竜結晶の火..
結晶の洞窟内で唯一外の光が差し込んでいる中で透明の大きい結晶が中央で直立で柱のようにたっている。その所々で銀金の光沢が見えるのは朽ちることのない鱗が結晶化している物のようだった。
そして……
「金竜ウロ銀竜ボロス……」
ボルケーノは昔の同族の竜の名を口にする。柱の結晶の中で竜が絡み合うようにして固まっていたのだった。幻想的な封印されている竜結晶に私は近付いた。
「………」
初対面ではない。彼女は私を知っているし私も彼女は知っている。
「ネフィア……さぁ触れるのです」
フワッとドレスを着たエルミアの姿が私の背後に立つ。後ろを見て周りを見ると固唾を飲んで見守っていた。道中に説明は受けている。
「……」
私はゆっくりとゆっくりと竜結晶に歩み。ソッと手を当てる。少しチリッと手に熱さを感じた瞬間だった。
じゅッうううう
結晶がまるで氷が熱によって溶けるように高濃度の魔力を撒き散らしながら変化する。その勢いはどんどん竜の支えも失い。結晶の地面に竜を横にした。
「……」
皆が様子を伺いながら動かず。その時を待つ。
「…………」
ピクッ!!
「!?」
私は銀竜が少し動く。それに驚き、一歩下がった。
「………………」
私は咄嗟に声をかけようとする。しかし……思い出す。声が出ない。
「……」
「銀竜ボロス。久しいな」
私の代わりにボルケーノが声をかけてくれる。銀竜がゆっくりと体を起こし、目を開けた。
「…………ふぁああああああぐうう……頭がガンガンする。ふぅ……。問う。お前が彼の者か? 赤き髪の者よ……我らと同じ者の匂いだ」
「火竜ボルケーノ。そして、この子がネフィア・ネロリリスよ」
「……」
頭を一応下げる。
「……えっ? ボルケーノ? なんでそんな小さく? いや加齢して……」
「もう一度。封印されたいか銀竜? ええ?」
「竜姉さん落ち着いて!! 大丈夫。そんな匂いないよ!!」
ボルケーノの背後に抱きつくデラスティ。ボルケーノの怒りは一瞬で収まる。
「……ふぅ。こいつらは体を……人にまで擬態する事で生き長らえる事が出来たんだ」
「まぁ、竜人化の呪法は後で教える。それよりも……金竜は?」
「………」
銀竜がそれを聞き、私に鼻を近づけて嗅いでくる。
「ウロに近い匂いだ……ウロはまだ眠っている。起こしてほしい」
私は静かに頷く。そして、銀竜の鼻を撫でた後に皆の見る前で翼を開く。
「……」
翼に結晶の魔力が伝わる。羽毛に水が染みるように力が湧き。背中が痛みだす。
「……」
痛みで声を出すことは出来ない。だけど……我慢できる。我慢し、貯める。
「………」
スッ
くすんだ色の金竜の亡骸……いや。微かな残り火。死んだばかりの竜のお腹の辺りまで近寄った。そして、座り込み。伏せている金竜の鈍く黒くくすんだ鱗を撫でる。
「…………」
撫でた所から少し火の粉が落ちる。そして、黒くく、くすんだ金の鱗が元の金の輝かしい光沢が戻っていた。
落ちた火の粉が炎となる。私は離れると金竜の体が膨れ上がった業火に包まれる。
膨大な熱を撒き散らし、周りの結晶を溶かす。
「ウロ!?」
「……」
その光景に銀竜が狼狽え出す。私は……危機感を覚え皆を守るように翼を全面に向けた。
その瞬間だった。
オオオオオオオオオオオオ!!
竜の咆哮が響き。業火が渦となり、そして弾けた。何やら溶解し熱された赤い鉄を撒き散らし、羽に当たる。至るとこに溶解した液体の金属がへばりつき冷やされ固着する。床にも液体の金属と何か油のようなドロッとした黒い物が流れ火がつき、焦げた臭いを発した。業火は空に登り……そして。
バサッ!!
業火がの隙間が開いた。そこから、竜の姿が現れ業火の渦を切り裂き。姿を見せた。
キィイイイイイイイイイン!!
金属音が触れるような甲高い咆哮が世界を揺るがす。
バサッバサッ……ドンッ!!
過去の姿よりも、翼が増えた姿で金竜ウロは燃える黒い油の上に立つ。
「ふぅ……ふぅ………んぐ……はぁはぁ………」
疲れきった声を出して。
「ウロ!? ウロ………」
「……ボロス。それに………ここはそう。そうなのね……ここはそうなのね」
「ウロ!! 元気になったんだ!!」
「……ええ、うん。そうみたい」
ウロとボロスが鼻を擦り付け合う。愛しそうに……
バサッ
「おっほん……ええと。何とか終わったみたいね。デラスティ大丈夫?」
「……うん。竜姉さん。あれが……金竜」
「そうよ。金竜よ」
デラスティとボルケーノは二人の竜の様子を見ていた。トキヤは後方で魔物の警戒をし出す。エメリアも二人の竜をいとおしい目で見ていた。
鼻を擦り付け匂いを嗅ぐ二人に"愛"を見る。
「………」
そして、私は静かに……白翼をしまうのだった。




