決勝トーナメント 6
書き直しを考えて設定まとめ直しているのですが、トーナメントを終わらせてからやろうと思っているとなかなか決勝と閉会式が上手くかけなくて困ってしまっています。
勝者、《††》。
彼の手札を今のうちに推理しなくてはならない。
決勝は準備があるからか十分後だ。
リアル空間ではなく、割と思いどおりになるVR空間で十分となると、会場の準備ではないなにかをやっているのだろう。
その十分で二枚の手札を丸裸にする。
まず、わかりやすい剣に纏ったオーラ。
これがやったことは単純で、アルフレッドの盾を透過してその刃をアルフレッドへ届けたこと。
つまり、物体の透過。
アルフレッドへ攻撃した直後の反撃ではアルフレッドの剣を弾いていたので任意操作か何らかの条件があると思われる。
これは、そこまで怖くない。
剣が伸びたり巨大化するという可能性は低くそうだからだ。
宙へ浮く十五センチの妖精を斬るのは難しいはずだ。
そもそも彼らの剣技は対人戦だったり、自分と同等以上の大きさのモンスターと戦うことを前提としているはずだ。
小さいモンスターや飛んでいるモンスターはいるが、それらを倒すのは魔法使いだったり弓師の役目だからだ。
ということで一枚目の考察は終了。
黒華には有効かもしれないが、近づけなければ問題は無いはずだ。
次に、二枚目で最大の脅威の魔法無効化のアレ。
発動したタイミングは二つ。
共通項を洗っていこうと思う。
まず一回目は《固定砲台》との戦闘中。
持続型の範囲攻撃を次々と作られ、そのひとつに«ステップ»の無敵時間を利用して突っ込み、その直後に置くように使われた魔法を受けた時。
この時フィールドにあった範囲攻撃はすべて消滅した。
次に、アルフレッドが大量に放出した光の玉に突っ込んだ時。
この時は«ステップ»を使うことなく、突っ込んで、そのまますべての魔法を打ち消していた。
共通点といえばせいぜい大量の魔法がフィールドにあったということくらいだろうか?
魔法への単純なカウンターならばアルフレッドが光の玉を生み出すもっと前。
《††》とアルフレッドの剣と魔法の槍の刺しあいの時に使ってもよかったはずだ。
つまり、あの時は使えなかったのではないか?
……。
考えてもわからないな。
精々が魔法が沢山ある時に使ったカウンターっぽい感じの技ってくらいだ。
もうアレだな。
開幕にフィールドを埋めるくらい大きいのいって一撃で倒してしまおう。
無効にされるかもしれないがアレを使った反動とかあるかもしれないし。
無反動なら《固定砲台》の時にもっと早く使ってた気がしなくもない。
こういう時詠唱時間がない魔法の強さが出るね。
適当に広範囲攻撃するだけなら最高の手段だし。
ということで作戦は以下の通り。
まず燃やす。
無効にされたら数を以て圧倒する。
ひとつの広範囲魔法が無効化されたってことは数の制限じゃなさそうだし。
別の手段で生き残ったら液体呪炎銀を交えつつひとつの魔法で倒す。
《††》が回避の上手な理由は予備動作を見抜くのが尋常じゃなくうまいから。
一度見せているとはいえ、攻撃性能は見せていない液体呪炎銀をノーモーションで使えばワンチャンある。
具体的には黒華が追い詰められて《††》が最後の一撃を振りかぶった時に適当にグサッと。
もしそれでもダメで黒華がやられちゃったら《ルフレ》を倒したと油断するかもしれないタイミングで【精霊魔法】で。
それでもダメだったらもうガチンコだよ。
高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に。
ベータテスト時代はPvEの民だったども、あの戦い方はしっかり経験として生きている。
PvPでもやっていけるだろう。
「決勝だからってまともに戦ってやる必要は無い。勝つために戦う。ルールとプライドが許すならなんだってやる」
「相手の嫌がることを押し付ける。正々堂々とは戦わない。ですね」
