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第百四十四話 作戦

第百四十四話 作戦




 クリス様の天幕に向かい、見張りの親衛隊に銃を預け軽いボディチェックを受けた後中へ入る。


「失礼します。クロノ・フォン・ストラトス。参上しました」


「いらっしゃい、クロノ殿。疲れているのに、呼び出してごめんね?」


 執務用の天幕に入れば、ペンを置きクリス様が顔をこちらに向ける。


 眉を『八』の字にしながら微笑む彼女の隣で、シャルロット嬢もやや疲れた顔ながら背筋をピンと伸ばしていた。


「ようこそいらっしゃいましたわ、クロノ様。戦闘があったとお聞きしましたが、ご無事なようで何よりです」


「はっ。いえ……はい。自分は無事です」


 咄嗟に返事をするが、すぐに気まずくなって視線を逸らす。


 ギルバート侯爵は彼女の祖父だ。戦闘報告は既に上げている。つまり、彼の腕を自分が切り落としたことは、もう……。


「そのようなお顔をする必要はなくってよ、クロノ様」


 シャルロット嬢の言葉に、そっと赤毛の皇妃へと視線を戻す。


 彼女は、凛とした顔でこちらを見ていた。その瞳に一切の迷いはない。


「ギルバート侯爵は既に敵です。ワタクシに遠慮する必要など一切不要。ずばっと、あの首を刎ねておしまいなさい」


「そ、それは……」


「貴方様がそれを為したとして、褒め称えることはあっても責めることは絶対にしないと、我が家名と神に誓いましょう」


「……わかりました」


 小さく、深呼吸をする。


 正直言って、ありがたい。彼は生け捕りにしようなどと、甘い考えで戦える相手ではなかった。


 それは、あの森で視線が合った段階でわかっていた。先の戦いでも、自分は殺す気で剣を振るっている。


 明確に許可が出た。であれば、次戦場で会った時も───全力で、斬る。


「まあ、その前にワタクシがお爺様の頭蓋を粉砕☆いたしますわぁあああ!おーっほっほっほっほ!」


 いつものドヤ顔で高笑いするシャルロット嬢に、思わず頬が引きつる。


 クリス様も自分と同様に、何とも言えない顔をしていた。


「おっと、失礼いたしました。陛下と伯爵のお話を邪魔してしまいましたわね。ささ、どうぞ」


「あ、いえ」


「えっと、うん。クロノ殿。まず、お疲れ様。おかげで、ギルバート侯爵の奇襲を防ぐことができたよ」


「はっ。光栄です」


「それで……どうだった?」


 真剣な表情で問いかけてくるクリス様に、頷く。


「アナスタシア殿や将軍達の言う通り、こちらの心理に対する攻撃だったかと。ギルバート侯爵は最初から、撤退を計画に入れていたと思われます」


 相手の陣地に攻め込む際に、逃げ道を用意しておくのは普通だ。


 しかしあの時、ギルバート侯爵はもっと奥深くへ斬り込むことができたはずである。彼本人ではなく、別の部隊を。


 自分達以外の隊も、森の中で戦闘があったらしい。だが、その数も少なく、しかもすぐに撤退したと道中で他の貴族が話しているのを聞いた。


 こちらの食料に火をつけるぐらいは、狙えたはずだ。無論、食料置き場には幾つかの備えをしているが、それでもチャンスがないわけではない。


 数ではあちらが圧倒している。しかも、侯爵家は武門の家。彼が引きつれる精鋭の騎士達は、近衛騎士を相手に2人や3人がかりで挑めば互角以上に戦えるだろう手練れだ。


 汚れ仕事専門の分家もある可能性が高い以上、もっと上手く奇襲ができたはずである。


 アナスタシア殿の言う通り、『深く切り込めたら儲けもの。でなければさっさと撤収』が彼らの作戦だったのだ。


「そうだね……。将軍達からも、兵士達の中に極端な緊張と楽観が広がっているって報告を受けているよ」


「まあ、今は冬ですから。本来は戦争なんてやる季節ではありませんもの。いくら帝国人でも、集中力に限界がきますわー」


