任務完了
そして半月後、正木が福寿の事務所へ戻る時が来た。
「正木君、ありがとう。寂しいな、明日から」
前原が正木と握手を交わした。
「皆には黙っていて申し訳なかったが、この職場の改善のためには、福寿先生と正木君に頼る他、方法が無かったんだ」
小宮が皆に頭を下げた。
「課長、頭を下げないで下さい。ここまで改善ができたのは、課長の決断ですよ」
中川が課長を褒めた。
「正木君は仕事が正確で早かったし、色々話せたし…課長、正木君うちで雇って下さいよ」
前原が懇願していた。
「福寿先生によろしくお伝えください。また、引き続き、ご指導お願いしたいと思います」
小宮が言うと、正木に花束と寄せ書きが渡され、皆に拍手をされた。
正木がオフィスを出ると、福寿が待っていた。
「正木君、今回は本当にありがとう。あなたのおかげよ」
「先生…まだまだこういうところは多いのでしょうね。ハラスメントに対する世代間ギャップもまだまだ大きくて」
「そうね。だからこそ、構造を分析して、制度で人を助けないといけないのよ。その為の決断をしたのが小宮さん。彼のような、覚悟のある人が上席にいるかどうかも大切ね」
「小宮さん、最初のちょっと頼りないイ
メージとはだいぶ変わりました」
正木が小宮の姿を思い返していた。
「さぁ、今夜は食事して帰りましょう。何でも好きなものを言って」
夕暮れの街を、二人は駅に向かって歩いて行った。
終