「うん。それが、PvPにおける魔法使いの戦い方だからね。正々堂々騎士道精神に則った戦いなんていうのはそういう人たちに任せておけばいい」
そもそもルール的にコロッセオのタイマンはファイターに有利なんだ。
そこから更に相手に譲ってやるなんて阿呆のすることだ。
不利な状況から勝利につなぐためには不意打ち上等ハメ技上等。
そんな考えじゃないと無理だ。
《固定砲台》の戦いがいい例だ。
徹底的に相手の得意な戦いをさせない。
彼は彼なりの戦い方でそうしていたが、こっちら詠唱時間なんてものはないんだからもっと苛烈に責め立てることが出来る。
と、準備が終わったようだ。
黒華の尻尾に隠れて準備完了だ。
ホイ転移っと。
◇
……疲れたな。
まさかアレを二回も使わされると思わなかった。
《固定砲台》の時は決勝にくるやつの予想なんて出来てなかったから勝つことだけを考えていたが、さっきのは無いだろ。
予想どころか確定してる。
しかもその相手はアホみたいな規模の魔法を使う狐だ。
勝たなきゃ意味が無いとはいえ勝ち方ってのはもう少しあったはずだ。
対人をやる魔法使いは基本陰気だ。
そんな奴に一度だけではなく比較検証できる二回目を見せてしまうとは明らかにミスだ。
今だからわかるが、«剣忌解放»だけでも勇者様には勝てたかもしれん。
やっぱ体力を確認しながら戦えないってのは辛いな。
よし、切り替えよう。
あの狐――《ルフレ》に勝つ方法は近づいて斬る。
これしか思いつかない。
そもそも遠距離攻撃手段がないとかそういうことではなく、近づけなければそのまま負けるのが目に見えているのだ。
そうなると、奴の攻撃手段を考える必要がある。
種族からして【狐火】だろうか?
《狐巫女》の陰に隠れていたが優秀なスキルだったと思う。
攻撃手段はそれとして、移動停止をかけたのは何だろうか?
同じ火で行っていた気がするが……。
少なくとも【呪術】ではないのか?
独特のモヤはなかったしな。
とにかく紐みたいな縄みたいな炎は完全回避安定か?
剣でどうにかして絡みつかれたら厄介だしな。
んで、切り札っぽい銀色のよくわからん奴。
《卍魔王卍》との戦いで見せたアレだ。
多分だけど使用条件はない。
使用中の維持コストなんかはあるだろうけどな。
魔王の魔法陣に対抗するように出てきたことからの予想だ。
効果は見た感じ勇者様のあの魔法と変わらないのかもしれないな。
発射点の自由化。
普段の狐は手を振ってそれと同じように炎が出たり、手のひらから発射したりという感じだったが、あの狐のマークを出してからはマークからはマシンガンのように炎を出していたし、離れた場所から出現する炎にも手振りを必要としていなかった。
アレを出されたら無効化を試みるしかねーかな。
さて、今まで考えてきたが、これが台無しになるかもしれない要素がひとつある。
それが、《†x†》を倒した《マキナ》との戦いだ。
一部とかじゃなくて全部と言っていいだろう。
まず、開幕の火柱。
手振りが存在しなかった。
ついでに黒い炎とは別に普通の火柱も立ち上がっていた。
次いで銃弾を防いだ方法。
火ではあのような銃弾が潰れて溶けて巻き散らかされている状態にはならないはずだ。
障壁っていうのも無くはないだろうが、《†x†》の防御の上から削りを入れた弾を防ぐ障壁って化け物クラスだ。
つまり、普段の手振りは必要なく、火だけではなくほかの魔法も使えるとも考えられる。
手振りはあった方が魔法を使いやすいという可能性があるので完全にハッタリではないかもしれないが、炎以外の何かを持っているのは確定だ。
場合によっては【剣忌解放】も必要になるかもしれない。
もうわけわかんねーな狐人族ってのは。
ベータの時から最強格として君臨していた《狐巫女》、そしていま最強決定の場で立ちふさがる《ルフレ》。
だが、俺の前に立ちふさがるなら誰であろうと倒すだけだ。
――そう言えば、あの銀色のやつ、どこかで見たことがある気がするな。
と、時間切れか。転移。




