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追憶の俺たち  作者: 春天アスタルテ
第二十ニ話 倫子とノブオ、人面犬との遭遇
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倫子とノブオ、人面犬との遭遇④


 その顔はよく見知ったアラサー青年の会社の同僚、ジュンジだった。


「おぉ!! やっぱりジュンジじゃねぇか!? ウサギ小屋の人面犬がまさかジュンジだったとは!?」


 駆け寄ろうとして、ためらうノブオは行けなかった。


 いくらなんでもダックスに人の頭が付いているのは不気味すぎた。


「ちょっと!? なんなんですか!! 僕はね、ノブオさんを一生懸命に探したんですよ!? 探して、探して、こんな目に合ってるんです!!」


 犬になってしまったジュンジは短い前足を踏み鳴らす。


 泣きながら叫び、そして鼻血を出した。


「ジュンジさん、ですか? 鼻血が……」


 気の毒に思った倫子はスカートのポッケからティッシュを出すと小さく丸め、ジュンジの鼻の穴に詰めてやった。


「うぅ……ありがとう……」


 両方の鼻の穴にティッシュを詰めてもらい、久々に人の優しさに触れたジュンジは嗚咽をもらす。


「ごめん、ごめん……本当にすまなかった、ジュンジ……」


 あやまりつつ、ちょっと見慣れてきたノブオはそっと近づきしゃがむと、人面犬ダックス・ジュンジの両前足を自らの両手にのせ、握った。


「俺を探してくれてたって言ってたけど、いったい何があったんだよ?」


「そうですよ、何があったんですか?」


 ノブオと倫子はなるべく優しく声をかける。


「……うぅぅ……聞いてくださいよぉ……」


 泣きながらジュンジはぽつぽつと話し始めた。

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