魔銀作成……?
ようやっと自由度の高い生産が出来ました。
次回か次次回でイベント開始&他プレイヤー登場です。
レッサー・ワー・バジリスクはレッサー・ロー・バジリスクにしました。
多分レッサーとローの頭文字をとってLLモンスターとしてシリーズ化すると思います。
トーナメントまで残り三日。
ギリギリ収集が間に合った。
できればあと二日ほど欲しかったが時間は有限なので仕方が無い。
廃鉱山で魔銀が入手できると言ったが、正確には『魔銀の素材となるアイテムが入手できる』が正しい。
廃鉱山で低確率で採掘できる銀鉱石を精錬し、銀インゴットを加工して魔銀インゴットを作成するのが一連の流れだ。
鉱石からの加工工数が多ければ多いほど最終的に入手できるアイテムの量は少なくなるし、場合によっては質も落ちる。
魔銀は残念ながら質が落ちるタイプだ。
と言っても廃鉱山で入手した鉄鉱石を鍛えたりしてできるアイテムよりかは性能が高いので魔銀鉱石から直接作り出した魔銀よりは弱いという程度だ。
その質をできる限り落とさないために【錬金術】のレベルはできる限りあげておきたい。
そのため鉄鉱石や銅鉱石などのアイテムを精錬してレベルを上げたいと思っている。
生産者ギルドで部屋を借りて早速トライだ。
黒華にも鉱石を渡して同じ手順で加工するように言う。
とは言ってもスキル構成が違うため全く同じことは出来ないので黒華自身に適したアレンジが必要だ。
それでも基本ができていればある程度はできるので最低限そこを目指してもらう。
「火魔法が使えない場合は炉を使うんだけど、黒華は【黒炎】があるから炉はいらないね」
「ですが【黒炎】は……」
「へーきへーき。新しいアイテムができたらそれはそれで面白いし」
【黒炎】は【錬金術】で使うと色々面白い効果を持ったアイテムを作り出す。
ポーションが毒薬になったり、毒薬が秘薬になったり。
ある程度の法則はあると思うのでそれを紐解けば初めての制作でも狙ったアイテムを作り出すことができるようになるかもしれないと思っている。
「まずは火の力――便宜上魔力と呼ぶけど――を込める。鉱石によって違うけど込めすぎると炎上、融解するので注意が必要ね」
鉱石に火の魔力を込めると、設定された融点にもよるが金属が溶けて出てくるか金属は溶けずに不純物だけが出てくる。
基本的に金属が溶ける場合が多い。
現実だとフクザツな工程があるそうだし、【鍛治】だとそこまで再現されているようだが【錬金術】は魔力を使う――魔法である。
そのため結構なところが簡略化されているのだ。
ポーション作りを【調薬】でしなかったのはスキルスロットの枠的な理由もあるが、めんどくさいところまでリアル準拠なためMPさえあればお手軽な【錬金術】を選んだのだ。
FOEは自由度が高いのでリアルと同じ手法でも色々できるが、それだと知識がなければ何も出来ない。
そうなればクソゲー一直線なため【錬金術】のような簡単スキルがあるというわけである。
リアル準拠のスキルは最高級品を作るのに必要だが、そこまで求めないなら【錬金術】系で十分である。
【錬金術】系でも強力なものが作れないという訳でもないし。
話を戻して、金属と不純物が分かれたら金属を型に流す。
当然のように四桁℃あるので素手でやったら焼け死ぬ。
魔力で操作して流すのだ。
この工程は【錬金術】の機能でも行うことが出来るが、ほかのスキルを使うことが出来れば簡単に、早く終わらせることが出来る。
【妖精魔法】と【神通力】の出番だ。
型に流し込んだらひとまずは完成。
型を暫く放置してその間に別の鉱石で同じことを行う。
ここまでは黒華も同じようにできたみたいだった。
◇
こちらが、放置した型入り金属です。
型を自分で用意すれば別なのだが、生産者ギルドで用意されている型を使っている場合は取り外しにもMPが必要だ。
今回は型を用意している時間がなかったし、大量の鉱石を捌くから備え付けの大量にあるギルドの型を利用している。
この作業は【錬金術】で出来るがこれも別のスキルで行えば効率アップだ。
【精霊魔法】の土属性と【神通力】の出番だ。
……【神通力】便利すぎるのでは?
