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嫌われ者始めました〜転生リーマンの領地運営物語〜  作者: くま太郎


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ジョージの起こしたキセキ

ようやく書きたかった場面を書けました

 今思えばゲームのキャラには、随分と無茶振りさせていたんだなと実感している。

 間断なく降り注ぐ弓矢や魔法による遠距離攻撃。俺はというと、近付こうとする騎士を弓矢で牽制するのが精一杯だ。ちなみにグルウベの騎士達は、洗脳されているらしく、皆無表情で怖いです。

コストは掛かったけど、ミスリルにしておいて良かった。鉄製だったら、とっくにあの世行きだ。

(やっぱり、ブリスコラには矢は届かないか)

 一応隙をみて狙ってはいるが、距離があるし騎士が壁を作っている。命懸けで守っているのが、魔族の司令官だと分かったら、彼等はどんな反応をするんだろう。


「さて、そろそろ終わりにしますか。ジョージ・アコーギ、私の策を潰した罪は重いですよ」

 予想通り、ブリスコラの狙いは俺だった。


「第三夫人を唆したのはお前だろ?随分と回りくどい事をするよな」

 表向きの理由は危険人物となった俺を倒す為だろう。でも本音は自分の楽しみを奪われたからだ。

 ブリスコラは、人の悲しみを好む。人の欲や弱さにつけこみ、自滅へと導く。

でもブリスコラの策は結果的に俺へ利益をもたらしてしまった。

イリスさんの恋心を利用してオリゾンとフェルゼン帝国を仲違いさせようとした。でも俺がこそこそ動いた結果、同盟は更に強化。俺はコルレシオン公爵の次男ベガルと深い繋がりが出来た……将来的には、義理のお兄さんになる予定です。

 ついでにサンダ先生は伯爵家のご令嬢であるミューエさんと婚約したし、ムー君ことファルコ伯爵はうちに通い詰めている。

アイン君を闇落ちさせて、幼馴染みで勇者のシロー君と戦わせようとした。でも俺がこそこそ動いた結果、アイン君はコンプレックスを解消して更に明るくなった。

ついでに俺の部下とアイン君のお母さんが結婚、アイン君は義理とは言え尊敬できる父親を得たのだ。

そして闇のヒロインユリアと恋仲になり、我が軍の戦力がアップ。

本領の民を唆し、王都に襲撃をかけさせようとした。でも俺が裏で動いた結果、反乱を事前に阻止する事が出来た。

ついでにマリーナとの婚約を解消して、カリナとお付き合い出来るようになりました。

それがむかついたのか、ボーブルの治世を乱そうと、騎士ファンの女房を寝取らせた。結果、ファンはフーマ三姉妹の長女萩野と良い仲に。我が軍のアサシン部隊は更に強化。

今度はマルールさんを唆し、ヌボーレ伯爵の長男ヴァルムを殺そうとした。でも俺がこそこそ動いた結果、ヴァルムの命を救えた。さらにヴァルムのキャラが変わり、ヌボーレ領の治世が安定。お陰で伯爵家に太いパイプが出来ました。

 ……そりゃ、怒るよな。サラリーマンで言えば、折角建てた企画がことごとくライバル企業の利益になった様なもんだ。


「ええ、『貴方は奴隷だから、このままでは離縁されて捨てられますよ』と伝えたら、簡単に乗ってきましたよ」

 奴隷から貴族の第三夫人なんて、物凄い出世である。第三夫人にとっては、正に夢のような環境なのだ。アランの寵愛が減った状況も相まって、ブリスコラの策にのったのだろう。


「そして親父(アラン)にボーブル騎士団を使えって進言したと……しかし、利益度外視で近付いてきた商人の甘言なんて信じるかね」

 商人にとって一番大事なのは利益を上げる事。それをしないって事は、他に企みがあるからだ。側近をイエスマンだけにして、苦言を呈しくれる忠臣を遠ざけた結果である……いや、優秀な人材を引き抜きまくった俺にも原因があるんだけどね。

 ちなみに俺の出した指示はただ一つ。無理をするなだ。だって経費はうち持ち出し、出張費も出してんだぞ。こんな状況で大事な部下が怪我をするなんて馬鹿げている。


「流石は、ジョージ・アコーギ、正解です。騎士団がいなくなったお陰で、反戦運動も楽に出来ましたよ。貴方、民に舐められ過ぎじゃないですか。ボーブルでは、何をしても怒られないって言っていたそうですよ」

 そうこうしているうちに、グルウベの騎士団がじわじわと近付いてきた。殺気全開だし、まじで怖いです。


「お陰様で、軍を編制出来ず仕舞いだよ」

 ゲームで再現したら、いくら何でもリアルさに欠けるって叩かれると思う。


「おかしいですね?さっきから矢が飛んできませんよ。貴方は人の策を破るのは得意でしょうが、どこか甘さがあります。その程度の装備で、単身で敵地に来るなんて頭がおかしいんじゃないですか?さあ、終わりです」

