ジュンジ~ノブオさん、いなくなる~①
ジュンジはノブオのちょうど二十才下ではあるが、ふたりはこの会社に同時に入社した同期の桜だった。
ジュンジは三十歳にして初めて職に就き、ノブオは再就職という形で、それぞれに歩んできた人生は全く違うが不思議と気は合い、とても仲が良い。
会社からそうは離れていないところで、ノブオはアパートを借り独り暮らしをしていて、そのノブオの住んでいるアパートの近くに、ジュンジがいまだに住み続ける実家のマンションはあった。
ノブオはたまにジュンジの家におよばれして食事をごちそうになることもあれば、ケーキなどお菓子をもって遊びに行くこともあり、家族ぐるみの付き合いだった。
そんな具合で、ノブオとジュンジは親子に近いぐらいに年の差はあったが、同僚というよりは親友という、ちょっと珍しい関係だった。
この日も、いつもと変わらず二人は出社し、ノブオもジュンジもそれぞれ午前の業務を終えると、共に昼食をとっていた。
「おっ、ジュンジの弁当は今日もうまそうだな。いいなぁ、作ってもらえて。一つちょうだい!」
ノブオはジュンジの弁当箱から玉子焼きを一切れつまむと口に入れた。
「あっ! 玉子焼きは好物だから最後までとっといてるの、知ってるくせに! もう、ノブオさんだって、お昼に好きなパンとかおにぎりとか買って自由に食べれるの、羨ましいですよ」
「何を贅沢な! そのうちな、作ってもらえなくなる時があっという間にやってくるんだよ。そのときな、そのとき……モグモグ……」




