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転生したと思ったらロボットの戦闘支援AIになっていました 〜量産機だけど美少女パイロットとこの先生き残るためにエースを狙います!〜  作者: 夕暮れタコス
第18話 フィアとメイリア

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18-5

 現在の機体コンディションを確認する。イヴとの戦闘で制御機に負担をかけてしまったが、まだまだ大丈夫そうだ。目立ったダメージもない。


「さて、どうやって止めるか……」


「本気なのですか?何故あなたはそこまでして和平を求めるのですか?」

 

 砲口に向けて加速を開始。向かいながら砲撃を止めるための術を計算していると、シシに抱きかかえられて大人しくしているイヴがメイリアに疑問をなげかけた。

 

「えっ?そりゃあ……ね?みんなと、フィアと楽しく脳天気に毎日を楽しく過ごしたいじゃない?」


「毎日を楽しく過ごす……。それは具体的にどういう事なのですか?」


「えへへ、そう言われると私もよくわからないなぁ。お父さんが行方不明になって、お母さんが病気して、私は仕方なく軍の学校に入ったの。ずーっと心の底では戦いなんてしたくないって思ってた。だからフィアの記憶の話を聞いたときはそんな世界にすっごく憧れた!そして今、その世界の実現に手が届く所まで来ているんだよ!」


「そうだね、メイリア。あなた達は逆境の中でも夢の実現に向けてずっと頑張ってきた」


「だな。そんでその結果、フィーは見事この宇宙での自分の地位を獲得した」

 

 要塞の温度が急激に高まった。中で何か起こっているようだ。

 

「ねえ、イヴ。前世で辛い事があったなら今度こそは幸せに生きたい。そうは思わないの?」


「……幸せに生きられる保証がどこにあるの?また惨めに利用されて終わるだけよ。特にリヴァイブはそのために作られた物なんだから」


 悲痛さを滲ませた心からの訴えの言葉。そう感じた。


「そうだな、それは今のところ誰にも保証できない。だから俺は少しずつ世界を変えていくつもりだよ。誰もが受け入れられる、争いのない平和な世界に向けて。そうだ、イヴ。知ってたか?シシは獣人なんだぞ?」


「獣人……?」


 シシが小さくガオッと鳴き真似をした。


「この星団は基本的にはあの星と似たような生態系や文化だが、いろいろと差異はある。火を吹くトカゲや機動兵器でも苦労する大型生物。近づく者を捕える植物やらいろいろあるぞ」


「まずはクェルツのあちこちを見て回って、それからどう生きるか決めるのもいいんじゃない?」


「うふふ、あなた達の話をもっと聞いていたいですね。けどもう、砲撃を止められないのです。要塞の機関部が暴走してしまいました」


「そうか……。任せろ、イヴ。止めて見せるさ!」

「うんっ!見てて!」


「すまねえ、俺達は役に立てなくて」

「必ず戻ってきてね、二人とも」


「「了解!」」

 

 2人がこの作戦に参加しない事に正直ホッとしている。できることならメイリアにも降りてもらいたい。


「……フィア、このデータを使ってみてください」


 イヴから付近のプラズマを利用した配合データが送られてきた。つまり、真紅のプラズマの正体である。

 急いで解析し、今回の作戦にぴったりな配合にアレンジした。

 それと同時に艦隊が雲を抜け、続々と到着し始める。


「ふふ、協力する気になったのか?」


「なんだか、憎悪に囚われていたのがバカらしくなってきました。もし許されるなら、この星々を見て回りたいという思いが芽生えてしまった。でも、今更ですね。何をしていたんでしょうね、私は。……ねえ、この宇宙の星々では木々の木漏れ日の中で舞う蝶や小鳥達、そんな光景が見れますか?」


「ああ、見れるさ!この戦いが終わったら――」

「いくらでも案内してあげるよ!」


 制御機にデータを流し込み、フェザーユニットを目一杯に展開する。砲口が光を帯び始めたのを確認し、急いで艦隊の前に出て、翼を発生させた。


「うわぁっ!綺麗な色だね、フィア」


 その翼は鮮やかな夜明け色だった。


「来るぞ!フェザーユニット及び全スラスターリミット解除!最大出力!」


「見ていてイヴ!これが!私達、フィアとメイリア!『黎明の双翼』だよ!」


 もはや端が見えない程に巨大化した翼。それを機体前方で重ね合わせて巨大な電磁界シールドを作り出した。


 太く強大な熱量を持つビームが飛んでくる。それを翼で受け流す。ビームと翼が反発しあい、スラスター全開でなんとか耐えているが、吹き飛ばされそうだ。

 要塞のあちこちで爆発が起きている。ビームの出力も落ちてきている。だけどフェザーユニットと増設制御機も限界が近い。

 

 もう少し。


「もう少し、頑張ってくれ!フィーリア!」




 

「フィア!フィア、目を覚まして!!」


「ここ……は?そうか……」


 周囲は茜色の靄。数々の不調を訴える電子機器類。答えを聞くまでもなくわかった。プラズマ雲海の中だ。

 要塞の主砲から艦隊を護る事には成功した。だが、最後の最後で機体に限界が訪れ、踏ん張りがきかなくなって雲海まで吹き飛ばされたのだ。

 突入時の電気的ショックで俺も一時機能停止していたみたいだ。復帰できてよかった。

 今にも爆発しそうにフェザーユニットと増設制御機を切り離す。

 

 プラズマ同士が干渉してスラスターが機能しない。どうやって脱出しよう。あまり長居すると機体だけでなく、メイリアまで危険だ。


「なんとかしてここから出なくては」


 アクロマティカの損傷具合からラハラとシシは来られないだろう。そもそも来たところでプラズマが使えない環境ではどうしようもない。


「フィア、あれは!?」


 茜色の雲の中をいくつかの光が彷徨うように泳いでいる。淡い期待が湧き上がる。だが、なかなかこちらへ来てくれない。

 何か合図を……。


 まるで俺の思考を読み取ったかのように、背後で制御機が爆発した。

 

 彷徨っていた光がこっちに向かってくる。

 靄の中から差し出された機械の手、それは幾度も対峙し、戦いを繰り広げてきた機体の手。


 その手を掴むと、一気に引っ張られ、茜色の靄の中から脱出した。


「ありがとう!」


 メイリアの心からの感謝の言葉に反応するように、赤く光るカメラアイがこちらを見た気がした。

 きっと気持ちが通じたのだろう。

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