 ブリスコラが得意満面といった感じの笑みを浮かべる。そりゃ、そうだ。今まで何度も煮え湯を飲まされてきた相手をようやく殺せるんだから。

 でも、お前の方が甘い。俺は無言で空中に向かって魔法弾を放つ。


「それだけ近づいてくれれば、狙いやすいぜ。アサシン部隊、弓兵隊攻撃開始っ!」

 ボルフ先生の号令に合わせて、グルウベの騎士に向かって矢や投げナイフが襲い掛かる。


「猿人じゃ動けない森でも、ゲリラ活動を得意とするアサシン部隊や、身体能力を基準に選抜した弓兵隊なら余裕なんだよ」

 ボルフ先生達の猛攻に怯んだのか、騎士が一定の距離を取り始めた。これで一安心です。

 ちなみに移動中、俺が気にしていたのは、ゴーレム兵の動きじゃなくボルフ先生達の動きだったのだ。


「やはりアサシン部隊と弓兵隊は、貴方につきましたか。しかしその程度の人数でなにが出来ます?私が後詰めを準備していないとお思いですか?……使える駒はまだありますよ」

 ブリスコラの隣にたっていた騎士がドラを鳴らすと、後方から後詰の騎士が近付いてきた。しかもあれはかなりお強いと噂のグルウベの皇帝騎士団。つまりグルウベは魔族に支配されているって事だ。


「なにか勘違いしていませんか?我が軍は全員ジョージ様の配下ですよ。皆さん、ジョージ様をお守りするのです」

 現れたのはサンダ先生率いる重騎士隊と工兵部隊。彼等に俺とは別行動で砦ゴーレムの部隊に入ってもらっていたのだ。

 そしてアサシン部隊と連携をはかり、俺の後を追って来てもらっていたのです。サンダ先生達は俺の前方に陣取り、守備陣形を作った。


「良い事を教えてやるよ。民は、反戦運動にのったんじゃない。俺が乗るように指示したんだよ。良い演技だったろ?」

 配下の中で演技がうまい奴を選び、積極的に運動家と関わりを持たせたのだ。ブリスコラの目を欺くのと、一般市民に被害を及ばせない為である。


「軽戦士隊と格闘隊も到着!部下が裏切ってもあたいがジョージを裏切る訳ないだろ。見張りはボルフ先生達が始末してくれたから、楽々来れたよ」

 続いてカリナも合流。これで人数は俺達の方が勝っている。そしてカリナはゴーレム塀を軽々と飛び越えると、俺の隣をキープ……心配を掛けたのは謝りますから、つねるのは止めて下さい。


「またしても……私が考え抜き、綿密に準備した策を小手先で愚弄しやがって……私の本気をみせてやる」

ブリスコラはそう言うと、地面に魔法陣を描く。そして魔法陣が光ったかと思うと、魔物の大群が姿を現した。再度形勢逆転です。

 俺はもう一度、魔法弾を空に向けて放つ。今度はさっきより明るいやつを高く打ち上げる。


「誰を呼ぶんです?本領を守っている兵力を含めて、換算すると貴方の軍はもういないでしょ」

 正解です。城やボーブルの守りにも兵を割いているから、俺の軍はこれで終わりだ。でも、あてはある。


「爺が可愛い孫を見捨てる訳なかろう」

 別の道から現れたのは爺ちゃん率いるコーカツ近衛騎士団。口上もそこそこに攻撃を開始した。

 ブリスコラの言う通り、公爵であるコーカツ家は王都の守備を命じられている。


「王都は息子達が、守っておる。ジョージがもたらした知識のお陰で、養える兵がふえたんじゃよ……儂等の方ばかり見ていると危ないぞ」

 ちなみに連絡役はフーマ三姉妹とユリアの両親や仲間が活躍してくれました。


「イジワール騎士団到着しました。ボーブル領には大勢の友人がおります。なにより恩がありますので」

 続いて、現れたのはリーズン率いるイジワール騎士団。こちらはイジワール公爵が王都を守っているそうだ。


「フェルゼン騎士団ベガル・コルレシオン参上!タンラ、リーゼン!汚名を晴らすチャンスだぞ!」

 ベガルの後ろに控えるのは、成長したタンラとリーゼン。二人共、フェルゼンで一個師団を任せられる程成長したそうだ。

 ブリスコラが指示を出そうとした瞬間、別方向で爆炎があがった。誰かが上位魔法を放ったらしい。


「ジョージ様、お久しぶりです。ランドル魔法騎士団第三師団隊長、ネルケ到着しました」

 ネルケ君はランドルに行き魔法を猛勉強。師団長にまで登り詰めたそうだ。


「分領の領主一人の為に、なぜこれだけの戦力を?そんなにジョージ・アコーギが大事なのか?」

 ブリスコラは信じられないといった目で俺を見てくる。


「ここにいる者はみなジョージ様から何がしからの恩を受けているんだ。何よりボーブルはオリゾンだけでなく、今やランドルやフェルゼンにとっても大事な場所。守るのは当たり前だ!それに自分にとってジョージは義弟だ。見捨てたら、男がすたる。一斉にかかるぞ」

 ベガルの言葉にみなが頷く。なんだろう、この照れ臭さは。


「あんたのお節介が実を結んだんだよ。リヤン様の力じゃなく、あんたの行動にみんな影響を受けたんだ。みんな、異世界からきたお節介焼き領主が好きなんだよ。あんたの軌跡が奇跡を起こしたんだ」

 カリナが耳元でそっと呟く。涙が零れそうだが、それは後だ。


「ブリスコラを倒せば、グルウベだけでなく魔族も混乱します。ブリスコラ軍を殲滅させたら、王都を脅かすグルウベ軍を挟撃しますよ。全軍、突撃っ!」

 数だけでなく実力もブリスコラ達を圧倒。その勢いのままグルウベ軍へと攻撃を仕掛けた。


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