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9話:里見家では日本の未来を悲観し洋行決意

 銀行も不良債権を隠匿して利益を計上するケースが多く、これが事態をさらに悪化させた。これに対し、三井財閥、三菱財閥、住友財閥、安田財閥など財閥系企業や紡績会社大手は手堅い経営で安定した収益をあげ、むしろその地位を向上させ、結果的に独占資本の強大化をもたらし。日本のテロリスト・朝日平吾はこの恐慌で株で大損した。


 安田財閥の首領・安田善次郎が株を一手に買い占めて2千万円を儲けたという噂話に憤慨し安田善次郎暗殺を企てたと言われている。1920年代は、「慢性不況」と称されるほどの長期不況が支配し、大戦期の花形産業であった鉱山、造船、商事がいずれも停滞して、久原・鈴木は破綻し、重化学工業も欧米製品が再び流入して苦境に立たされることとなった。


 里見が、話し合って2人とも外国人女性と結婚していたのでヨーロッパへ行こうと考えた。そして金をスイス銀行に毎月、分割して送金。その時、里見敬之は64歳で三井物産を退職した。しかし商売の勘の鋭い里見は、いつまでも小国日本の好景気は続かないと踏みヨーロッパ行くと5年前から計画していた。1921年冬、横浜港からスエズ運河を経由、マルセイユへ向かった


 さらに幸運なことに、当時、マルセイユには海上貨物相場売買の国際取引で成功し、経済的に豊かな日本人がいた。里見が資金をスイス銀行に置いてあると聞くと、それなら安心だと言った。その人の会社で事務員、営業として里見一家のメンバーが雇ってもらった。里見がマルセイユに到着して2年が過ぎた1923年9月関東大震災が起きた。


 大地震で東京を中心として50キロ圏内は全滅に近い状態だと新聞に書いてあった。その崩れた家やビルの下敷きになった人や大火事で焼き死んだ人が多数出ているという報告だけで詳細はつかめなかった。その知らせを聞いた、里見の家族が、マルセイユで世話になったいる日本人男性に一番安全の所はどこかと聞くと、永世中立国スイスだろう言われた。


 そのため1924年2月、世話になった日本人に、お礼を言って、マルセイユからスイスへ向かった。列車でフランス、マルセイユから北に向かいアヴィニヨンを抜けてリヨンを経由して東に向かいジュネーブからスイスに入りレマン湖のほとりを走り、ローゼンヌを抜け、しばらく行くとモントルーの町に着いた。里見家の連中は、レマン湖の美しさにうっとりして、湖畔に住みたいと言った。


 そこで、里見敬之が、大きめなマンションかつぶれたホテルでもあれば、そこに住みたいと考えた。そしてモントルーで、降りて、役所を訪ねて入国手続きをとった。そして、最近つぶれたホテルはないかと聞くと、いくつもあるから、不動産屋に聞くと良いと言われた。どうせなら大きな不動産屋が良いと思い入ると、日本人かと言い、お前さん金持ってるかと聞かれ、金ならあると答えた。


 すると3軒のホテルの写真を見せてくれ100万ポンドでどうだ聞くので倒産したホテルなら1万ポンドであるだろうと言い、高くても10万ポンドまでだと言うと、それなら結構と言われた。あまりに高飛車にでるので、すぐ店を出た。そしてモントルーの駅で、マルセイユから避難してきた日本人ですが、良心的な不動産はないかと聞くと、3軒の不動産屋を教えてくれた。


 駅から近い順に回ろうと考え、1軒目の不動産屋に入ると、最初に英語かフランス語を話せるかと聞かれ、両方、話せると言った。すると英語で話そうと言い、まず、出身地を聞かれ日本と答え、次に、なぜ、欧州へ来たか聞かれ、商社で働き、世界中で戦争の雰囲気がするので、日本を離れマルセイユで1年半、生活した。


 そので世話になった日本人に一番安全な所はと聞くと銀行も不良債権を隠匿し利益を計上するケースが多く、これが事態をさらに悪化させた。これに対し、三井財閥、三菱財閥、住友財閥、安田財閥など財閥系企業や紡績会社大手は手堅い経営で安定した収益をあげ、むしろその地位を向上させ結果的に独占資本の強大化をもたらした。日本のテロリスト・朝日平吾はこの恐慌で株で大損した。


 安田財閥の首領・安田善次郎が株を一手に買い占めて2千万円を儲けたという噂話に憤慨し安田善次郎暗殺を企てたと言われている。1920年代は、「慢性不況」と称されるほどの長期不況が支配し、大戦期の花形産業であった鉱山、造船、商事がいずれも停滞して、久原・鈴木は破綻し、重化学工業も欧米製品が再び流入して苦境に立たされることとなった。

*この情報の一部は、当時の新聞から抜粋し記載しました。

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