならへんと思うとる。勝ってくれたら御の字や。世の中修羅になるで。このミミック凄いさかい」


「はぁ、俺は詳しく知らねぇけど。そうなんやろなぁ。どこまでなん?」


「どうやろなぁ……全員『ミミック』になってまうんやないか? それも全員が『知識のミミック』を介すると言うことやな」


「………中覗いても?」


「いいや、脳みそ敷き詰められてるだけや。食われるで脳みそ」


「ばあちゃん捨ててこうやぁ」


「捨ててくで、『空亡』の前にな」




























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