 軽い口調でシャルロット嬢が言うが、その通りだった。


 更に、去年の4月から戦争続きである。皇領からの兵士達は、例年にない戦闘回数だ。褒美があるとは言え、それでもモチベーションの維持は難しい。


 騎士達以外、専業兵士というのが珍しい世界である。帝国でも、ここまでの連戦は異例過ぎた。


 そういう所でも、敵兵と比べて不利である。ギルバート侯爵は補給線の維持や管理が主で、彼の部隊はそれ程消耗していない。教会領にいたっては、語るまでもなかった。


 装備の質と、練度だけか。こちらが明確に勝っているのは。


「帝都を焼かれて、その怒りから志願した兵士もいるけど、彼らだって万全のコンディションを維持するのは難しいよね……」


「そもそも、戦場で兵士達が『万全である』なんて稀でしてよ。そこをあんまり考える必要はありませんわ」


 眉間に皺を寄せるクリス様に、シャルロット嬢がキッパリとそう言う。


「考えるべきは、どう効率よく戦うかですわね。クロノ様。機甲化部隊はどうですの?」


「戦車の整備に少し時間がかかっていますが、明日の昼には戦える状態になるかと」


「装甲車は?」


「そちらは問題ありません。ただ、連合軍相手に見せた戦術はギルバート侯爵も知っているはず。何らかの対策をたててくるかと」


「ですわね……。では、いっそ、別の使い方をするのはどうかしら」


「別の、と言いますと」


「機甲化部隊は、機甲化部隊のみで運用する作戦ですわ」


 シャルロット嬢が自身の細い顎に指をあて、淡々と語る。


 視線は地面を向いており、彼女も頭の中を整理しながら言語化しているらしい。


「この戦いは、どちらの軍も『圧倒的な勝利』以外は求めておりません。今回勝てたとしても、今後の統治に響きますもの」


 その通りである。周辺国を黙らせたとは言え、その向こうに別の国があるのだ。彼らが次のお隣さんになるのは、明らかである。


「ゆえに、互いに陣地を作って兵の損耗を抑えようとしていますわ。これにより、軍隊同士の『追いかけっこ』は早々起きません」


「互いの補給線を食い合う、という可能性は低いでしょうね」


「それに、あちらは教会領からの兵達の練度が低いはず。また、侯爵家の兵達は士気があまり高くないですわ」


「教会領の方はわかりますが、侯爵家の兵達の士気もですか?」


「ええ。なんせ、侯爵家としては本来、アダム様に加担する『うまみ』が少ないんですもの」


「……たしかに」


 シャルロット嬢は皇妃である。そして、ストラトス家が台頭してきたとはいえ、グランドフリート家の発言力はクリス様派閥内で最大だった。


 アダム様に加担せず、クリス様の治世でいた方が甘い汁を吸えたはずである。女性であることを知っていたのなら、その弱みに付け込んで家の影響力を上げることもできたはずだ。


 男系が継ぐべき、という考えがこの大陸では主流であるものの、皇族だろうと所詮他家のことだ。戦争を起こしてまで拘るべきポイントではない。


 世継ぎに関しても、クリス様の性別を秘密裡に把握していたのなら、裏で色々とできただろう。それこそ、シャルロット嬢の従兄弟なりなんなり、身内で次の皇帝を作れたはずでだ。


 勇者教は血が濃くなりすぎるのを禁止しているが、従兄弟となら1代かぎりで認めている。皇帝の権力を裏で乗っ取ることが十分にできたろうに、わざわざ表立って殴り掛かる意味はない。


『侯爵はクリス陛下に騙されていたことが我慢ならなかったのだ』……というのが、アダム様の中身について知らないあちら側の貴族や騎士達の考えだろう。


 癇癪に付き合わされて戦うとなれば、士気の低下は当然か。戦争なんてそんなものと言ってしまうには、失ったチャンスが大きすぎる。


 もっとも、自分達もギルバート侯爵が怒りのままに謀反する可能性を考慮し、必死にクリス様の性別を隠していたのだが。それでも時間を使って説得すればわかってくれると考えていたのも、こういう侯爵家のメリットがあるからである。


