表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はるか遠く  作者: seru
9/9

* 9

 僕は放課後まで、机に突っ伏して過ごした。授業なんか聞いちゃいない。ときどき、顔を横にして、窓の外を眺める。澄んだ空が、少しだけ恨めしい。


「俺、もう帰るから、元気出せよ」


 山下が僕の肩を叩いて、教室から出て行く。彼の足音を最後に、教室内はしんと静かになった。僕の他にもう誰もいない教室は、昼間の雰囲気を残すことなく、閑散としている。

 宮本は、いつもこんな教室に、一人で残っていたんだなぁと思う。空の向こう側、遥か遠くを夢見て、ずっと窓の外を見ていたんだなぁ。

 窓の向こうに見える空は、薄暗くなって来ているのにどこまでも綺麗だった。

 ふと、僕の耳に小さな足音が届く。その音は段々と大きくなって、やがて教室内へと入ってきて、僕の背中あたりで止まった。


「……悠くん」


 澄んだ声、鈴を転がしたような綺麗な声。僕は窓へと視線を向けたまま、目を見開いた。


「昨日の話、嘘でしょ」


 僕が振り向くと、宮本が少しだけ泣きそうな顔をして、笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