型から取り出したらこれでインゴットの完成。
銀インゴットはここから魔銀へ加工するのだがこれは鉄なのでインベントリにしまって終わりだ。
四桁単位で入手している下級鉱石を次々と精錬していく。
二週間くらい掘り続けたというのもあるが、そのうちの大部分を鉱山の独り占めができたというのが大きいだろう。
ほかのプレイヤーがやって来てからも上層で頑張ったし。
鉱石精錬初日はログインからログアウトまでずっと下位鉱石を精錬していた。
事前に作っていたマジックポーションをひたすら飲んでいたので何となくお腹がタプタプな気がするが、現状満腹度や潤喉度は実装されていないので完全に気のせいである。
ちなみに今日だけで下位鉱石はすべてインゴット化を済ませている。
さらに、【錬金術】も【錬金術2】へ一段階進化している。(【スキル名(1)】→【スキル名2】へと進化する)
やはり二人で千個単位を精錬するのはかなりの経験値となったようだった。
明日は魔銀の生成と加工だ。
一応練習用として少しだけ予備があるが、失敗したら堀りなおしとなるのでトーナメントには間に合わない。
ベータテストの時に一度作っているのでそこまで心配はしていないが、やはり緊張するな。
多分黒華は多少の失敗は【神通力】でごまかせると思うので成功すると思う。
◇
全ての銀鉱石をインゴットに加工し終わった。
ここまでは失敗の余地はなく、完璧だ。
システムに定められたとおりにやっているのだから当然といえば当然だろう。
ここからは、FOEには定められていないレシピだ。
完全オリジナルではないが、スキルによる補正はごく僅かにしか得られない。
そのため一手でも間違えれば簡単に失敗する。
今回のレシピは、FOE運営/開発の別ゲームから引っ張ってきたレシピをアレンジしたものである。
ベータテスト時代に戯れにやってみたらできちゃった系の生産だ。
正式な魔銀の生成方法は他にあるが、今回の目的と合致する方法を使うのだ。
まず、銀を溶かす。
これは炉で行ってはいけない。
自分の火の魔力で行わないといけないのだ。
次に、ドロドロに溶けた銀を魔力で包み込む。
温度が下がらないように、偏りがないように一定に熱しながら新しい鉱石でもう一回同じことをする。
新しく出来たドロドロに溶けた銀も作成済みの魔力の包みへ入れ、熱し続ける。
包みへ入れる時に入っている銀の温度と入れる銀の温度が均一でなければここで失敗だ。
量が増えた銀をまだ熱し続ける。
温度が高くなるのは許される範囲は広いが、低くなるのは許されない。
銀の量を増やしていく。
増やせば増やすほど最終的な質は上昇する。
限界だというところまで増やしたら、今度は熱しながら冷やす。
熱することで温度が高くなるが、冷やすことで温度が低くなる。
これらが同時に行われることで温度は変わらないまま熱い魔力と冷たい魔力が銀の中に同居するようになる。
温度自体は変わらないまま行われているので銀はドロドロに溶けたままだ。
そして、冷たい魔力が一定量まで増えたら徐々に熱と冷のバランスを崩していく。
どんどん冷たくなり、銀がドロドロからサラサラになり、常温でも液体の振る舞いをするようになる。
見た目では水銀と変わらなくなった銀が誕生した。
魔力の包みを維持しながら、今度は液体銀を液体魔銀へと作り替える。
これは単純に魔力を込めるだけだ。
今までの作業と違って簡単すぎて失敗の余地はない。
込める量がとてつもないということを除けばだが。
二度ほど黒華にマジックポーションを口元に運んでもらってMPを全回復する。
そして完成したのが液体魔銀。
次は液体魔銀の加工だ。
ここまでも別ゲーのレシピの流用だったが、ここからも別ゲーのレシピの流用だ。
とりあえず手持ちの魔石の半分を粉々に砕く。
粉末状にはせず一ミリくらいの欠片にするのがポイントだ。
粉々になった魔石を溶解させる。
粉末状にすると溶ける前に燃えてなくなるので注意。
どろどろになった魔石に液体銀を作った時のように魔力を込めていく。
この時の冷たい魔力の量が成功に関わるので注意。
具体的には液体魔銀の冷たい魔力よりも多くなくてはならない。
先程までは熱せられていた金属が部屋にあったため暑かったが、今回は魔石がどんどん冷えていき部屋が寒くなってくる。
感覚的にしかわからない魔力の量を把握して〝 よし〟と思ったところで停止。
未だ液体の魔石を魔銀の中へ入れる。
すると、液体の状態を保っていた魔銀が固体へと変化した。
これで一応は完成。
失敗していたら不純物だらけのクズ魔銀となる。
固体になった魔銀に魔力を込める。
今回は熱い魔力でも冷たい魔力でもない。
ただ平静な自分本来の魔力だ。
すべて自分の魔力で行ったからこその反応を起こし、魔銀が液体へと変化する。
もう一度流せば固体へ、もう一度流せば液体へ。