 その後の駆け引きは帝都でやってくれと、ストラトス家は思っていた。うちとしては、帝国全土に火が広がらなければ十分だったわけだし。


結局、こうなってしまったけど。


「アダム様がコーネリアス先帝陛下にそっくりであると考え、心酔する貴族や騎士もいるかもしれません。先帝陛下は、何故か人気だったそうですし。それでも、一度広がったこの戦いへの疑念は、兵達の心から簡単に消えませんわ」


「なるほど。士気が低下しているのは、あちらも同じであると」


「ええ。といっても、将軍達からは希望的観測と言われてしまいそうですけど」


「ですね。自分も、失礼ながら憶測が多いとは思っていました」


「ごもっともですわ。しかし、憶測『だけ』とも思ってはいらっしゃらないのでしょう?」


「はい」


 人は利益と道理で動くと、父上から教わったものである。


 とっくに得ていたはずの利益が遠のき、戦争の理由がしょうもないとなれば、人の動きは鈍くなって当然だ。


 今思うと、クリス様とシャルロット嬢の結婚もそれに拍車をかけていそうである。


 それだけ、『皇妃を送り出した家』というのは帝都で権力を持つのだから。


「話を戻しますわ。士気の低下と、練度不足。このことから、相手はお爺様やアダム様から部隊を小分けすることが難しいはず。となれば、多方向から責められますわ」


「しかし、数が少ない方が外線作戦をするのはどうかと……」


『外線作戦』とは、部隊を複数に分けて敵を攻撃することである。1つの部隊が敵の注意を引いている間に、他の部隊が敵の側面や後方を攻めるのだ。


 その対応策として、『内線作戦』がある。こちらも部隊を複数に分けるのだが、隊同士の距離は先の作戦より近い。


 1つの部隊、あるいは全体から見て少数の部隊に戦力を集め、それ以外は足止め。戦力を集めた部隊が早期に眼前の敵を倒したら、そのまま他の部隊が足止めする敵部隊を攻撃し、撃破するというもの。


 基本はどちらも同じであるが、外線作戦の方が個々の部隊における指揮官の能力が求められる。内線作戦の方が指揮官の質をそこまで求められない代わりに、高い機動力が必要となるのだ。


 なお、外線作戦は『敵よりも数が多い軍隊』がやる作戦である。


「相手の方が兵数で上です。こちらが内線作戦をとるべきでは?」


「しかし、この戦いは攻める方が有利ですわ」


「……その心は?」


「一部の個人の力が強すぎですのよ」


 シャルロット嬢が、自分の方をジッと見つめてくる。


「お爺様に、アダム様。クロノ様に、カール様。そして親衛隊の皆様と、お爺様の直轄部隊。普通の兵士達では止めるのが難しい、ワイルドカードばかりの戦場ですわ」


「それは……恐縮です?」


「今は褒めていませんわー!お互い後方から物資が送られてくるとはいえ、限りがあります!今ある分を燃やされでもしたら、戦えなくなりますわー!今冬でしてよー!」


 ふんがー、と。シャルロット嬢が吠える。今、『今』って何回言っただろうか。


 心なしか鼻息が荒い。ちょっと皇妃殿下としてアカン顔になっている。


「内線作戦の弱点!それは、『物資集積所』が戦闘エリアから近いこと!バケモン共がどったんばったんやって、その流れ弾が少しでもそっちに行ったら大惨事ですわー!」


「わ、わかりましたから、落ち着いて」


「どうどう。どうどうっすよ、シャルロット様」


 護衛としてここまで無言で立っていたアリシアさんと、2人がかりでシャルロット嬢を宥める。


 肩で息をするレッドドリル令嬢に、クリス様が落ち着いた様子で問いかけた。


「つまり、こちらから攻めて、相手の物資を燃やしたい……ってこと?」


「ふー……そうですわ。失礼、ちょっと興奮してしまいましたわ。グランドフリート家の血が騒ぎすぎてしまったようですわね」


 キリっとした顔で髪を掻き上げるシャルロット嬢。わりといつも通りと思ってしまったが、それを指摘するのは野暮だろう。


「ですが、機甲化部隊……とりわけ、戦車は素晴らしいですわ。アレは、一般兵や騎士を準化け物に変える代物。そして、お爺様でもすぐには用意できない切り札ですわ」


「ならば、こちらから攻めて相手に防御をさせながら」


「機甲化部隊で敵の物資集積場所を燃やす!そのまま敵のお尻にどぎついの叩き込んでやりますのよー!おーっほっほっほっほ!我ながらグッドアイディア!ですわー!」


「皇妃殿下。ちょっと、あの、表現が……」


「失礼しましたわー!」


 ひとしきり高笑いした後、シャルロット嬢が凛とした顔に戻る。


「もしかしたら、お爺様はこちらに守りを固めさせ、内線作戦を取らせたかったのかもしれませんわね。アダム様がカール様の足止めにあい、攻めるのが遅れてしまっているわけですし」


