倫子とノブオ、人面犬との遭遇④
その顔はよく見知ったアラサー青年の会社の同僚、ジュンジだった。
「おぉ!! やっぱりジュンジじゃねぇか!? ウサギ小屋の人面犬がまさかジュンジだったとは!?」
駆け寄ろうとして、ためらうノブオは行けなかった。
いくらなんでもダックスに人の頭が付いているのは不気味すぎた。
「ちょっと!? なんなんですか!! 僕はね、ノブオさんを一生懸命に探したんですよ!? 探して、探して、こんな目に合ってるんです!!」
犬になってしまったジュンジは短い前足を踏み鳴らす。
泣きながら叫び、そして鼻血を出した。
「ジュンジさん、ですか? 鼻血が……」
気の毒に思った倫子はスカートのポッケからティッシュを出すと小さく丸め、ジュンジの鼻の穴に詰めてやった。
「うぅ……ありがとう……」
両方の鼻の穴にティッシュを詰めてもらい、久々に人の優しさに触れたジュンジは嗚咽をもらす。
「ごめん、ごめん……本当にすまなかった、ジュンジ……」
あやまりつつ、ちょっと見慣れてきたノブオはそっと近づきしゃがむと、人面犬ダックス・ジュンジの両前足を自らの両手にのせ、握った。
「俺を探してくれてたって言ってたけど、いったい何があったんだよ?」
「そうですよ、何があったんですか?」
ノブオと倫子はなるべく優しく声をかける。
「……うぅぅ……聞いてくださいよぉ……」
泣きながらジュンジはぽつぽつと話し始めた。




