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銭湯とラーメン②
「ほれ、もっとこっちに。んっ、そうそう……」
仙人はノブオの背をコシコシとさするようにして優しくこすった。
「はぁ……そういえば敏也はどうなったんだろうなぁ……こっちの、過去には来てたりしないんだろうか……?」
「んっ……? 敏也って、過去に戻りたいと言っていたやつか? どうだかなぁ……」
二人は湯船に移る。ちょっと熱めの湯にしばらくつかっていると、ノブオの心もほぐれてきた。
「ふぅ……いいなぁ、やっぱり銭湯は……懐かしいなぁ……」
「んっ、そうだろう。んっ、んっ……風呂あがったらラーメン、食べに行こうかぁ……」
「ラーメンっ!! もしかしてあの屋台の!? うわぁ、懐かしいなぁ。本当にたまにだったけど、家族で食べに行ったなぁ……あの醤油ラーメン……醤油の、うっ……」
自然に昔は思い出され、懐かしさのあまりノブオの目から熱いものがあふれる。
それを仙人は微笑みながら、ただ静かに見つめていた。
「仙人……俺、すっかり忘れていたけど、思い出してきたよ」
「……んっ、そうかぁ……じゃっ、ラーメン食べに行くか」
仙人はザパッと立ち上がった。ノブオもつられて立ち上がり、風呂場を後にする仙人に続く。
体を拭いていると、ノブオはふと気づいた。右手で左の二の腕を触り、確かめる。