「かも、しれません。しかし、こちらもすぐに攻め込むのは無理ですね」


「そもそも、ワタクシの考えた作戦なんて穴だらけですわ。将軍達に相談し、ブラッシュアップしませんと使い物になりません。明日の軍議で、どうにか形にしませんと」


 そこまで言って、シャルロット嬢がクリス様に向き直る。


「というわけですので、今の考えを明日、将軍達にお伝え頂ければ幸いですわ」


「え、ボクが言うの?」


 クリス様が、目をパチクリとさせる。


「シャルロット殿の考えなんだし、君の口から言えばいいのに……聞いていた感じ、かなり良いと思ったけど」


「ワタクシは、女ですもの」


 苦笑を浮かべてシャルロット嬢は肩をすくめた後、こちらに視線を向けた。


「クロノ様ぐらいですわ。女が、それも当主ではない人間が、軍事作戦や政治に口を出して嫌な顔をなさらないのは。軍議中、ワタクシが何か案を出す度、将軍達が苦い顔をしますもの」


「それは……」


 クリス様が、そっと視線を落とす。


 魔法があり、魔力の多さが身体能力に直結する世界。女性でも、人によっては男性の戦士を圧倒することもある。


 だが、やはり女性が上の地位に立つと嫌がる者は多い。侯爵の癇癪だとか言ったが、それでも敵に騎士や兵士が従うのは、彼の心情を理解した気でいる者が多いからかもしれない。


「……わかった。ごめん」


「構いませんわ。それに、この作戦のダメ出しはクリス様が受けることになりますもの!むしろワタクシの方こそごめんあそばせぇ!」


「シャルロット殿は凄いね……ボクは、作戦の立案とかできないや」


「皇帝に求められる能力ではありませんもの。それに、ワタクシはクリス様程の速度で兵站の計算や輸送の予定を組めませんわ」


 それはそう。クリス様の処理速度は、外付けでスパコンでも積んでいるのかというぐらいだし。


 とうの本人は、苦笑を浮かべるだけだが。


「意外と簡単だよ?計算結果自体は、大雑把だから。細かく決めても、現場で絶対に齟齬が出る。多めに見積もった数字をどん、と出せば良いって、教わったから」


「……それは、どなたから?」


「……ギルバート殿、から」


「ですわよね……」


 シャルロット嬢が、小さく息を吐く。


「お爺様は、若者に何かを教えるのが大好きな方でしたから……。ただの一兵卒に、槍の振り方を真剣に教えている姿も、度々目撃されていましたわ」


「……そうだね。ボクも、あの人から戦場や帝城で教わったことは多いよ」


 2人が、どこか懐かしそうに、しかし寂しげに語る。


 彼女らは、自分よりもギルバート侯爵と長い付き合いだ。少し関わっただけで、彼がとても『まとも』な人であることはわかる。足の引っ張り合いと腹の探り合いばかりの帝都で、大貴族でありながら侯爵のような人物はいない。


 彼が、なぜ外法に手を出したアダム様……コーネリアス先帝についたのか。


 それは、もしかしたら……。


「失礼します。難しい話は終わって、感傷タイムとお見受けいたします」


 天幕の奥から、ロングコート姿のシルベスタ卿が出てきた。


「リゼ?どうしたの?今は休憩時間じゃ……」


「いえ。クロノ殿がこちらへいらっしゃっていると聞いたので、これはチャンスかな、と」


「チャンス?」


 いつも通りの無表情な親衛隊隊長に、全員で首を傾げる。


 はて、自分にいったい何の用なのだろうか。弾薬の確認とか?