うん。質こそはベータテスト時代のものには劣るが同じ機能を持ったアイテムができた。
名前は《アマルガム》
水銀の合金の名前だが、水銀は一切使ってないし、魔銀以外の金属は使っていない。
一応魔銀と魔石の合金(?)とはいえなくないが、なんとも残念な名前である。
レシピ外の作業をするとよくある現象なので仕方が無い。
その場合は運営に申請すればアイテムの名前を変更できるので申請。
ベータテストの時は確か《液体魔銀》と名付けていた気がする。
単純な名前だがそれで良かったのだ。
今回はどんな名前にするかな。
と思いながら考えるが、残念ながら命名センスはない。
捨て犬にポチと名付け、白猫にシロ、黒猫にクロと名付けると言われるほどにセンスがないので簡単に。
《妖精魔銀》とする。
わかりやすいしこれでいいだろう。
妖精魔銀を圧縮する。
自分の魔力との相性がとても良いどころか完璧なので、直径百五十センチほどあった魔銀は妖精の指輪サイズまで圧縮された。
うん。完璧。
さあ、次は黒華の番だね。
むしろ黒華の方がこれが必要だ。
自分の魔力でやらないと意味が無いから手伝ってやれないけど、だからこそお手本を見せたのだ。
そして黒華は【黒炎】こそ持っているものの、風属性、または水属性のスキルを持っていない。
冷やす工程が冷たい炎を使用しなくてはいけないためとてもキツくなるが黒華なら何とかしてくれるでしょう。
「冷たい炎出せる? 具体的には零度付近のがいいんだけど」
「零度ですか。…………………………出来ました」
黒華が手のひらから作り出した炎に水を投げ込んでみると、その水は凍って【黒炎】の物理属性にやられたのか粉々になってきらきらと光を乱反射した。
「うわ……本当に出来るんだ。じゃあ平気だね。マジックポーションはいくらでもあるからあとは黒華の腕次第だよ。頑張って」
「かしこまりました」
◇
こちらが、黒華の作った《アマルガム》です。
というか、名前こそアマルガムだけどもはや別物だよこれ。
まず、液体魔銀を作る工程でできたのが液体呪銀――呪銀ってなに?
できた《アマルガム》は魔力を通せば固体と液体に変化するが、黒華の《アマルガム》には液体の状態での防御能力が一切ない。
ついでに液体の《アマルガム》に触ってみたら呪われた。
具体的には物理耐性低下、魔法耐性低下、火耐性低下、呪い耐性低下、レジスト確率低下のデバフがかかった。
あとノックバックも受けたから攻撃性能があると思う。
フレンドリーファイアはないけど攻撃に対するノックバックはあるのだ。
固体の時は燃えている。
黒炎が轟々と放出されている。
黒華が意図的に出している訳では無いけどMPがほんのちょっとずつ減っているので吸い取られているのだろう。
黒華曰く変換効率は1:9くらいらしく、普通の【黒炎】や【呪炎】もここから出せるとのことだ。
ただでさえ強い黒華がさらに強くなったようだ。
固体状態にはしっかり防御能力があるみたいなので防御力も攻撃力も上がって鉱山に篭った甲斐があったというものだ。
ちなみに、【錬金術2】が《アマルガム》を作った時に【錬生術】へ変化しました。
生物を生み出せるんだってさ。アイテムではあるけれども《アマルガム》は魔法生物って扱いみたいである。
黒華も【錬金術2】が【反錬金術】へと進化した。
【黒炎】を、使っての錬金が評価されたのかもしれない。
一応派生先のスキルでも【錬金術】の作業はできるようなので問題は無いだろう。
ちなみに、黒華の《アマルガム》は《液体黒呪炎銀》となった。
《アマルガム》
簡単に言えば月〇髄液みたいなもの。
自動防御機能はありません。
妖精魔銀の方は攻撃能力はないですが液体状態でも防御力はそこそこあります。
《液体黒呪炎銀》の方は液体の時には防御力はないですがダメージと呪いを発生させます。
個体の時の防御力は高いです。
両者ともに液体の状態で操ることは簡単ですが、個体を移動させるのは難しいです。
素の大きさを直径百五十センチとかいたけど、それくらいの量の銀ってどれだけの重さなのだろうか?
錬生術は生きるであってます。錬成術じゃないです
――――――――――――――――――――――
PN『ルフレ』
種族『妖精』
スキル
【妖精魔法2】(放出/察知/視/循環/回収/変質/隠蔽)【精霊魔法】【錬生術】【精神力回復3】【使役術2】【回避術】【鑑定2】【識別2】【採掘3】【シンクロ3】
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
PN『黒華』
種族『黒狐』
スキル
【変化2】【黒炎2】【呪炎2】【神通力2】【精神力回復3】【魔力循環2】【魔力隠蔽】【反錬金術】【回避術】【シンクロ3】
使役主『ルフレ』
――――――――――――――――――――――




