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ジョージの結婚前夜

なんとなく嫌われ者を書きたくなってしまい 

 忙しい。公爵になったら、自領の運営に加え国政にも参加しなきゃいけなくなった。月の半分位しかボーブルにいられない。

 学校帰りに城に行って、そのままお泊りなんて事も少なくない。


「ホートー様、サインをお願い致します」

 今やホートーは副大臣となり、遊ぶ暇ない位忙しい……直属の部下である俺も忙しいんだけどね。


「ご苦労さん……そういや、お前の結婚式来月だったよな……先に言っておく。自重しろよ」

 そう、来月俺はカリナと夫婦になる。お互いまだ十七歳なんだけども、周りの強い勧めもあり籍を入れる事になったのだ。


「大丈夫ですよ。食材はオールボーブル産ですし、引き出物も工業ギルドで作らせた物ですから、予算を抑えられています」

 貴族の結婚式だからどうしても規模は大きくなってしまうが、予算は控えめにしてある。


「そういうとこだよ!てめえの結婚式まで、宣伝に使うな……フェルゼン皇帝やランドルの元首も来るんだぞ」

 世界を破滅の危機から救ったっていう立場もあり、国外からの招待客も少なくない……絶好の宣伝の場じゃん。


「これで良かったんですかね?」

 正直、自分が結婚するって実感がない。式の準備は爺ちゃんが仕切っているし、ウェディングドレスも当日まで秘密らしい。


「なんだ?マリッジブルーか……まさか、独身最後に遊びたいって言うんじゃないだろうな」

 もし、そう言ったら仕事を減らしてくれるんだろうか?仕事量が多すぎて、花嫁カリナと会えてないんですけど。


「俺とカリナが会ったのが中一の時なんですよ。おっさんが初恋も知らない少女を、権力や金で篭絡した様に思えるんです。本当に俺なんかで良かったのかなって」

 俺とカリナが日本で出会っていたら歯牙にもかけられなかったと思う……今はリアルに歯牙で噛まれていますが。


「ばーか!そんな娘じゃない事は、お前が一番分かっているだろ……お前等の結婚ラッシュの所為で、俺も年貢の納め時だ」

 ドンガと凛が正式に婚約。ギリアム商会の各支店にフライングシップ用の魔石を確保してもらい、ワノ国まで挨拶に行ってきた。ちなみに運転手は谷で、リップルさんとアニエスも同乗していったのだ……俺も行きたかったのに。

 その谷とアニエスも婚約。アニエスの卒業と同時に式をあげる予定である。

 そしてホートーもラフィンヌさんに押し切られる形で、結婚が決まったのだ。


 城での仕事を終えて、ボーブルへ直帰。ちなみに高校は、通信制に変えました。もう、遅いから寝るだけである。

 社食で作ってもらったおにぎりを食いながら、書類をチェック。カリナも結婚式の準備で忙しく、飯を作る余裕がないのだ。

 一息ついていると、妙に明るい曲が流れてきた


「君はパパとママの宝物っ。その笑顔を見るだけで、パパは無敵のヒーローになれるんや。MY、BABY。CONGRATULATION。生まれてきてくれてありがとうー」

 デレデレの笑顔で歌うミケ。つい、この間まで失恋ソングしか歌わなかった癖に。現金なやつめ。


「よお、タマちゃんは元気か」

 そう、ミケに子供が産まれたのだ。名前はタマ、命名はリヤン様。珠の様に可愛いから付けたらしい。


「自分の子供ってええぞ。ちっちゃいおててで、指を掴まれたりしたらパパの幸せはオーバーヒートや」

 ミケは子供を溺愛している。子供の成長を残すんやって、日本でカメラを買ってきた。俺の金で。そして俺のパソコンで印刷しまくっている。


「今日も子供自慢に来たのか?それとも写真の印刷か?」

 勇者騒動が解決したから、ミケとの縁が薄くなると思っていた。でも、こいつは事あるごとに俺の部屋に来て幸せ自慢をしていく。カリナがいなきゃ、ぐれていたぞ。


「パパは、そんな暇やないんやで。これから家に帰ってタマをお風呂にいれなあかんのや。あの子の毛並みは綺麗やから、ちゃーんとブラッシングせんとな……そうそう、結婚式にリヤン様も顔をお出しになる事になったで」

 リヤン様は神の誓いの時に降臨してくるそうだ……リアル神前式かよ。


「他国の王族やキンウロコ様だけでも胃が痛いってのに……」

 タスク山のドラゴン達も、俺の結婚式に出席する。王様より上座に配置すべきかで、凄く悩みました。ちなみにアカダマさんは、歌を歌ってくれるそうだ。


「有り難いこっちゃろ。お前が浮気せな、問題ないで」

 浮気なんてする気はないし、出来る気もしない。俺はそこまでモテないし、うちの女性陣に見つかったら怖すぎる。

 既婚の人間が、他の異性とプライベートで二人で会う意味も分からん。


 寝れない。がちで寝れない。明日は結婚式。緊張で目が冴えて寝られません。

 気分転換に向かうのは城のテラス。夜風を浴びれば、気分転換になるだろう。

(ボーブルも大きくなったな……最初は畑と荒れ地だけだったのに)

 鎧のつもりだったボーブルも、今は打ち出の小槌状態である……金が増える程、俺の仕事も増えたけど。


「あんたも寝れないんだ……いよいよ明日だね。ボーブルも大きくなったよね。流石は私の旦那様だ」

 どうやらカリナも寝れなくて、テラスに来たらしい。


「ジョージに転生した時は、どうしようと思ったよ。頑張って、みんなに助けてもらって……お陰で最高の伴侶に巡り会えた……これからもよろしくお願いします」

 カリナに向かって深々と頭を下げる。カリナと出会えていなかったら、途中で挫折していたと思う。


「あたいこそ、故郷から夜逃げしてきた時は、どうなるんだろうって思っていたよ。そんなあたいがまさか公爵夫人になるなんてね……こちらこそよろしくお願いします。あ・な・た」

 多分。俺はこれからも色んな事に巻き込まれていくだろう。でも、頼りになる仲間やカリナがいればきっと乗り越えられる。


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