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【電子書籍化】理想の悪役令嬢にどうしてなれないの!〜なぜかヒロインのように溺愛されています〜【web版】  作者: やきいもほくほく
悪役令嬢はヒロイン気質!?

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甘く溶かす幸せ(ジューリオend)


ラヴィーニアは光属性を失った。



そして元々持っていた風属性も戻ることもなかった。

ジューリオの作戦は上手くいったが、ラヴィーニアの魔法が使えなくなる事だけは予想外だった。


真剣な顔でラヴィーニアに深々と頭を下げた。

ラヴィーニアがいくら気にしなくても良いと言っても納得出来ないようだった。


ラヴィーニアは"属性落ち"してしまったのだ。


この国の貴族で属性落ちした者の道筋は決まっていた。

それをジューリオは申し訳なく思っていたのだ。



「……申し訳、ありません」



ロンバルディ家に謝罪に行った。

少なくとも、ラヴィーニアが無意識に全てを守ろうとすることは分かっていたはずだ。


増幅された闇魔法に対抗する為に、強い力を使い続けた。

皆を守る為に、彼女は全てを失ってしまったのだ。



「……貴方のせいではないわ」


「顔を上げて下さい、ジューリオ殿下」


「っ」



(全部、自分の落ち度だ……もっとよく考えていたら!!)


悔しくて堪らなかった。

後悔が波のように襲う。

こんな時、学んできた事は何一つ役に立たない。

自分がこんなにも無力だなんて思わなかったのだ。



「ッ、ジューリオ殿下!」


「ラヴィちゃん……!」


「……ラヴィーニア様」



ラヴィーニアが慌てた様子で此方に走ってくる。

白く染まった髪を見た顔が無意識に歪む。


すると「屈んでください」と言われて、訳もわからずにラヴィーニアの前に跪く。



ーーーパシンッ!



突然、ラヴィーニアに頬を叩かれて唖然としていた。


叩かれたと言っても、全く痛みはないのだが……。



「ラヴィ!?何を……っ?」


「……っ」



呆然として動けないでいると、ラヴィーニアは先程とは反対側の頬をペチンと叩く。


手を動かす度に、薔薇のブレスレットがキラリと揺れた。




「……え?」


「う~」



ラヴィーニアは顔を背けて嫌々叩いているようだった。

その意図が分からずに困惑していた。



「ラヴィーニア、様……?」


「喜ばないんですかッ!?」


「……え?」


「いつものジューリオ殿下に戻って下さいっ!」


「!?」


「これはジューリオ殿下の所為なんかじゃないんです……!貴方がこれ以上落ち込むなら、私がビンタしますよ!!」



瞳に涙を一杯溜めながらラヴィーニアは訴える。

その表情を見て立ち上がり、更に叩こうとするラヴィーニアの腕を受け止めて、そのまま抱きしめた。



「……ありがとう、ございます」


「ジューリオ殿下……」


「ラヴィーニア様のビンタで、すごく元気が出ました」


「…………!それなら、良かったです」


「ありがとう……」



ラヴィーニアの白く染まった髪をそっと撫でる。

そして改めて、ディエとルドヴィカへと向き直る。



「前々からラヴィーニア様には申し上げてましたが、私はラヴィーニア様との結婚を前向きに考えております」


「……え!?」


「ラヴィーニア様のお許しがあれば、直ぐにでも正式な婚約者になって頂きたい」


「……!」


「私はラヴィちゃんの意思を尊重するわ!」



ディエもルドヴィカの言葉に静かに頷いた。



「ちょっ、待って下さい!」


「今からたっぷり甘やかしてあげますからね」


「!!」


「……ラヴィーニア様」


「えっ、あの?」


「私の本気は、重たいですよ……?」


「で、でも……」


「覚悟して下さいね?」


「お、お手柔らかにお願いします……?」



そして眼鏡を捨てて、髪を掻き上げた。









ーーーー数年後





「……きゃっ、もういきなり抱きつかないで!」


「ラヴィ……私の側から離れないでってあれ程言っているのに」



あの後、伊達眼鏡を捨てて風魔法で前髪を切ったジューリオにルドヴィカとディエはあんぐりと口を開けていた。


銀色の瞳が見開かれて、優しく微笑んだジューリオのキラキラと輝く笑顔にルドヴィカとラヴィーニアは思わず口元を押さえたのだった。

ディエは何度も目を擦っていた。


ジューリオの特殊な趣味は偶に爆発するけれど、大半は此方への愛情になった。

言葉通り、周囲が見ていて恥ずかしい程にドロドロに甘やかすのである。


ジューリオは毎日ロンバルディ家にいるラヴィーニアの元へ通った。

二人の気持ちが通じ合ったと同時に、即座に国王の元へと向かった。


そして、国王はジューリオとの結婚をあっさりと許可してくれた。


ジューリオは魔法研究者として輝かしい成績を残していた。


性格は以前とあまり変わらないが、兎に角ラヴィーニアファーストと言われるほど、大切に宝物のように扱うのだ。



「私は君が居なくなったら生きていけないんだ」


「大袈裟よ」


「もしかして、まだ私の愛が伝わってない?」


「もう、お腹いっぱいです」



そう言って二人で笑い合った。




「もう少し二人きりの時間が欲しかったのに……」


「もう十分だと……「思わない」



お腹の中には新しい命が宿っている。

子供のように拗ねるジューリオを抱きしめながら微笑んだのだった。





end

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