「では、参ります」


「は?」


 瞳をキラリとさせたかと思えば、シルベスタ卿がコートの前を勢いよく開いた。


 その下には、冬らしく厚手の服が───ない。


 白く綺麗な肌が、あらわとなっている。


「な、なぁ……!?」


 慌てて両手で目を覆うが、つい指の隙間からチラッと見てしまう。


 一瞬全裸かと思ったが、水着を着ているようだ。ただし、『紐』である。


 綺麗な鎖骨に、豊かなオッパイ。深く縦に長い谷間を作るロケットなお胸を覆うのは、黒いスリングショット水着。


 女性らしくくびれているお腹には薄っすらと腹筋が浮かんでおり、芸術性すら感じられる。


 股の部分はえげつないハイレグ状態で、少しずらしたら乙女の秘所が見えてしまいそうだ。すらりとした美脚は黒いニーハイで覆われ、太腿の柔らかさと足の長さを強調している。


 痴女としか思えない格好のシルベスタ卿が、鉄面皮のままこちらを見ていた。


「どうでしょうか。全裸よりこういう変態チックな格好が受けると思い、アリシアにゃんから借りてみました」


「あーしの私物変態チックって言ったすか隊長!?」


「今は隊長ではなく、リゼにゃんと呼びなさい」


 へ、変態だ……!


 だけど爆乳美女の露出狂は、男の夢であった……!


 指の隙間を閉じることができない。これは、もはや魔法の領域……!


「スケベ人竜の子種に関しては交渉中。よって、こちらから強引に迫ることはできません」


 いつも通りの無表情だが、ほんのりと頬が赤くなっているのは、シルベスタ卿……リゼさんにも恥じらいがあったからか、それとも単に気温のせいか。


 裸コート一歩手前で、白い肌を晒す彼女は、非常にエッチであった。


「しかし───彼の方から襲ってきたのなら、仕方がない!」


「仕方がない、じゃなーい!」


 スパーン、と。クリス様が顔を真っ赤にしてリゼさんの頭を叩く。


「は、はしたない!はしたないよリゼ!その格好はダメ!禁止!アリシアに脳を侵されないで!」


「クリス様?どういう意味っすか、クリス様」


「ワタクシも負けていられませんわ!貴女こそ最高の軍師!アリシアさん、ワタクシにも痴女衣装一丁!」


「いや痴女じゃないんすが?オシャレなんすが?」


 わちゃわちゃと騒ぐ美少女達。


 どうにか、深呼吸をする。なんか、良い匂いがした。だめだ、落ち着こうとしたのに、これでは逆効果である。


「クリス様。それでは、自分はこれで。明日の軍議でお会いしましょう」


「う、うん!そうだね!ごめんね、色々!」


「ぬ、逃げますか。ならばここは聖書に記されし『メスガキ』戦法を試す時……」


「試さない!めっ!めっだよ、リゼ!」


「くっ、ワタクシの恥じらいが邪魔をしますわ……!流石にあんな生き恥な恰好はしたくない、と……!」


「あーしのファッションが、生き恥……?」


 帝国式の敬礼をした後、すぐに天幕を出る。


 勢いよく退室した自分に、見張りの親衛隊がどうしたのかと目を見開いた。どうやら、彼女らはリゼさんの暴走を知らないらしい。


 手早く預けていた荷物を受け取り、ストラトス家の天幕に……否。


 アナスタシア殿と、ドロテアのもとへと走った。



 奥さん相手なら……合法!!






読んでいただきありがとうございます。

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アナスタシアさんが危惧した通りのハニートラップ仕掛けてきやがった! あとアリシアさん普段使いでド痴女装備持ってるのにクロノ君と二人っきりの時にお披露目しなかったんですかこのヘタレ。 にしてもクリス陛下…
>その前にワタクシがお爺様の頭蓋を粉砕☆いたしますわぁあああ! これも戦場の習いってやつか。覚悟決まってるなあ。 >いくら帝国人でも、集中力に限界がきますわー 厭戦の気は出たらあっという間に広がるか…
クロノ君のノクターンデビューはまだだろうか クロノ君のノクターンでの活躍をカールさんに音読して聞かせたい スリングショットはが痴女じゃない感性はなかなか凄い
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