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無力の俺による世界革命物語──早くて安くて美味い料理を知った。クソマズ飯しかない世界を変えようと思う。──  作者: 御魂海色
第二章 従業員を雇おう

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第15話 なんか順調だね

「では、店を任せましたよ」


「はい。またいつか」


 そう言ってトーさんは店を去った。


 これで今日からこの場所は俺達の店になる。


 外から店舗を眺めて、俺は目標に向かって進み始めたのだと実感した。


「さてトキ。これから俺たちがやらなければならないことは幾つあると思う?」


 店の中に戻って、俺はカウンター席に座っていたトキに質問を投げかけた。


「紹介してもらった商店に行く、シンの根を探す、市場で調味料を集める、の三つ?」


 どうやら俺とトーさんの会話を聞いていたらしい。


「惜しいな。店の準備をするも加えて四つだ」


 このままでも使えるには使えるが、厨房には牛丼を作るための道具が何も無い。


 まずは肉を煮る鍋と盛るための道具だな。タレを切れるように穴が開いたお玉みたいなものがあるといいな。


 後はなんだろうか。日本でいう冷蔵庫はこの店に既にある。トーさんが置いていってくれたからだ。


 まあ細々したものは思いついた時にか導入するようにしよう。


「明日、お前の服を買いに行くぞ」


 店の準備のひとつに、俺達の制服を仕入れるというのもある。


 当然だ。飲食店たるもの店員の見た目にも気を張らなければならない。


 服が汚いお店に行きたいと思うだろうか。いや、大半の人間は思わないだろう。ここは反語を使ってでも強調させてもらう。


「私の……?」


 キョトンとするトキの様子を見て、俺は溜息を吐いてしまう。


「飲食店だからな。服も大事なの。それにその服だと俺が虐待しているように見られるだろ。俺が困るの」


 持ち物などは拾った場所に無かったしトキが持っているのは今着ているボロボロの服だけだろう。そんな状態で人前に出してみろ。確実に俺の評判が下がって店に客が来なくなってしまう。


 にしても想像通りの扱いというか、流石は異世界だな。


 呪い子は扱いも最悪、か。


 殺されたり幽閉されるよりは捨てられただけマシなのかもしれないが、それでもこんな幼い子を山の中に放置するとは中々の所業である。


 エルフは同族を愛す種族だと聞いたのだが、魔王が居なくなった今エルフを縛る者が居なくなり随分と荒れてしまったのかもしれないな。仲間を兵器のように使うなんて。


 世界にとっての脅威がなくなり、互いを敵だと思い始めているのかもな。


「サントール、なんか顔が怖い」


「ああ、すまない」


 トキに指摘されて、俺は自分が深く考え始めてしまっていたことを自覚した。


 変なことを考えるのはやめよう。各国の情勢がどうなろうと、営業に影響が出ない限り俺が関わることはないだろうしな。


「とにかく、明日から大忙しだからな。覚悟しとけよ」


 トキに告げると、コクリと頷いた。


 ここから俺の夢を叶え始めるのだ。それが楽しみで、ついニヤッと笑みを浮かべてしまうのだった。




「さて、まずは服だな」


 次の日から、俺とトキは目まぐるしい日々を過ごしていた。


 まずは服を買った。トキの私服と、俺達二人の仕事服。


 清潔感重視で、シンプルなシャツだ。日本で働いていた牛丼チェーンを少し意識してしまったのか、腰から下を覆うタイプのエプロンも付けることにした。


「次は道具類だ」


 どうせ調味料とかは探すのに時間がかかるので、次は道具を集めることにした。


 調理道具を取り扱う店もいくつかトーさんに教えてもらったから、そこを回ることにする。彼には世話になりっぱなしだな。


 流石はトーさんというべきか、俺が欲しいものを殆ど揃えることができた。


 肉を煮るようの大きな鍋に穴の開いたお玉。他には米もといアシヤミを炊くための鍋とかな。これはできるか分からないので勘で買った。


 無いのはハサミくらいだが、そもそもとしてここでは自分で最初から作らなければいけないから用意された物をパッケージから開けるということは無い。そのためヤツを使う出番は無いだろう。


「よし、今日は調味料を漁るか」


 あまりに道具屋が楽しかったせいで一日を潰してしまい、気づけば次の日になってしまった。


 市場に赴いて、調味料という調味料を漁っていく。


 王都はラヴィ―ナの中心ということもあって、豊富な種類の調味料や香辛料が手に入った。


 だがそれらは当然ながら日本に流通しているものではないので、手探りで牛丼の味になるものを探していく。


 それが何よりも長かった。


 なるべく俺の知っている牛丼に近づけたかったので、ついこだわってしまった。


 だがその甲斐もあって、納得のいくタレができたと思う。


 それを味見させた時のトキの顔は最高だった。


 顔をぱぁっと明るくさせ、驚きから声も出せずにタレと俺の顔を交互に見ていた。よほど驚きだったのだろう。その気持ちは凄い分かる。


 そういえば、調味料を集める過程でシンの根を入手することにも成功した。


 まあこの食材はメジャーなものだから、そこら辺の店に行けば絶対と言っていいほどに手に入れることができる。だからこれは仕入れ先を気にしなくてもいいだろう。安いに越したことはないので探し続けるが。


 そうして、残す食材はアシヤミのみとなった。

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