乱世3
時は戦国。捕虜の中に寝返りを願い出る者が複数名居り、権兵衛は使える者が居るか定める任を請け負った。す巻きにされた男達が3人、蓙の上に正座している。一人目は、敵の中でも作戦の立案や軍を動かした経験を持つ軍師。小さな城を持ち、残された家族が裏切りの汚名を着せられ斬り殺されていないか心配との事。まさに裏切ろうとしている者の台詞ではないが時代は乱世。権兵衛は同情しつつも二人目の思案に入る。二人目は、敵武将の一人だという。無名故に定かではないが腕も立つという。試しに木刀を持たせてみた所、なかなかの腕前であった。3人目は戦に嫌々出てきた敵の家臣の次男坊。グータラで無類の女好き。うつけで通っており政治能力も武力も皆無に等しいとの事。
「3名共、名前を名乗るがよい」
「曽根崎太兵衛」
「薪割熊五郎」
「黒田半兵衛」
「軍師に武将か。ふむ、これは先の二人で決まりじゃな」
「いや・・・・・黒田半兵衛に決まりで御座る」
権兵衛は目を光らせて答えた。
「ほう、何故軍師でもなく唯のうつけを引き入れるのか。その方、先の戦で目を光らせる程の功績があったと申すか。申してみよ」
「後方にて宴会を行い、尻で箸を割っておりました」
「はい切腹!!」
「待たれよ、先の二人は先の戦で我らに負けた戦犯に御座る。負けた将等我らには不要と存じまするが?」
「左様、コヤツの部隊が宴会等してなければ!!勝ってたのはわしらじゃ!!」
「わしだってこいつの為に折角勝ってたのに引き返さねばならんかったのだ!!お陰で後ろから追撃を食らい・・・おい!!何とか言えこの!!」
「後少しで割り箸30本新記録で御座った」
『やかましいわ!!』
「それで、権兵衛殿は今の話を聞いて如何かな。先の処分で宜しいと思うのだが」
「やはり、黒田半兵衛殿が宜しかろう」
「さっきの話聞いてた?」
「聞いて御座った。その上での判断で御座る」
「何故、黒田殿を推すのか理解出来ぬ」
やれやれ、と言った表情で権兵衛が答えた。
「決まっておろう、黒田官兵衛殿、竹中半兵衛殿、双方の名前を持つ者を入れれば百人力に御座ろう。ハイ決定!!もう、絶対決定!!異論は認めません!!」
「お主、もしや羽柴秀吉の好事家?」
曽根崎太兵衛と薪割熊五郎はこの瞬間、権兵衛という男が戦場にいれば、足の引っ張り合いでひょっとしたら引き分けには出来たかも、とそう思ったそうな。




